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Chapter 4:小さな国の希望
アルトの国の春は、長い冬の寒さをやっと終わらせたばかりだった。畑には柔らかな緑が広がり、村人たちは笑顔で作物を収穫する。木造の家々には赤い屋根が映え、中央の噴水には水が勢いよく流れている。
「今年は豊作だってさ!」
広場で声を上げる少年の声に、村人たちも笑顔で応える。
アルトは少し照れくさそうに、エリナを見下ろした。「いや、でも……きっと、この方のおかげでしょうね」
エリナは微笑みながらも、まだ体の疲れを感じていた。だが、ここでは誰も彼女の本当の身分を知らない。穏やかな風と子供たちの歓声が、心に小さな安らぎを与える――ようやく、彼女は少しだけ自分を解放できる気がした。




