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まふまふ。
いつものバス停にて――
「ねぇ。イブキ――」
声をかけた後、月夜はハァ~と真っ白な息をスマホ操作する手に吐きかけ、仄かにあったまと手を耳に当てて間接的に耳を温める。
「ふんふんふ~ん♪」
イブキはというと、白いフワフワのイヤ~マフをつけて、月夜の声は届いていない様子。
「しかたないな~」
月夜がちょんちょんとイブキの肩をつつき、
「ん?」
月夜が耳を指して、耳あて、耳パット、イヤ~マフをを外すように促す。
「なに? ど~したの?」
イブキがマフを外しながら月夜のほうを向く。
「いい加減、ウチのマフ返して!」
冷えた風の中、必死に耳を温めようと手を当てながら月夜がそう叫んだ。




