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おりじなるバ〜ガ〜
いつものバス停にて――
「イブキってさ〜」
月夜が片手でスマホをイジりながら話しかけてくる。
「おこづかい幾ら?」
「ん〜……?」
イブキが思案顔で視線を中空に彷徨わせた後――
「たぶんイチマンエンぐらいかな〜」
「たぶん?」
「ほら、ふくとかケ〜タイだいとかアプリのおかねとかはベツだからさ」
「あ〜わかる、わかる」
「でも、いきなりど〜したの?」
「ん〜シドニーに行きたいんだよね」
「へ〜アメリカの?」
「いや……オーストラリアね」
「へ〜リュ〜ガクすんの?」
「これのためよ」
「シドニーのマックではじぶんでグザイをタッチパネルでえらんでチュ〜モンできる?」
「うん」
「月夜……もしかしてこのタメだけにいくの?」
「うん!」
一瞬の躊躇いもなく言い切った月夜に爽快感すら覚えたイブキだった。