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無価値のレゾンデ~トル  作者: HAWARD
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イブのよる。月夜編。

これは独り身の人が月夜と二人っきりで過ごすというシュチュを元に執筆されています。

 実際の月夜は明石家サンタ見て寝ました。


「こっちこっち」

情緒溢れる日本家屋――そんな雰囲気の玄関先で呼び鈴を押そと思った矢先、コ〜トの袖を引っ張られ、声の主が走り出す。

「もう! 着いたならLINEで連絡してって言ったじゃん」

左右にテンポ良く揺れる黒髪、後ろ姿のため表情までわからない。

「う〜……誰にも見られてないかな?」

寒い外気の中で真っ白い息を吐きながら日本庭園を駆け――大きな屋敷からどんどん遠ざかり、元々は茶室だったのか、離れに連れて行かれる。

「ゴメン。家族に見つかると厄介だから、ウチの部屋に上がって」

縁側を備えた立派な一件がまるまる月夜の部屋だった。

「少し床冷たいかも……古い家だから床暖房とかないから」

確かに出入口に面した木の床貼りからはジンワリと冷気が感じられた。

「奥はカーペットとか敷いてあるから平気だよ。ごめんね、慣れてないとキツいでしょ?」

月夜が心底、申し訳なさそうな表情で、それに大丈夫と答える。

畳のうえにカーペットを敷き、畳に痕が残るのも構わず強引にベッドを入れていた。内装も洋式に代えており、部屋に入る前までの純和風といった風情を掻き消していた。

「食べる物用意してあるけど、足りるかな?」

 洋装に改造された部屋にあって、デンっと大きめの長い檜のテーブル――明らかに西洋の様式美とは異質のテーブルの上には、ピザやハンバーガー、サンドイッチなどの軽く摘める物が――山積みにされていた。

「い、イブキみたいにっていかないけどウチもそこそこできるんだよ」

そういってフワフワモコモコした真っ白なハイネックセーターに包まれた胸をはる。

月夜はいつも通りの豪快な食いっぷり、しかも本当に美味しそうに食べるものだから、こちらもついつい釣られていつも以上に食べてしまう。

気がつくと既に20時を過ぎていた。

「へ? そろそろ帰ったらほうがいい? 大丈夫ぶよ。ウチの親、滅多にここに来ないから――今夜は一晩中一緒だよ」

それがどういう意図で発せられたセリフかわからないが、今夜はとても素敵な夜になりそうだ。


――と、思った過去の自分を軽く殴り飛ばしてやりたい!

「ほら、次はこれだよ」

月夜はコ〜フンした様子で美男子同士が壁ドンした様子の描かれた薄く本を広げて見せてくる。

「ちょっとどこ見てんのっ!」

はい。壁のシミとか天井の木目模様とかを見ています。

「しっかり見てよ! 男性目線でこれど〜なの? 友達にやってみる? それともされてみたい? ほらほらほら――」

グイグイとゴリ推ししてくる月夜――ときおり身体が重なるぐらいの大胆な距離感にもなったりするが、キラキラした瞳で次々と美男子同士の絡みを見せられる。


朝靄の立ち込める中――

「う〜楽しかった!」

げっそりと疲れたこちらとは対照的に――むしろ肌がツヤツヤになったとさえ思えるほどの月夜。

「あ! 来週も空けといてよね。今度は買いに行くんだから‼︎」

得意満面の笑みでそういう月夜にノ〜とはいえず来週の予定を空けてしまう。

嫌なのになぜか付き合ってしまう――月夜の不思議な魅力なのかもしれない。

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