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無価値のレゾンデ~トル  作者: HAWARD
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うなかン。

 いつものバス停にて――


「また一つ日本のいいところがなくなったわね……」

 月夜が秋を感じさせる、朝空を見上げてながら、


「九〇年続いた歴史に幕か……お疲れ様と言ってあげたいケド……続けてほしかったというのが本音よね……」


「90ネンならそんなにむかしじゃなくない? そもそもニホンのいいところ?」

 隣でイブキがそんな事をいう。


「ウナギよ。ウナギの蒲焼缶詰が九〇年の歴史にピリオドを打つのよ……」


「ヘェ〜……」

 興味を失い、スマホに視線を戻すイブキ。


「歌人の斎藤茂吉も舌鼓をうった日本の誇る最高の食べ物よっ!」


「ふ〜ん……サイト〜モキチってだれ〜?」


「缶詰は三切れで白焼きしたウナギを甘さ控えめの自家製ダレで丁寧に焼き上げ、口に運ぶとき香ばしいかおりが堪能でき、さらに柔らかい身の食感はなんともいえない最高の味」


「地元の養鰻業者が出資し会社の前身が誕生、一九三四年に缶詰生産をはじめるが、まだ冷凍技術がない時代のため非常に重宝されたか〜……いまの時代でも重宝されるわよね〜」


「売り上げは高度経済成長期には伸びたが、九〇年代に落ち込み……なんでかしらね? ウナギだし、落ち込む理由なんかないのに?」


「今年一月に製造ラインをとめ、在庫は七〇〇〇個ほど、九月末には売り切れ次第、終了……」


「残念よね〜」


「そだね〜」

 隣で興味なさそうに同意するイブキだった。

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