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こ~えん。
いつものバス停にて――
「あ、あつい……」
炎天下の中、犬のように舌をダラリと口から出したまま、噛まないようにそう洩らすイブキ。
「ちょっとダラしないわよ、イブキ」
うっすらと滲んだ汗をスポ~ツタオルで拭きながら、
「だって~あついんだモン~」
イブキがカバンからネイルを乾かすためのミニファンを取り出し『ぶぉ~ん』という音と風を顔に当てる。
「う~んすずしぃ~」
「まだバスくるまで時間あるし、近くの公園で涼む?」
そう提案してくる月夜に、
「ん~? イイけど………いまのコ~エンってル~ルきびしいよ」
「別に演唱したり、野球したりするワケじゃないから大丈夫でしょ」
「でもインショクはキンシだよぉ~」
「そ――そんな厳しいル~ルあるのっ!?」
「いや……そこまでいうほどのコトじゃないとおもうよ」
大袈裟な月夜の反応にミニファンの風に煽られたままのイブキは気持ちよさそうに目を細めてそう言い返した。




