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不便なアプリのレゾンデートル。
いつものバス停にて――
「歩きスマホを防止するアプリか~」
「ふ~ん……まあ、いいんじゃない。それで事故や怪我する人が減るなら」
「う~ん……」
「どうしたの?」
「いや~コレって自分でインスコする無料アプリなんだけど、わざわざ不便になるアプリを誰がいれるんだろうな~って」
「まあ、もうクセで使う人とかアブないのわかってるけどついついやっちゃう人とかがいれるんでない?」
「そういえば月夜はちゃんと止まってスマホイジるよね~」
「まあ、ウチはタッチパネルとか慣れてないから、イブキは歩きながらどころか食事しながらでも、会話中にもやってるよね」
「マルチタスク慣れてるからね!」
「いや! 自慢するトコじゃないからっ!!」
「歩きスマホも慣れてくると気配だけで周囲になにがあるかわかるようになるんだよ! 自分の周辺に気を飛ばして結界化するコトで目にみえない死角からの攻撃にも対処できるんだよ」
「ふ~ん……」
そう言いつつ月夜はこっそりと背後に回り手刀をイブキの頭頂部に――
ベチ!
「できてないじゃん!」
涙目になって蹲るイブキに月夜が言い放った。




