かべど~ん!
いつものバス停にて――
「ねぇねぇ――」
「どうした?」
「壁ドンってあるじゃん?」
「カベドォン? なに怪獣の名前?」
「ふへ!? もしかして月夜『壁ドンっ!』しんないの?」
「だからなにそれ?」
月夜の脳内ではトゲトゲの甲羅を背負った巨大怪獣が右手に東京タワー、左手にスカウツリーを持って大暴れしてるゴジラとガメラを足して2で割ったようなモンスターをイメージしていた。
「壁どんだよ~カベド~ン!! 女子の憧れのシュチュエーションだよ! 好きな男子やってほしいコトナンバーワンだよ(ただしイケメンに限る)」
「う~ん……わかんない」
「は~ちょっとこっちきて月夜」
イブキは月夜を風を凌ぐ囲いの隅に移動させると――
ドンっ!!
逃げられないように腕と身体で密着する。
「これで、このままキスしたりするのがいいんだってさ~」
「ふ~ん……ウチはこうやって強引に迫られるのはイヤだな~ついつい抵抗しちゃいそう」
「また男性目線だとそれもいいんじゃないかな~」
「そっか頭突きとかしたほうが男子も喜ぶんだ」
「それはフツ~にイタがると思う……」
武道女子に『壁どんっ!』はやめておきましょう。