第85話 久々に頭を掴まれました
警戒していたら、お爺ちゃんからの帰還合図が出た。
スライムをたたいていた人たちも手を止めて、テイムできた子を抱えている。
集落に向かってくる時よりもゆっくり目に走る。
きっちりカレンとサラがついてこれるスピードを維持するのお爺ちゃん達の鑑識眼がすごい。
柵をニコお爺ちゃんに背負って貰って越えて、テントの広場に戻ってこれた。
スライムをテイムできた人達はさっそくコミュニケーションをとっている。
私は時間もまだ早いし、スープでも作ろうかと思ったんだけどトムお爺ちゃんから呼び止められた。
「呼び止めてすまない。聞きたいことがあってな」
呼び止められたのは問題ないので大人しく話の続きを待つ。
「俺たちがスライムを叩いている間、警戒してもらっているだろ。今日途中から動きが変わったからなにしたんかと思ってな」
「スライム通信を使ってました」
ロウさんが代表して答えてくれた。
「それぞれ別方向に立って、それぞれの方向をメインに警戒してましたよ。何か気になることがあったら報告しあって確認しに行ったり。その際にもスライム通信でカバーする範囲を伝えあっていたので邪魔にならなかったでしょ?」
トムお爺ちゃんは呆れた顔を思いっきりした。
「まあ、他に人がいないことを確認してやってたんだろうからここで使用することはかまわんだろう。ただ、やはり声も出さず、身振りもせずに連携が取れるのはでかいな」
「護衛任務の際には必須になりかねませんね」
「それほどなのか……。いや、確かにそうだな。一人を釣り出したとしても報告済みでカバーまで入られているなら襲撃するのも難しいな。そして盗賊側が使いだしたらやっかいだな」
「まあ、おそらくスライムをテイム登録必須モンスターに登録するんじゃないか。後は数を制限されるか」
「え!」
「可能性の話だよ。数が多ければそれだけ沢山の人数と会話出来るんだろ?なら一般には1体、冒険者は3体から5体位かな。もちろん登録必須」
「冒険者のパーティーは大体5人位何だよ。もちろんもう少し人数多いところもある。でもそれを考えていたら規制なんて出来ないだろうからな」
ニコお爺ちゃんも話に参加してきた。
「既にテイムされているスライムをどうこうしろとは言われないはずだ。そうなるとお前達のテイム禁止を考えなきゃならんな」
「おい、どうするんだ?」
何かを考えているニコお爺ちゃん。
「思ったんだけどさ、スライムが使えるのは俺たちの街では知られてきたじゃねーか。街に居る他の冒険者も規制前にテイムさせちまえばいいんじゃね」
ダンさんが面倒くさそうに言った。
「……ありか?」
「俺たちがダンジョンに籠るときに一人使いに出して、信用できる奴らにスライムをテイムして来いってそそのかすんだな。……ありだな」
お爺ちゃん達が何やら悪い顔して相談し始めた。
「スライムを大切にしているやつらだろ。爺どもで6人は浮かぶ。後はあれだな、ポールがお目付け役が付いたニーナに突っかかった奴ら。あいつらも大事にスライム扱っているからあいつらもだな」
テッド達だ。
やった、テッド達もスライムを規制前にテイムしに行けるかもしれない。
「俺ら世代は街を離れていることが多いからな。孤児院の子たちはどう?」
「あの子達もありだな。数をテイムできなくても女の子はテイムしていた方が色々楽かもしれんしな」
「よし、その方向でいけばある程度の数をテイムしていても問題にならないだろう。俺たちが新人に合宿したりしているのは知られているからな」
「それはそうと、お前達は後何体増やしたいんだ?」
ダンさん達は特に考えてなかったと答え、私は少し考えてから答えた。
「本当はたくさんテイムしようと思ってたんだけど……。せめてあと1体は欲しいです。3体は手元に残して魔力譲渡とかしてもらうつもりなので」
久々に頭を掴まれている。
「ちょっとお話しようか」
カイさんが掴んで、お爺ちゃん達も周りの風を上に上げて声が周りに漏れないようにしている。
「お爺ちゃん達に話してみようか」
大人しく、スライム達と手分けして探索やバリア、魔力譲渡等をして貰う戦闘スタイルにしようとしていたことを話した。
「まだ全然だけど、あくまで将来そうなったら面白いなって……」
お爺ちゃん達もダンさん達もため息ついてた。
「ニーナ、分かっていると思うけど、スライムが居なくても大丈夫な様にはしろよ。あと、面白そうだな。真似してもいいか?」
とてもワクワクした顔で言われたから、一瞬何言われたか理解できなかった。
「ええ、どうぞ。うまくいったら教えてください」
私よりも経験豊富な人達のほうがいい方法見つけてくれるかもしれないし。
「そういう事考えてるんなら、確かにもう少し欲しいよな。皆で数を揃えればいいか?」
「多少バラツキがあった方が自然だろ。最大7体まででどうだ?」
ニコお爺ちゃんの問いかけに、トムお爺ちゃんが答えた。
「確かに全員同じ数じゃ不自然か……。最大7いや、10だな。それでどうだ?」
「分かりました。あと5体だけテイムします。ありがとうございます」
やった5体増やせる。
仲間が増えることが分かったスライム達も喜びの感情を伝えてきてくれる。
「俺たちも10体までいいよな」
「構わん。予定変更して俺たちもそれくらいを目指すか」
「確かにな。合宿するときに使えると便利だからな。先にテイムした者が勝ちか」
お爺ちゃん達もダンさん達も、私もみんないい顔している自覚がある。
明日は新しい仲間を迎えるぞ。
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