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まだこない……
いつものバス停にて――
「じんせ〜でさんかいはくる、モテき――まだのヒトは4わりごえ」
イブキがそんな如何わしい記事を読んでいる。
「ねぇねぇ――」
月夜が餅要りハ〜ゲンバカ売れ――買い貯めしなきゃと考えてるとイブキが話しかけてくる。
「なに?」
「月夜はモテきとかあったの?」
イブキがふと思い付い疑問を口にする。
「ウチ? ウチは――」
そういって月夜は思案顔になる。
「まあ、月夜にモテきなんかきてるワケないよね〜」
イブキの言葉にカチンときた月夜は――
「あ、あるわよ」
「あるんだっ⁉︎」
「も、もちろんよ」
と、言いつつ歪な笑顔を浮かべる。
「ねね――どんなかんじだったの?」
聞かれても、人生で一度も男性と付き合った事はおろか「温めてください」「袋はいいです」以外の会話を異性としたことがない月夜は――
「あ、あれはなってみないとわかんないよ……言葉で説明できるものじゃないからね〜」
「ふ〜ん……そなんだ」
「う、うん。そうだよ」
二人のモテ期がいつ訪れるのかは誰も知らない。




