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むしさされ。
いつものバス停にて――
「う〜……かゆかゆ」
イブキが少し赤く腫れた虫刺されの痕をポリポリ掻いていると、
「ちょっとそんなふうに掻き毟ると跡が残るちゃうよ」
見兼ねた月夜が注意する。
「だってカユいんだもん」
「せっかく肌綺麗でプニプニに柔肌なのに痕とか残るのもったいないよイブキ」
「う〜ん……」
うなりながらもポリポリ描くのをやめない。
「だってカユいんだもん」
「そんなこといわずに我慢しなさい」
「だってカユウマなんだもん」
「それは、イブキの自制心がゾンビ並だといいたいのか?」
「ジセ~シン?」
「それ以前の問題だったか……ほら薬塗ってあげるからこっち見せてみなさい」
「ん。ありがと」
「はいはい。どういたしまして~。本当は50度ぐらいにした蒸しタオルなんかを幹部に当てると虫さされの毒素が活動を停止させるから痒みもなくなんだけど」
「へ~」
「――ってアンタ本当にモチ肌ね」
「ちょ――月夜すぁりかた、なんかエロい!」
「え~そんな事いうやつはこんなトコも触ちゃうぞ!エイ!」
「……あっ!?」
暑いのにベタベタする仲良しな二人だった。