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石山合戦 四
必死に謝る長政殿の姿は、確かに裏切ったりしそうな人には見えない。
「俺もお前のことは気に入ってたし。あと市を悲しませたくないってのと、それと殺したくなんてないから。俺の天下は人々の血の先にはない。だから、さ」
優しく微笑み掛ける信長様。この優しい信長様のお姿に儂は惚れたんだ……。
「ねえお兄ちゃん、光秀君大丈夫なの? あの子が強いのは知ってるし、あたしだって光秀君のおかげで助かった。でも浅井だけが相手なわけじゃないんだし。いくら光秀君とは言え、一人で戦える相手じゃないんじゃない? 数的にもさぁ」
心配そうな顔をして、お市の方様は信長様にそう言う。とても心配そうな顔をなさっているお市の方様だが、娘たちのことは必死に笑わせようとしていた。
「心配するな。光秀は強い。誰よりも強い、何よりも強い。絶対に負けない」
自信を持ってそう断言する信長様。しかしお市の方様は、まだ不安で仕方がないというような表情をしている。




