第74話 きっと大丈夫
メリークリスマス
カレンとサラが正気に戻るまでの間に浴槽(認めた)をクリーンをかけて収納して片付けてしまう。
「出発までのスケジュールを相談したいんだけど、そろそろ大丈夫?」
満足そうな表情を浮かべながら、2人が頷くのが見えた。
「お風呂気持ちよかった。ありがとう」
そんな感謝の言葉を改めてもらってから、出発までに必要なことを相談し始めた。
「じゃあ、やるべきことを言っていこうよ。まずはお父さんたちに付いてきてもらってテントの価格調査と買い物だよね」
サラが最初にテントについて挙げた。
「確かにね。スープや食料を作っておくにも軽く市場を見て、値段を知っておきたいよね」
「テントなどの価格によっては、購入するより先に少し資金調達のために角ウサギ行きたいかも」
申し訳ないけど、資金調達の件もスケジュールに入れてもらった。
「私達さ、グループの活動資金を貯めていなかったじゃない。今回から始めない?」
カレンが何となくおそるおそる提案してきた。
確かにテントは3人で使用するために購入するんだからグループ共有の資金があればそこから支出するのが一番スムーズになると思う。
私もカレンもサラもこの3人での活動を続けるつもりなら、活動資金を貯めるのは悪いことじゃないよね。
「じゃあ、今回から報酬を4割して、1割をグループ資金として管理しようか」
「いいんじゃないかな。でも今回のテントには間に合わないからさ、値段調べて割り勘で今回は購入することにしない」
テントと今後のグループ資金に関して大まかにまとめた後に出発までの大体の予定が決めた。
出発4日前:テントの値段調査と必要なら角ウサギ
出発3日前:テント購入して食材の買い出し
出発2日前:ギルドで料理
出発の前日:予備日
予定は予定なので、買い出しがすんなり終わったら料理を同じ日に済ませてしまうかもしれないし、
お金が足りなかったらテント購入前に角ウサギに行くかもしれないってとても緩い予定になった。
「テントに関してはお父さんに話しておくね。あとね、聞いておきたいんだけど2人とも料理できる?あ、私に聞かないでね」
カレンに聞かれた。
「料理スキル持っているけど、自信ない。一人暮らししてたけど、本格的な料理なんてしてなかったよ」
日本は手順を守ればおいしくなる商品がいっぱいあったもの……。
「ニーナもなの……。私も同じ。シチューやカレーはルウを買って作ってたし○○の素はお世話になってたわ……」
サラも駄目か。
「調理実習でやったホワイトソースやハンバーグなら何とか作れるかな。難しいスパイスは使ってないし」
「醤油と酒と砂糖があれば、肉じゃがもどきとか煮物も出来るかな?みりんは酒と砂糖で何とかなるし」
それから3人で料理の知識を寄せ合って、何とか作れそうな候補を絞った。
・バター(新鮮な牛乳)があれば、シチュー風スープ?
・醤油か味噌を見つけたら鍋風のスープ
・塩とスパイスを色々見つけて、肉に下味をつけて焼く
後は市場で見つけたもの次第ってなった。
「しかし、スキルあるならレシピも一緒に欲しかったよ。裁縫を考えると素材の調理方法や火加減などはわかるんじゃないかと思うんだけど……」
思わずそう愚痴ってしまった。
「本当にね。でも裁縫は既存の服をよく見るとパーツの形が分かるからわかりやすいのかもね。ねえ、明日は料理をするっていう意識で食材やスパイスを見るとなんか変わってこないかな」
私と同じように料理と裁縫のスキルを持っているサラが同意と試しの意見を言ってくれた。
「料理なら私もスキル持っているから一緒にできるね。何がどうなるかわからないしやってみようよ」
カレンもサラに同意した。
今まで意識してこなかったスキルだからどう反応するかは確かにわからないので、私も同意して実験することになった。
「そろそろ遅くなっちゃうから帰ろう」
その言葉を合図に遊んでいたスライム達を呼んで街に戻った。
街に無事に戻りサラとカレンに聞くと、ギルドの食堂で父親と待ち合わせをしているというので一緒に食堂で待つことになった。
しかし、食堂に入った時は大変だった。
色々な人達から合宿に行くことを確認され、行くことを認めるとしょんぼりする人が多かった。
中には気を付けていくようにとか、爺たちの言うことを守るようにとか注意してくる人もいた。
どうやらニコお爺ちゃん達がもう合宿を行うことを話していたみたいだ。
「やっと座れたね。明日はテントと市場を見に行くでしょ。最初に朝市かな?」
カレンがちょっとくたびれた様子で椅子に座って言った。
「そうだね。朝市で安い食材と調味料をさっき話していた意識で見てみるでしょ。その後にテントを見に行こう」
カレンをなだめながらサラが答えていた。
「テントって1本の支柱のものが主流みたいだけど、私達にも設置しやすいテントがあるかな」
テントを買う際に、心配なのは値段だけど私たちの体格で設置できるかも心配だったりする。
カレンとサラも一瞬悩んでいた。
「私たちくらいの年齢でも登録できるんだから、私たちの体格でも設置できるテントあると思うけど……」
「大丈夫。1本の支柱の大人用テントでもスライム達の力を借りればきっと設置できるよ」
サラも心配になったみたいだけど、カレンが元気に吹き飛ばしてくれた。
「テント購入してからスライム達とテントを立てる練習しようよ。スライム達に支柱を立てるのを手伝ってもらって支えててもらえばきっと私達で設置できるって」
カレンのスライム達に助けてもらえるって信じ切ってる笑顔を見ていたら、私も大丈夫な気がしてきた。
「そうだね。スライム達に手伝ってもらえばきっと大丈夫だね」
3人で笑ったら、スライム達から頑張るって気持ちが伝わってきた。
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