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ばれんたいん。
いつものバス停にて――
「おは~」
いつも通り――、いやいつもよりも若干テンション高めのイブキが大きなバッグを担いで現れた。
「おはよ~。――って、なにその大荷物!?」
「なにいってんのっ! キョ~はバレンタインだよっ!! みんなにくばるためのモノにきまってんじゃん!!!」
「そんなに配るの?」
「うん。いっぱいくばるよ――あっ! 月夜にもはいこれ」
「ありがと」
月夜は綺麗にラッピングされたチョコを受け取り、
「すごっ! このクオリティの物を配るの? 貰った人絶対勘違いしちゃうって」
「くばるよ~。カト~くんとかスズキくんに――」
イブキがツラツラと本日、チョコを渡す予定の名前を挙げていく。
「――くんかな~」
「…………イブキ」
「うん?」
「くんづけて呼んでるケド、みんな女子だよね」
「……うん」
友チョコ100パーセントなイブキだった。




