鉛色の空の下、エリナは疲労で倒れていた。靴は泥だらけ、衣服は破れ、唇は紫色に冷えている。
「しっかりしてください! どこから来たんですか?」
しゃがんで肩を支える青年――王子アルトの声が、寒さと不安に震える耳に届く。
「遠い国から……もう歩けなくて……」
かすれた声にアルトは眉をひそめた。「心配しないで。まずは食事を……あまり収穫がなくて、大したものは出せませんが」
湯気の立つスープ、素朴なパン。香ばしい匂いが鼻をくすぐり、エリナは涙をこらえながらも、小さな安心を覚えた。家で食べた食事より、ずっと温かく、心に沁みる味だった。
