金ヶ崎の退き口 弐
「父上の提案はいつも殆ど誰も反対できないし、結構不味いかも知んない。この話が本当なんだとしたら、市は……市は……。それに、この子たちだって」
そこまで長い間いたって訳じゃないんだけど、ゲーム内の年月は結構流れてるって設定でしょ? それでさ、あたしたちに子供が出来ちゃったんだよね。二人も。
ゲームなんだから生まれるときに痛みとかの再現はわざわざしてないみたいなんだけど、てか生まれる直前まで生まれることも分からないしさ。体力を回復する用の睡眠時にたまに夢イベントが発生するんだけど、その時に子供は神様が授けてくれたわ。
まあ子供が産まれた時を思い出すんじゃなくって、今はお兄ちゃんとお義父さんのことを考えないとね。まあいくら同盟を結んでるって言ったって、そんな長続きする筈ないか。
むしろお兄ちゃんが、こんだけ続かせてくれただけでも感謝ってもんよ。どうするかね……、どうすりゃいいのかね。
「母上、父上、どうなさったのですか? 怖い顔をしております」
次女の初が、不思議そうな顔をしてあたしたちを見つめていた。この子たちのことは、あたしが守らないといけないんだ。




