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ねいる。
いつものバス停にて――
「みてみて~」
イブキがそういって細く長い指を月夜に見せる。
「イブキって手綺麗だよね、指細くて長くて、肌もつやがあって」
「どこみてんのさ! 見てほしいのは爪だよネイル~」
「ネイル?」
言われて注意深くイブキの整えられた爪を見る。
「あら!? 可愛い! ドラム缶が浮き輪つけてる」
「ドラム缶ちがう! レンソウホ~ちゃんだよっ!!」
「ふ~ん……よくわからないけど上手く書いてあるね」
「でしょ、でしょ~イブキさんが自分でやったんだよ!」
「へ~アンタ意外に器用なんだ――」
「そうなんだよ! 月夜にもやったげるよ」
そういって月夜の手を取り、
「いや、いいよ」
「えぇ~!? なんでなんでかわいいの書いてあげるよ~」
「ほら、ウチって弓道やってるじゃん? 爪とか手とか結構ボロボロで皮も厚いからさ~」
「なるほど~。そういえば弓道ってさ~」
「うん?」
「弓矢使ったサバゲーみたいなモン?」
「うん……ぜんぜん違う」