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二霊二拍手!~昇天巫女様とゆかいな下僕-アコースティックVER.-~  作者: にゃん翁
第一話 少女霊椅譚(しょうじょれいいたん)
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 両手に神依かみよりの札をもつと、祝詞のりとを唱えて前に突きだす。


「我乞ひ願ふ。悪しき御霊に八咫の羽根の一雫を灯さん」


 ぴたりと影の肩にはりつけると、それは青々とした炎と化して燃え、影は奇怪な絶叫ぜっきょうをあげてもだえ苦しむ。

 別の一枚をはりつけると、さらに青い炎が燃え移り、影は苦悶くもんの表情をつくる。


「やはり、かれていたのは笹岡さんでしたか」


 次の札を巫女服のそでから取りだしながら、不適にあえかは微笑む。

 普段のうるわしい面からはほど遠い表情だった。


悪鬼夜行あっきやぎょうよ! われは天照大神の御使いにして汝の罪を裁く者! とっととその醜悪しゅうあくなツラをわたしの前から消しなさい!!」


 次々と札を投げつけると、そのたびに影は燃え、さらに苦痛のうめき声を上げる。


「あと一息」


 あえかが最後の一枚を投げつけようとした刹那せつな障子しょうじがガラリと開いた。


「な、何の騒ぎっすか!?」

「馬鹿!!」


 影はただれた身体で首をひねると、熱したチョコレートのようにどろどろと溶け、ひらいた結界を外へと飛びだした。

 そのまま、あんぐり開けた日和の口へと呑みこまれていく。


「ごくん」


 のどぼとけまでならした後、日和は呑みこんだものをあえかに聞いた。


「あの、今の何」


 ゲロ。


 日和の肌の色が変色していき、まるでタールを塗ったような墨色すみいろに変わる。


「ゲロゲロ」


 目がぐるんと上に回転し、奇妙な鳴き声まで発する。

 美倉みくらみすずはまた気をうしなった。

 あえかは気にせず踏みだすと、日和の口が閉じる前に札を突っ込んだ。

 ぼひゅっ、と音がして、日和の身体の穴という穴からしゅうしゅうと黒い煙が吹きだす。

「う~ん」とうなり、日和はその場に倒れた。げほっ、と黒い煙を吐きだす。


「なんとかなりましたわ」


 あえかは元の口調にもどって手を叩いた。


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