第88話 うちのこかわいい
朝から軽く走って柔軟する。
カレンとサラをサーチでよく見ると魔力を何となく動かしているのが分かる。
まだ上手く動かす事が出来ないみたいだけど、さすがにお父さん達を近くで見ていたからか気付くのが早い。
もしかしたら前世での知識があるからかもしれないけど。
柔軟が終わるとお爺ちゃんに手招きされていた。
「何ですか?」
「いやな、あの二人見て気付いてるだろうけどニーナが側にいると無意識に頼って聞いてしまうから気付くまで側にいない方がいいって言っときたくてな。ごめんな」
「私もそうかもって思っていたので大丈夫です。ここではスライム達を訓練させない方がいいんでしたよね」
「そう、だから大きさを変えずにいてもらっているだろ。そういうスライム達の特訓は籠った後だ」
「じゃあ今日は細々したことして過ごしますね」
「スライム達と会話するのは忘れるなよってニーナじゃなくて他に言わなきゃな」
お爺ちゃんは笑って他にスライム達との会話をしっかりしろよって声を掛けていた。
今日はスライム達といっぱい話すことにした。
本当は料理しようかと思っていたんだけど、皮むきとかはスライム達に手伝って貰った方が楽だし、スライム達も楽しんでいるから今はやめることにした。
すこし隅っこに移動して、あえてカレンとサラが見えない所に移動する。
”名前呼ぶから何か反応してね”
””””””””””はーい””””””””””
どうやるかを教えるために、前からいる子達から呼んでいく。
”ルル”
触手を伸ばして返事をしてくれる。
抱っこして撫で撫でしてもとの場所に戻してあげる。
”マリン”
真似したのか触手と”はーい”ってお返事付き。
マリンも当然抱っこ撫で撫で。
"リト"
”はーい”
ここからは、返事と抱っこ撫で撫でを繰り返した。
皆可愛くて顔が緩んでいるのがわかる。
”も〜皆偉い”
近くに居た子から撫で撫でして近くに置く。
そして別の子を撫で撫でしてその上に慎重に積む。
そしてまた別の子をって繰り返して、五段のスライムタワーを2個作った。
最初はグラついていたりしたけど、慣れたのかタワーなのに安定している。
”途中で崩れるかと思っていたよ。バランス取ってくれているんだね。ありがとう”
本当にうちの子達凄い。
遊びながら周りも見ると、交代で抱っこしながら話す人、高く投げてキャッチしている人、敷き詰めてその上に転がる人と思い思いの方法でスライム達と会話というかコミュニケーションをとっている。
周りの様子も楽しみながら、スライム達と遊んでいると、サラとカレンが走ってきた。
すごいスピードで。
突撃されるかと力を入れて覚悟を決めたけど、流石に手前で止まってくれた。
「出来たよ」
「私も出来た。でも維持するのはまだまだなんだけどね」
「もうできたの?二人とも凄い!」
身体強化が出来るようになってすぐに報告来てくれたことが嬉しかった。
「まだ私達だけの時は使っちゃダメだって」
「説明されたでしょ。仕方ないよ」
「きっとすぐだよ。練習は一緒にできるね」
私も嬉しくて、三人で手をつないではしゃいでいたら、私たちのスライムも一緒にポンポン跳ねていてなんだか余計楽しくなって私たちも跳ねてしまった。
はしゃぎ疲れて、笑って休憩しながらそれぞれのスライム達と遊んでいたら、気が付いたら夕方になっていた。
何事もなければ、そろそろ街に向かった人達が帰ってくる。
ちょっと心配しながら待っていると、夕食終わる時に戻ってきた。
更新されたギルドカードを受け取って、後ろを確認するとちゃんとスライムの従魔が10体って書いてある。
"みんなちゃんと登録されてるよ。街に戻ったらちゃんと見てもらおうね"
前からいた子達も新しい子達も一緒に喜んでいるのが伝わってくる。
仲良くって良かった。
改めて街まで走ってくれた人達にお礼と伝えた。
そんなやり取りもひと段落着いたときに、ニコお爺ちゃんがみんなに話し始めた。
「まず、街に向かう途中でマリー達と出会ってな、すでにダンジョンの街で食料を俺たちの分も購入してくれる手はずになっている。明日にはダンジョンに向かうぞ」
お姉さん達に会うのも久しぶりだから嬉しい。
ダンジョンに行けば新しい子達も特訓できる。
もしかしたら今回はオークにチャレンジさせてもらえるかもしれない。
そんなちょっとした緊張しながら眠るように言われるまでスライム達と遊んで緊張を紛らわせて過ごした。
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