序章
月明かりが差し込む広い部屋。
窓際に座り、月を眺めている1人の女。
俺が部屋入ると、すでに2人の先客がいた。
壁に寄り掛かりながら腕を組む男が、こちらを見て苦笑いする。
ソファに座っていた少年は、表情には出さないが明らかに不機嫌だった。
どうやら、俺を待っていたらしい。
「…遅れてしもうて、悪いなぁ。んで?俺らを呼んだ理由はなんかいな、女帝?」
とりあえず待たせてしまったことを詫び、ここに呼ばれは本題を切り出す。
女は月を眺めている。
紅い瞳が、月の光に照らされて宝石の様に輝いている。
__綺麗だと素直に思った。
「1週間後に、バトルラウンドが始まるわ」
女は月から目を離し、こちらに目を向ける。
美しい顔に、妖しい笑みが零れている。
「準備を始めるわ…各隊、1週間後に控え体力補充、武器の確認をしなさい」
「なんや、今回はえらい遅い知らせやな」
「きっと上がなにか考えているのでしょう」
壁に寄り掛かっていた男が、会話に加わる。
「ほんと、いい迷惑ですよねー。こっちだって準備があるってのにー」
ソファに座っていた少年も愚痴を零す。
「まぁ、そう言いなや。とりあえず俺らに出来る事をしようや、じゃあ女帝。準備でき次第報告するわ」
「ま、今回も僕らが優勝だけどねー」
「油断はいけませんが…確かに、王者の座は譲りませんよ」
「せやな。じゃ、行くかいな」
3人はドアの前に立ち、
「我の主に、栄光を」
「力を剣に、強さを盾に」
「主に勝利を捧げましょう」
そう言って胸に手を当てる。
「今回も、暴れてやるわよ」
そう言って妖しく微笑んだ。