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まだ途中
夜の街に、異常事態を告げる警報が響く。兵士たちの怒号が遠くに聞こえた。
いまごろ城は大騒ぎだろう。それはそうだ、一国の姫が攫われたのだから。
そのさらわれた姫、私アリスは、私をさらった数人の男達と民家に潜んでいた。正確には、さらわれたのではなく、さらわせたのだけど。
「ここまでは手筈どおりだな」
グループのリーダーらしき禿頭の男が言った。
「そうですね。あとは騒ぎがある程度落ち着いた頃合を見計らって、お姫さんを用意した馬車で送り出すだけです」
答えたのはまだ十代の後半に見える若い男だ。
「しかし姫さん、本当にこの騒ぎ、夜が明ける前には沈静化しますかね」
「大丈夫よ。必ず収まるわ」
私は言った。白には「共謀者」がいる。そいつが必ずこの騒ぎを鎮めてくれるはず。
「ほんとにいるんですかい? この騒ぎを鎮められるほどの力を持った共謀者が」
「何度も言わせないで。