かみ。
いつものバス停にて――
「イテテテテ――」
イブキ顏をしかめ手袋を外す。
「どったの?」
月夜が指先をムニュと揉んだり、舌先で舐めたりしているイブキ声をかける。
「う〜んとね……きの〜さカミでユビきっちゃったの、みためそんなにふかいキズじゃないのにミョ〜にイタくって……」
そういって痛みを誤魔化すためにブンブン手を振る。
「あ〜確かにパックりいくと結構痛いよね」
「うん。チなんかも〜でてないのにイタみだけひかないんだよネ」
「うんうん。アレ痛いよね!」
月夜も同意する。
「なんで、あんなにイタんだろ~ね。ほんのちょっぴりきっただけなのに……」
「なんかね、指の先って神経が集まってるかららしいよ」
「ほえ~。そなんだ」
「あとね。紙で切った傷ってスパって切れてるじゃなくて拡大してみるとノコギリで切ったみたいにギザギザになってんだって」
「うへ! それはイタそう!!」
「あとは指ってよく動かすでしょ? そのたび刺激が加わって通常より痛みを感じ気がするんだってさ」
「へ~。なんかヤケにくわしいネ」
「ウチもよく切っちゃうからね指」
「あ~うすくてたかいホンでか」
妙に納得してしまったイブキだった。




