ばくはミス。
いつものバス停にて――
「カップヌ~ドルが35周年記念にリッチで贅沢な味を販売っ!?」
月夜が愛用の情報アプリの中にあった記事を読んでいる。
「2つのリッチ味がでるのかぁ~……すっぱんス~プ味? すっぽんってどんな味がすんだろ? カメの味がすんのかな?――まあ、カメも食べた事ないケド……もう1個はフカヒレっ!! フカヒレかぁ~……おいし~のかな? 食べた事ないケド……サメの味がすんのか? サメ食べた事ないケド……」
高級食材に縁のないJKである月夜がそんな悲しい事を呟いていると、
「グ~グルマップのヒョ~ジミスでカイタイやさんにジタクをバクハされるっ!? あちゃ~! すっごいフコ~なヒトもいたんもんだ」
ニュ~スの中にあったそんな記事を読みながら、イブキが同情するような声を洩らす。
「みて、みてよ。月夜――」
イブキがそんな不幸な記事を『カメの味』っとググって調べていた月夜に見せる。
「はぁ~……いるのね。こんな不幸な人が……」
と、月夜も気の毒にと呟く。
「でも、でもさ――」
「ん?」
「このカイタイぎょ~しゃさんがガッコ~をバクハしてくれるカノウセ~も――」
「そんな可能性は微粒子レベルでも存在しないと思うよ」
そう否定する月夜だった。




