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第73話 久々の……

 今日は寝ている体を少し起こされて目が覚めた。

どうやらベッドになってくれていたリトが形を変えて私の体をリクライニングみたいに起こしてくれたみたいだ。

(スライムベッドは介護ベッドにもなるのかも……)

そんなことを寝起きのぼやけた頭で考えながら、スライム達におはようとベッドになってくれていたリトにお礼を伝える。

支度をして、広場に向かう前に忘れないように延泊手続きをしておく。

広場に出て、以前と同じように人のいない隅で軽いストレッチから始める。

スライム達はそれぞれ特訓をしているみたいだ。

(鉱山の街に行く前と同じだ)

なんか変わらない日常がうれしくて、あたたかい気持ちで運動を続ける。

途中からカレンとサラも合流して運動をした。

「2人とも朝ごはんどうする?」

以前は宿泊所を利用していたから一度部屋に戻って食べていたりしたが、今は父親と宿に泊まっているはずだ。

「ここの隅で食べちゃダメかな?」

カレンが提案したけど、サラが即却下していた。

「やめなよ。他の人の運動の邪魔になっちゃうでしょ。でも確かにどこかで食べられればこのまま出発できるから楽だよね」

一度解散してからもう一度集まるよりも、確かに効率いいし一緒に朝食を食べるのはきっと楽しい。

「2人が耐えられるなら、草原に出てから朝食を食べる?それから活動すればいいし」

2人の賛同を得たので、そのまま草原に向かって出発することにした。


 門を出て草原を3人で進む。

道からほど遠く、視界も開けてサーチでも危険ではないところで朝食にすることにした。

机が必要となるほどのしっかりとしたものは食べる気がなかったので、椅子を出そうと思っていたらサラが自分のスライムに椅子になってもらってさっさと座っていた。

カレンも当然のようにスライムに椅子になってもらって座ったのを見て、私も椅子を出さずにローズに椅子になってもらって座った。

「持っている椅子より座り心地がいいからついお願いしちゃうんだ」

サラが恥ずかしそうに話してくれたけど、ローズからはなんかうれしそうな感情が伝わってきた。

(もしかしたら頼られたのが嬉しいのかな?)

サラもカレンも素早く食べられるものを持っていたので、急いで食べた。

「ねぇねぇ、今日はお風呂にはいれるんでしょ?」

もう楽しみって全身で表しているカレンに笑ってしまった。

「午後にね。午前中のうちにスライム達のご飯にできるものをたくさん採取しよ。ダンジョンの中にどれだけ入るかわからないんだし」

「そうそう、とっても楽しみだけど先に採取しなきゃね。スライムも増やす予定なんだし」

(スライム達には相談したけど、2人にもテイムするスライムの数をどうするのか相談しなきゃ)

「相談なんだけど、テイムするスライムの数どうする?私は今は5体で2人は3体でしょ?何体にすればいいかな?」

2人も昨日相談していたのか、考えを話してくれた。

「えっとね、最低5体以上で何体でもって感じでいいんじゃないかな」

結構予想外の返事が返ってきた。

「あのね、昨日話してたんだけど通信を考えると私たちは3人だから3体は必要でしょ。他の人と組むときにさらに2体はテイムしていないと不便になるかなって最低5体。スライムはご飯の心配があまり要らないから持ち運べる数に抑えなきゃだけど、テイムできるだけ何体でもって感じになったんだけど、ニーナはどう思う?」

おおむね同じ意見でよかった。

「さすがに何体でもっては考えていなかったよ。でも私も最低で5体。そしてできればもう少し増やしたいって考えていたよ」

昨日スライム達に相談して考えたことを2人にも伝える。

「最低5体が一緒でよかった。でも、人によってテイムできる数って違うんだよね?私は何体までテイムできるかな」

カレンが素朴な疑問を口にした。

確かに何体までテイムできるかわかると便利だよね。

「あー、その感じじゃ私だけかな?私は何となくあと数体でテイムできなくなる気がするよ」

サラの発言に私とカレンは驚いてしまった。

「何となくだけどね、3体目をテイムしたときにあと数体だなって感じがしたの」

もしその感覚が確かなら、その感覚を感じなかったからまだテイムできる枠?に余裕があるって事なのかな?

「テイムできる数に上限があるなら先に5色テイムしたほうがいいね。ニーナはどうする?先に数を増やしてもいいと思うよ」

そういわれると悩んでしまう。

「悩むけど、私もカレンとサラと一緒に今度は赤と茶色のスライムを先にテイムするよ。その時に他の色のスライムがいたら一緒にテイムするかもだけどね」

一通りの相談が終わったので、スライム達はそのまま周辺の草を食べてもらって、私たちはダンジョン内でのスライム達のご飯のために雑草を採取し始めた。

採取の手が動いていても、ついついおしゃべりをしてしまうのは女の子だからかもしれない。

おしゃべりしながらも、採取してある程度の束になると収納するという一連の作業をそれぞれが行っている。

私は小石があるときにはそれも拾って収納しておく。

「ニーナ、小石拾ってどうするの?スライム達のご飯?」

拾ったところを見たのか、カレンが声をかけてきた。

「いざとなったらスライム達のご飯にもできるけど、石を投げて敵に当てたり出来るかなって思って拾っているよ」

納得したのか、その後は2人も小石も収納しているようだった。


 おしゃべりしつつも場所を変えながら雑草、時々薬草を採取していたらお昼くらいになった。

「サラ、ニーナ、そろそろお昼にしようよ~」

カレンの訴えにより、お昼を食べることにした。

見晴らしのいい草原とはいえ、あまり時間をかけずにささっと食べた。

なぜなら2人の目がお風呂って強く訴えているのがわかるから。

「食べ終わったし、もう少し草原に入ったところで約束の準備をしよう?」

2人の目が怖いので、ささっともう少し奥に入った見晴らしのいい場所に移動をする。

安全を確認して、以前特訓のために作成したものを収納から出して設置する。

快適に感じるお湯を用意して、振り返ると目をキラキラさせている2人が待っていた。

「安全のためにも服や靴は着たままね。お湯に入る前にクリーンするんだよ」

いいお返事をもらったので、場所を2人に譲ると素早く段差に登ってクリーンをかけてお湯に浸かっていた。

「お風呂だ~」

声が溶けている。

「服や靴が濡れるのは気持ち悪いけど、体が温まるのが気持ちい~」

こちらも溶けている。

私も最初に特訓したときに同じようになったから気持ちは凄くわかる。

笑いながら少し離れたところに大きな石たらいを出して、水を入れておく。

スライム達は久々ののんびりとした水遊びに我先にと飛び込んでいった。

ローズとアンバーは初めてだった気がしたけど、みんなに聞いていたのか同じように飛び込んでいった。

溶けてる2人はほっておいて、周囲を警戒しながら石で鍋を作っておくことにした。

鍋を何個も買うのはお金がかかるし、石で作った鍋に移して収納しておけば時間経過がないから取り出せばいつでもできたてのスープが飲めるからだ。

(いや、もしかしたら先ほどのお風呂を準備したことを応用すれば、そのままスープが作れるかも)

とりあえず、1つ目の鍋を作成するために大きな寸胴鍋をイメージする。

金属の寸胴鍋より厚みがある鍋をイメージして、作成。

念のため水を入れて漏れない事を確認。

水を沸騰させても壊れないことから、これと同じものをいくつか作れば大丈夫そうだ。

それから、寸胴鍋を4個作って合計5個をクリーンをかけてから収納した。

(まあ、鍋が多い分には困らないだろう……多分)

ちらりと2人を見てみると、満足したのか上がってクリーンをかけているところだった。

「どうだった?」

声をかけると、まだ溶けたような声が返ってきた。

「お湯って気持ちいね……」

「早く温泉行かなきゃ……」

なんかお風呂への意欲が増したような気がする。

「また時間作ってやろうね」

しばらくは、この方法で勘弁してください。





ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。


誤字報告もありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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