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しゅ〜りょ〜
いつものバス停にて――
「オレオ生産終了っ⁉︎」
月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事に驚きの声を上げる。
「そんな……そんな事になったら……サ〜ティワンにある、あのアイスどうなちゃうの?」
と、割とどうでもいい事を心配する月夜に、
「なんか、9がつ4にちおわっちゃうみたいよ、ホラ」
イブキが自分のスマホ画面を見せながら、
「ホントだっ⁉︎ オレオを使ったアイス2種、オレオの生産終了ともない4日に販売終了‼︎ 行かなくっちゃ‼︎」
「えぇぇ⁉︎ そこまでっ⁉︎ さいきんわりとスズシ〜よね?」
そう言いながら、やや弱くなった太陽を見上げる。
「だって! もう食べられなくなるんだよっ‼︎」
「う、うん……」
月夜の迫力に圧されて、そう言ってしまうイブキ。
「でもさ」
「ん?」
「月夜ってそんなにオレオすきだっけ? なんか、あんまたべてたキオクが……」
「あんまり食べた事ないよ」
「じゃ、べつにいいじゃん‼︎」
「ウチにとってはいつでも食べられなくなる事が嫌なのっ‼︎」
一つの味が消える言葉に大変な悲しみを感じる月夜だった。




