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始業式 Aパート 光視点

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 Aパート 光視点


 「おはよう、光」


 「おはよう。夕子」


 「おはようございます。夕子さん」


 朝の登校中、妹の紫と一緒に幼馴染の飛鳥夕子あすかゆうこと一緒に高校の校門の前で出会った。


 夕子は俺と同い年の高校二年生で軽く茶色かがったセミロングの髪に穏やかな目つきに大人しい性格をしている。


 紫と夕子と一緒に校舎の掲示板に張られているクラス表を見た。


 2年A組 1番 安倍晴明あべせいめい


 …………24番 橘葵たちばなあおい


 …………27番 豊臣秀吉とよとみひでよし


 …………31番 源光みなもとひかる


 2年B組 1番 飛鳥夕子あすかゆうこ



 「今年は…クラス違っちゃたね……楽しみにしていたんだけどな、光と同じクラス」


 「ああ、残念だな、夕子」


 「お兄ちゃん、私、1年A組になりました」


 「そっか、紫はA組かぁ」


 そう言いながら、俺達はそれぞれの教室へ歩いて行った。


 俺は2年A組に入った。


 すると、視線は俺に向かって好奇心の目を向けられる。


 「おはよう、源。どうやら今年も同じ組だな。まあ、結果は始めから分かっていたがな」


 声をかけたのは、安倍晴明。俺の友達で色々世話になっている。


 高校生陰陽師!とかで加持・祈祷・呪いから明日の天気予報まで100パーセントの確率で当ててしまう凄腕の陰陽師だ。


 グレーの学ランを着て、まっすぐストレートな髪をしている。男には珍しく長髪でうなじの当たりに軽く一つに纏めて括っている。


 顔は非常ーに整っており眉の形から目の力強さ、通った鼻筋、形の良い唇。


 背も高く、細マッチョで優男だ。


 「今年もよろしく頼むぞ。晴明」


 「ああ」



 俺は席について今日の新入生を歓迎会に使う道具を確認した。


 「ごきげんよう。光様」


 「あ、おはよう。葵」


 「今年は同じクラスになれましたわね」


 「そうだね」


 彼女は橘葵、俺達の親が決めた婚約者同士なのだ。


 葵はゆるくパーマをかけた髪を軽く揺らせて、俺を見た。


 葵は肩にかかる位の赤みがかかったパーマの髪にちょっと気の強そうなつり目にかわいらしい唇、背は高めで体系はスレンダーだ。


 「君と同じクラスになれたことに感謝するよ」


 そう言って、俺は葵の前に片足を膝まづいて、葵の右手に口づけをした。

 

 それは、俺と葵にとって挨拶みたいなものだった。



 朝のHRを知らせる鐘が鳴った。


 教室の扉が引き、教師が現れた。


 それは、藤壺美也子ふじつぼみやこ


 俺は驚いた。


 そして、どくん、どくんと心臓の音がやけに大きく聞こえた。


 藤壺美也子は教壇の前に立った。


 「今日からこのA組の担任をすることになった、藤壺美也子です。よろしく。教える教科は古文と書道です」


 クラス中に歓喜の声が上がった。特に男からだ。


 藤壺先生は紫に似て美しかった。いや、それ以上だ。天女でないかと思うくらいに。


 「先生、彼氏はいないんすかー?」


 それを言ったのは豊臣秀吉だ、見た目は軽いチャラ男で遊んでいる感じがするがこう見えても、この高校の生徒会副会長だったりもする。学校の注目の的だった。


 格好はいいだけど、サル感が抜けないだよな。


 「それでは、新入生の歓迎会に体育館へ行くのでみんな、並んでねー」


 豊臣の問いにはスルーして、次に行動を移そうとしている。


 さすがは、紫の姉さんだなと思う。


 藤壺先生とは過去に2回だけ、会ったことがある。


 最初に会ったのは紫と藤壺先生の母親と俺の父親が再婚する時に挙げた結婚式でだ。


 次に会ったのが、その一年後。


 紫と俺が家でした時に世話になって、数日お邪魔したのが二度目の時。


 それから、数年は会っていなかったが、すごく美しく綺麗になっていた。


 藤壺先生……。


 俺は藤壺先生に目を奪われながらも、新入生の歓迎会の準備のため、頭を切り替えた。


 新入生の歓迎会のプログラムに含まれているのが部活の紹介、俺が所属している部活は書道部である。


 順番が来た。


 俺は白の和服に黒の袴を着てたすき掛けをして、いざ出陣!


 書道部の出し物は大きな紙に文字を書くというものだけど、音楽に合わせて文字を書いていくものだ。


 曲と共に終わり、書き上げた髪を持ち上げて一年の見せる。


 一年生の反応は良かった拍手喝采、結果は上出来であった。


 それから、お昼になって人がいない所であるものを被り、あまり人が来ない旧校舎の女子トイレに入った。


 そして、ドカベンと呼ばれるに相応しいサイズのお弁当を開き、箸を持って両手を揃えて、「いただきます」


 俺は蜘蛛男スパイダーマンのような変身マスクを被ったまま、勢いよく食べる。


 いわゆる、便 所 飯。


 なぜ、一人でこんなところで食べてるかって、イメージだよ。


 俺のイメージを壊したくないんだ。


 実は俺が大食漢だなんて周りに知られたくないのだ。


 俺の容姿は見ての通り、自分で言うのも何だけど、月の様に美しく霧のように繊細で「白の貴公子」とあだ名されている。そんな俺のイメージを壊さないために必死なんだ。


 俺の孤独はこの美味しい、お弁当が癒してくれる、ありがとう、お弁当。それを毎日作ってくれる母さん、ありがとう。


 こうして、ご馳走様をして個室のドアを開けた。


 それと同時にトイレの入口の扉が開いて、見られてしまったのだった。


 俺と同じ赤い蜘蛛男スパイダーマンのマスクを被った女子生徒に。



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