第79話 カレー粉は偉大
お昼用に各自パンを出して、まずはカレーのスープをよそう。
頂きますをした後に、カレーの香りを吸い込む。
「カレー粉作ってくれた人、ありがとう」
カレンが涙を浮かべながら感謝している。
「もう、カレンったら。食べてみないと美味しいかわからないよ」
そう言っている間にもサラは静かにカレースープを一口食べていた。
無言で食べてる。
カレンもそれを見て、ゆっくりなのか恐る恐るなのか口に運んだ。
無言。
作った私としては感想を何か言ってもらえると安心できるんだけど。
私もスープを口に運ぶ。
ルーで作ったようなトロトロしていないけれど、スープカレーとして何とかなっているんじゃないかな。
食欲を増す香りと味に、ついつい食べるのが早くなる。
気が付いたら、三人とも食べ終わってため息ついていた。
「私は美味しかったんだけど、どうだった?ある意味初めての料理だし」
「美味しかった」
「ちゃんとカレーだった。お代わりしたい」
私は途中パンも食べていたけど、二人は食べていなかったみたいなので先ほどよりは量を少なくして、もう一度よそってあげた。
「今度はパンも食べなよ」
二人は笑いながらちゃんとパンも一緒に食べている。
「カレー粉作ってくれた人に感謝だね」
久々のカレーにはしゃぎながらお昼を食べた。
「答えられたらでいいんだけど、ニーナはいつもスライムにあんな風に学習させているの?」
サラに聞かれたことがよくわからなくて、首をかしげる。
「ほら、皮むきをスライムにさせていたじゃない」
カレンからの補足で言われていることがようやくわかった。
「あぁ、ルルに教えたやつね。出来るかなって好奇心?」
納得していなさそうなので、もう少し話してみた。
「この世界で最初に安心できた仲間ってルルなのよ。ルルの前にダンさん達にお肉もらったりしたんだけど、仲間ではないから。だから何かするときにルルも出来るかなって思っていた気がするよ」
ようやく納得してくれたみたい。
「あとね、スライムを知らないってのも影響ある気がするよ。だって、前では色々なスライムがお話になっていたし」
二人とも納得してくれた。
「確かに色々な物があったよね」
「まさか自分が物語みたいな目に合うとは思ってもいなかったよ」
「本当にね」
三人してため息をついた。
「まあ、今更だから。でも、そうだねここの常識を知らないから元の世界の常識で行動するとこんなことになるのか」
「やっぱり常識知らないよね、私。悪目立ちしてないかな」
当たり前の事なので落ち込みはしないけど、目立っていないといいけど。
「それは大丈夫じゃないかな。幸い10歳だからで済んでいる気がするよ」
「そうね。年齢と街で育っていないって事実が色々知らない事をごまかしてくれていると思うよ」
「それならいいんだけど。まあ、そろそろいい時間になるから帰ろうか」
各自片づけを始める。
「ねえ、明後日はどうするの?予定では休みだよね」
「私は完全休養にして、市場で簡単につまめるもの買うくらいかな」
「サラ、私たちも買いに行こうよ」
「たぶん父さんたちが荷物チェックしてくると思うよ。それ終わった後に時間があったらね」
「はーい」
明日はどうやらカレンとサラとは別行動になりそうだ。
「じゃあ、明日は角ウサギを狩って、明後日の集合時間に遅れないように気をつけようね」
「楽しみすぎて眠れないかも……」
「移動するからしっかり寝てね」
街に戻って、二人と別れてギルドに戻る。
気になることがあるので、部屋で最初に作ったスープで夕食を済ませる。
クリーンをスライム達と手分けしてかけて、ベッドの上でスライム達を呼びよせる。
「今アイテムボックス使えるのってルルとマリンとリトだったよね」
"そう。ローズとアンバーはまだ出来ない"
「じゃあ、ルルとマリンとリトにはポーションを持っていて欲しいんだ」
取り出したハイポーションと上級ポーションをスライム達の前に出す。
「こっちが上級ポーション、そしてこっちがハイポーション指示を出したら指定した人に渡すか飲ますかかけて欲しいの。もちろん指示する人がいない状態で怪我した仲間がいたら使っていいからね」
"上級ポーションとハイポーションはどう違う?"
「死にそうならハイポーションを、死にそうにないけど酷い怪我には上級ポーションを使用してね」
”わかった。使ったらマスターに報告すればいい?”
「そうね。そしたら新しいの渡すね」
話が終わったのが分かったスライム達はベッドの上で転がって遊んでいる。
私の方に来た子達は方向を変えてあげる。
そんなことをして遊んでいたら、そろそろ寝なきゃ。
「明日は角ウサギだから、いつも通り起こしてね。あ、今日もベッドになってくれる?」
今日はアンバーがベッドになってくれるみたいで、形を変えてくれた。
「おやすみ」
"""""おやすみなさい"""""
明日はどんな風に起こしてくれるのか楽しみにしながら目を閉じた。
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