230/4295
わだい。
いつものバス停にて――
「う〜さむさむずずぅ〜」
「今日は寒いねズズゥ〜」
曇天にたちこめる朝靄の二人はホットドリンクで寒さを誤魔化す。
「……………………ズズゥ……………………」
「……ずず………………………………ずず」
しばらくホットドリンクを飲む音だけ支配する。
「月夜」
「ん〜?」
沈黙に耐えかねたのかイブキが月夜に話しかける。
「なんか、おもしろいはなししてよ」
「え〜! この寒い中で手袋とってスマホイジるの?」
「月夜がスベらないジシンがあるならスマホなしでも」
「そんなにしっかりした話し作んないとダメなのっ⁉︎」
「う〜ん……たのしくてわらえて、サイゴにちょぴりカンド〜できたらいいかな」
「……それができたら世の作家は苦しまないと思うよ」
月夜のため息混じりに真っ白な息を吐きだした。




