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ぷれぜんと。
いつものバス停にて――
「すんすんすん――」
月夜が形の良い鼻で何かを嗅ぎ取る。
「ねぇ、なんか良い匂いしない?」
「むぅ…………ホント月夜はくいしんぼ~だな」
そういってイブキは学生カバンの中から紙袋を取り出す。
「なにそれ? なんか甘い匂いするけど……」
「クッキ~つくったんだ」
「へぇ~……じゅるり……でもなんで?」
「んとね……オトコの人がいちばんイイとおもうプレゼントってね~てづくりのクッキ~とかカンタンにつまめるたべものがいいんだってさ~」
「ふ~ん……ポリポリ」
と、いつも間にか紙袋の中から一枚失敬したクッキ~を食む月夜。
「あ~! もうかってにたべないでしょ!!」
「いいでしょ。ど~せあげる相手もいないんだし」
「いるもん! このニオイにさそわれてイブキさんもウンメ~のオ~ジさまがやってくるんだもん!!」
「まあ、がんばんなさい」
結局、イブキの運命の王子は現れず下校時には月夜がクッキ~を食べてました。




