かべど〜ん! つぅ〜
いつものバス停にて――
「壁ドン――受けに強引に迫る手首ドン――なかなかおいしいシュチュかも?」
月夜が周囲をきにしながらスマホ画面を見て何事か呟いていた。
「なになに? なによんでんの?」
遅れてやってきたイブキが月夜の肩越しに覗きこむ。
「うきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――‼︎」
イブキの存在に気づいた月夜は奇妙な叫び声とともにスマホ画面を慌てて隠す。
「イ、イブキ……いつからいたの?」
「ん? つい、いまさっきだよ。そんなコトよりなに読んでたの?」
「そ、それは……えっと……」
視線が泳ぎしどろもどろになる月夜。
「なになに? もしかして――えっち〜記事よんでた?」
「うっ! いや……その……か、壁ドンの記事をね……」
「かべどん――って、となりの部屋がうるさいときかべたたいて威嚇するやつ?」
「それじゃなくって、ほら受けの男――じゃなかった……え、えっと……お、押しの強いイケメン男子強引にせまってくるシュチュの事だよ」
「あ〜なるほど〜でも――」
「ん?」
イブキがイタズラッ子のような笑みを浮かべ――
「月夜のば〜それは男子ド〜シなんだよね」
「ちょ――わかってんならイチイチいわないでよ‼︎」