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えび。
いつものバス停にて――
「そっか〜。も〜すぐ食欲の夏かぁ〜」
「なつぅ⁉︎」
月夜の何気ない呟きに過剰ともいえる反応をするイブキ。
「なつなのにショクヨクなの? あきじゃないの? むしろ、なつってショクヨクなくなるよね?」
などなどを矢継ぎ早にまくし立てるも、
「イブキ……夏はね――」
イブキの質問も一蹴するように口を開く。
「車海老に季節なのよっ!」
「うん? へ? あ〜そなんだ」
「この季節の車海老でつくられた、エビフライに海老天は絶品なんだからっ!」
「イブキさんはどっちかてゆ〜と、エビフライかな〜タルタルをニュイ〜ンってつけてサクサクたべちゃう」
「あら? 海老天もいいわよ。天つゆに付けてパクっとたべると衣の下はプッリプッリの海老――あぁ〜サイコぉ――」
「そっか〜……月夜はエビテンのがすきなのかぁ〜」
「えっ! エビフライも尻尾も大好きよ、なんなら夏野菜もウナギのぜ〜んぶ好きだけど」
これが『食欲の夏』かぁ〜と実感したイブキだった。




