7.突然のお客様
ーーその時だった。
「システィーナ!」
急に扉が開いてお父様が入ってきた。
「今すぐ身なりを整えて客室に来い!急げよ。」
客室…?お客様かしら?
「承知致しました。」
「レイ、急いでメイドを呼んできて頂戴。」
「わかった。」
私は慌てて身なりを整えて客室へ向かった。
「失礼致します。」
中に入るとそこには思いがけない方がいた。私はすぐに跪き礼をする。
「お初にお目にかかります、ユージン・ステライト皇太子殿下。私はエヴァンス公爵家が長女システィーナ・エヴァンスと申します。お待たせしてしまい大変申し訳ありません。」
「丁寧にありがとう。気にせず座ってくれ」
「ありがとう御座います。失礼致します。」
そう言って彼の向かいの席に座った。
「さて、私が今日ここに来たのは貴方に頼みたいことがあるからだ。」
「頼みたい事…ですか。」
「あぁ。単刀直入に言おう。システィーナ・エヴァンス嬢、どうか私と結婚して頂きたい。」
「えっ!私と結婚…?」
「もちろんエヴァンス嬢の意思を尊重する。嫌だったら断っても構わない。」
いやいや、皇太子が自ら婚約を申し込んだ時点で公爵令嬢が断れるわけないでしょ…。お父様も受けろみたいな顔してるし。はぁ……。
「…承知致しました。その結婚謹んでお受け致します。」
「ありがとう。…さてもう少し話をと思ったのだが、すぐに国に帰らなくてはならなくてな。詳細は後ほどこちらに使者を送るのでその時に。今日は急に押しかけてしまって申し訳なかった。」
「とんでも御座いません!娘も大変喜んでおります!」
いや喜んではいないけど…。
「そうか、それは良かった。それではこれで失礼させて頂く。…ではシスティーナ嬢、また結婚式で。」
「はい。お気をつけてお帰りくださいませ。」
その後お父様と皇太子殿下を無事見送り部屋に戻った。
皇太子殿下と結婚……。私、上手くやって行けるかしら。