もりかた。
いつものバス停にて――
「ふ~ん……アメリカじゃライバル会社の製品を飲んだだけで解雇になるんだ……就業中の休憩時間だけとはいえ、好きな物を選べないなんて……」
月夜がグルメ系ニュ~スの中にあった、そんな雑談記事を読んでいると、
「イブキ! イブキ!!」
グルメ系からオシャレ系ニュ~スにカテゴリを変えた時、月夜はおもしろそうな記事を見つけ思わずイブキに話しかける。
「ん~……? なぁに?」
イブキが眠そうに目をこすりながら答える。
「なんでそんな眠そうなのっ!?」
「いや~。きのうミズギをえらんでたら……う~……」
「ほらほら~この記事。その水着を着るときに役に立つよ」
「へェ~。どんなやつ? どんなやつ?」
興味を惹かれ必死に眠気を振り払って月夜のスマホ画面を見ると、
『ちっぱいをグラビア女優なみにする盛り方』
と、いったタイトルだった。
「これによるとね――水着の下にヌ~ブラを一杯重ねれば、かなり盛る事ができんだってよ!」
月夜は自分の一言一言がイブキのライフを削っている事に気付いてない。
「他にもね――医療用テ~プで腋や背中の肉のつかったり――ちょっとイブキ、話しの途中で寝ないでよ」
バス停に寄りかかったままピクリとも動かなくなったイブキの肩を掴んで揺する月夜に、
「ヘンジガナイタダノシカバネノヨ~ダ……」
カタカタと機械的な口調でそう答えるライフ残量0のイブキだった。




