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第66話 みんなで練習

 手の上になにか乗る感触で起きたので、目を開けた。

私の手の上にルルが乗って、その上にマリン、その上にローズ、この上にアンバーの4段スライムタワーが出来ていた。

私が起きたことに気がついだリトが覆うのをやめてアンバーの上に着地した。

5段タワー。

「おはよう。凄いけど動けないよ?」

訴えても楽しそうな感情を伝えてくるだけで退いてくれない。

仕方ないからそっと手を引いて5段タワーを崩さないように抜いた。

タワーのまま微妙にポヨポヨしながら移動している。

なんと言っていいのか分からずに見ていると、一連の流れを見ていたのか隣から我慢できなかった風に噴出した声が聞こえたので見たら笑いをこらえてプルプルしていた。

「おはようございます。笑っていいですよ」

朝だからみんな抑えているけど他のベッドからも笑い声が聞こえてきた。

5段タワーはまだベットの上を移動している。

なんか私も面白くなって、一緒に笑ってしまった。

「遊んでないで準備するぞ」

今日もスライム通信で活躍してもらうスライム達をそれぞれに渡す。

スライム達は自分で四つ網になってくれるので、それを首に巻くとくっついてくれる。

防具も身に着けて、朝食を食べて出発する。

今日は護衛対象居ないので、ダンジョンに向けて歩きながら普通に会話をする。

「今日は昼までダンジョンに入って、午後は食料調達とお風呂な」

「いや、俺が買い出しするからお前らはゆっくり風呂入ってろ」

お風呂苦手なカイさんが買い出しを請け負ってくれた。

これには3人してお礼を言った。

今日はライトヒールのお試しだから、集中して魔法を使わなきゃ。

そんな雑談をしながら歩いていたらあっという間にダンジョンの入り口に着いた。

ダンジョンの中に入って、通路を進む。

ゾンビが出て来た時の魔法を使う順番は、ダンさん、カイさん、私、ロウさんの順だ。

今ならんでいる順番もこの順番で魔法を使用したら最後尾に移動することになっている。

しばらく進んで、分かれ道を階段がある方向とは逆に進んむ。

それからしばらく進むとやっとゾンビが出てきた。

サーチにかかった段階で、ロウさんから伝言が飛んできていたのでダンさんは歩きながら魔法の準備をしていたみたいでゾンビが近づいたら魔法を発動していた。

一応ゾンビはドロップに変わったけど、ダンさんは神職者ほどの効力が無いのが不満そうだった。

この後はカイさんを先頭に、ダンさんは最後尾に隊列を変えて前に進む。

隊列を変えてからそんなに時間かからず次のゾンビに出会えた。

カイさんも魔法を準備していたが、発動しなかった。

分かっていたのか、剣を出していたので剣で相手をしてゾンビが動けなくなるくらいに攻撃してドロップに変えていた。

「やっぱり光系は苦手だ」

どうやらカイさんは光系を苦手としているらしくて、ダンさんより練習を重ねないと出来るようにならないらしい。

次は私が先頭だけど、ロウさんが隣を歩いてくれる。

伝言で、魔法が上手くいかなくてもロウさんがサポートしてくれるっていうので安心して魔法に集中する。

ゾンビを見つける前から、魔法のイメージを固める。

自分の中にある魔力から、ライトとかヒールを使う時に一番多く使用している魔力を光属性と仮定してそれだけを集めてライトヒールという名前で発動するイメージを強くする。

そんなことをしながら歩いていたら、ゾンビがサーチ範囲に入った。

イメージの準備は出来ているので、そのまま歩きゾンビが近づいた時に魔法を発動する。

無事にライトヒールは発動して、ゾンビをドロップに変えることが出来た。

確かに神職者さん達の時と比べてドロップに変わるまでに時間がかかる気がする。

(悔しいけど、発動出来た)

次はロウさんの番なので私は最後尾に移動する。

ゾンビを求めて移動始めたが、カイさんが私の隣で歩いてくれている。

こういう所でも気遣って貰ってるのがわかる。

何か嬉しくなっちゃうよね。

それからは順番に魔法練習相手のゾンビを見つけてはドロップに変える事をし続けた。

最初発動しなかったカイさんも3回目で発動出来るようになった。

私を含めた他の3人は徐々に威力が上がって神職者さん達ほどじゃないけどそれなりに早くドロップに変えられるようになった。

"ダンから次の周回で終了"

ダンさんからスライム通信を使用して連絡がきた。

スライム通信を一番楽しんでいるのはダンさんな気がする。

特に問題なく最後の周回を終わらせて、ダンジョンを出る。

クリーンをかけて臭いを消して、街に戻ってからお昼を食べる予定だ。

今回のダンジョンでは宝箱は見つからなかったけど、ライトヒールがあればそれなりに稼げるダンジョンだからカレンとサラと一緒に来るのもいいかもしれない。

街に戻ったら広場で席取りして、お昼を食べる。

普通の空気で食べるお昼は昨日までがあれだったから本当に美味しい。

皆も微妙に食欲なかったから、しっかり食べられるお昼が久しぶりで食べ過ぎてしまった。

スライム通信で頑張っていた子たちを各マスターの所に戻して、帰ってきた子達を労う。

食後のお茶でまったりして、宿に戻ってお風呂を堪能するチームと買い出しのカイさんに分かれての行動になった。

お風呂が楽しみで、ウキウキしながら歩いていたら一緒にいたダンさんとロウさんに笑われた。

宿に戻って早速脱衣所へ向かって、専用の服に着替える。

その際に脱いだものをクリーン掛けるのを手分けして行うのだが、ローズとアンバーが熱心に観察している。

ケイアに戻ったらローズとアンバーの特訓の時間を作らなきゃね。

準備が出来たらお風呂場に移動して、ダンさん達と合流してから湯船に浸かる。

お風呂に浸かりながら、ケイアでの事、出てからの事を思い出す。

今はあの時に感じていた強い淋しさは落ち着いている。

これからもきっと淋しさに襲われることはあるだろうけど、こうやって甘やかしてくれる人が居るってことを今回教えてもらったから大丈夫。

どうしても淋しいときにはダンさん、ロウさん、カイさんを探して突撃しよう。

きっと抱きしめ返してくれるし頭を撫でてくれるから。

3人がこうやって連れ出してくれて、離れて落ち着く時間をくれた。

お陰様でカレンとサラに素直な気持ちで会いたいって思えるようになった。

ケイアに帰ったら森の入り方とかをカレンとサラのお父さん達に教わる事になっているんだった。

どんな風にやるのか楽しみ。

「ニーナ、答えたくなかったらいいんだけど、なんであんなに節約していたんだ?」

ふいにダンさんから質問された。

節約している理由って話したことなかったっけ?

「冬がどうなるか怖くて、働けなくても宿泊所と最低限の食事代を貯めようとしていたんです」

正直に冬を越すのが経験ないから不安な事を伝えた。

「多分だけどな、今年は古参のアドバイスをちゃんと受け入れる新人が居るから古参が率いる冬のダンジョン合宿が開かれるぞ」

「ダンジョン合宿?」

「そう、ダンジョン合宿。ニーナ達とテッド達が今のところ候補だろうな。断っても問題ないけどな」

「どこのダンジョンでやるんですか?」

「そん時によるらしいな。南か北のダンジョンでやる事が多いみたいだぞ」

初耳なので、悩みながら聞いていると。

「ちなみに孤児院系の子達は冬は孤児院でやる事とかあるから基本は参加しないんだ。でも本人達が希望すれば参加できるぞ。まあ、秋位に話があるだろうからその時に考えればいいさ」

「それに参加すれば冬を越せますか?」

「まあ、越せるな。だが、カレンとサラが父親たちと一緒に過ごすから合宿には参加しないって言うなら俺達かマリー達と一緒に過ごせばいい。女の子1人であまり知らない男所帯に入りたくないだろ?」

「ありがとうございます。もしそうなったとしたらお願いするかもしれません」

本当に何か恩返しを考えなきゃな。

そろそろお風呂を出て部屋に戻る。

部屋に戻るとカイさんは既に戻っていた。

「おまえら風呂長いな」

そりゃ買い出ししてから戻ったカイさんより長く風呂に入っていたら文句も出てくるよね。

「カイさん、買い出しありがとうございました」

お礼を言ってカイさんに駆け寄る。

「随分ホカホカだな。ニーナが好きそうなクレープも色々買い足したよ」

頭を撫でながら教えてくれたので、素直に喜んでおく。

「さあ、明日は移動なんだからさっさと夕食食べて寝るぞ」

その一言で食堂に移動して、夕食を食べることになった。

食べている間も雑談しながらで、何時もよりものんびりした感じだった。

部屋に戻ったらみんなベッドに直行で、すぐに寝るようだった。

お休みの挨拶を皆でして、手分けしてクリーンをかけてベッドに入る。

スライム達を順番にモニュモニュして気が付いたら眠っていた。



ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。


誤字報告もありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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