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無価値のレゾンデ~トル  作者: HAWARD
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【閲覧注意】これ読んでモヤっとなった奴は寝ろ。

勢いでやってしまった。今は反省している……。

4月末 GWを明日に控えた平日の朝、登校途中の女子生徒二人がバス停で――


「――はふ」

「なに? 寝不足?」

 トレードマークの長い黒髪を揺らし目線の高さをミニマムなイブキに合わせ大げさなリアクションでイブキの目元を指しながら言う。

 仕草は愛らしいが――性格が男勝りのなかなか漢っぽい女子のせいか、せっかくの愛らしい仕草も侍がスキを作るための予備動作の様にしか見えない。

「うー……きのうやってたゲームがおわんなくて……」

 青い顔でフラフラのまま再び大アクビ――歯並びが良く虫歯の心配もないような真っ白なエナメル質が輝く。

「学校あんだからセーブしてさっさと寝なさいよ」

「いや~そうもいかなくって――セーブがめんひらくとフリーズするバグがあって、やりだしたらイッキにサイゴまでやらないとダメなんだよぉ! しかもADVならきほんトーサイのオートモード、スキップ、バックログついてないし」

 そこから、何故かちょっと嬉しそうな表情になると、

「でもね、でもね――やりはじめたらそれ、まだまだマシだってきづいたんだよ! ムービーはいったらフリーズ! スッタフロールでもフリーズ! ボタンおしただけでフリーズ! ホラーシナリオモノなんだけど『シナリオよりもバグのが恐い』っていうウワサどおりのシヨー(仕様)にイブキさんの魂に火がついたのだぁ!」

 先ほどまでフラフラだったのが、ウソの様に握り拳で目の中に炎を宿らせつつ自分の事を『さん』づけで自称するイブキ。

「噂通りってわかってたのならやるなよ……」

呆れ顔の月夜が放った一言に――

「なにをいう! クソゲーはもうジュウヨーブンカなんだよっ! 『萌え』『クソゲー』『音楽』の三つはエーエンにフメツ!」

 瞳の中に宿した炎をさらに滾らせ本人も理解してるか怪しい文字を使用して力説する。

「あ――三つのうち二つはいらん気がするのは気のせいか? むしろ『白衣』『メガネ』『スーツ』の三種の神器を残すべ――」

 月夜の話しを聞かずにイブキはさらに熱い想いを続ける。

「クソゲーはひとをわらわせ! ニンタイとじかんのたいせつさをおしえ、カブ(株)のそんきりさえまなぶことができるスグコン(優れたコンテンツ)だよっ! よく訓練されたクソゲーハンターはまさにサムライ! 折れぬ魂なんだよっ!」

 と、頭から湯気でも出さんばかりの勢い。

「いや――ぜんぜんわからんから」

 やや引き気味に顔の前で手をパタパタさせながら答える月夜に――

「でもね――四年にいちどくらい、その折れぬ魂をすべて折っていくモンスター(超大物大作クソゲー)があらわれるんだよね……」

 イブキが顔に陰縁を作りボソリと呟く。

「ひとつ聞いていいか?」

「なぁに?」

「いや――力説してるとこアレなんだが……そんなのやってて楽しい?」

「ううん。ぜんぜんたのしくないよ」

「即答! しかも楽しくないのかよっ!」

「クソゲーのテーギは『やってるプレイヤーの気力をこそぎおとしつつ、おわったあと二度とやらない!』とおもったら、だから!」

 ちょっと嬉しそうに言い切ると――

 つまんない中途半端なゲームは数多い。けれど――その中には計り知れない瞬発力を持つ笑えるクソゲーやバカゲーも多い。初心者泣かせの無理ゲーもあるが……。

 しかし、それは砂漠の中で輝く一粒の宝石! 

 見つけた時の感動は――誰も知らないおもしろい本を見つけた時や再生数が後にミリオンヒットした神動画を二桁台で発見した時のちょっとした優越感に似てる。

 と胸に熱く滾る想いを本人も理解しているか怪しい言葉を使って力説。

「ひとはなぜクソゲーをやるのか? それはそこにゲームがあるからだぁぁぁぁぁぁ!」

 想いをブチ撒けた後にそう〆る。

 その様子はキリっ! と両眉毛を"こんな感じにおっ立てて歴史に残る最上級のドヤ顔であった。

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