おもいで。
いつものバス停にて――
「ステ〜キのどんで600グラムのハンバ〜グっ! しかも2回の200グラムハンバ〜グのおかわりも無料っ‼︎ いいじゃない、いいじゃない‼︎ 合計1キロのお肉‼︎‼︎」
月夜が歓喜の舞をしながら、バス停を振り回す!
「ナツヤスのシュクダイかぁ〜……」
その隣では、むつかしい表情をしながら、そんな事を呟くイブキの姿が、
「今年は平気じゃない? 補習のときにちょとづつ進めてるでしょ?」
「んと……イブキさんのシュクダイじゃなくって、ショ〜ガクセ〜のコロにイヤだったシュクダイってはなしがね」
そういって自分のスマホ画面を見せる。
そこには――
「小学生の頃、嫌いだった宿題ランキング?」
と、書かれていた。
「そそ」
「――で、これがなんなの?」
「んとね……このショ〜ガクセ〜がきらいなシュクダイのいちばんが――」
「あぁ……読書感想文ね。確かにあんまり興味もない本読まされてい感想書けって、結構キツイよね。なぜだか変な制約みたいなモンあるし、学校の図書室限定とかさ〜」
月夜もなにか嫌な思い出でもあるのか、そんな不満を口にする。
「イブキさんはわりとキライじゃなかったけどね」
「へぇ〜……本読むの好きだったっけ?」
「ううん。たいて〜おと〜さんおか〜さんがよんでるからあらすじとかクライマックスとかポイントおしえてもらって、いかにもよんだよ〜にかいてたよ」
「でも〜」
「ん?」
「なんだかんだで小中と自由研究とか作文とか工作もあって大変だったケド、楽しかったな〜……いまなんて問題集ばっかしだもんっ!」
月夜がしみじもそう洩らす。
「えっ⁉︎ なにいってんの? シュクダイなんてひとっつもたのしくないよ!」
キッパリと言い切るイブキだった。




