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第65話 大成功

 今朝は手にポンポン当たる感覚で目を覚ました。

目を開けると覆ってくれているマリン以外の子が順番に手に当たって跳ね返っていた。

大変かわいらしいのでそのまま見ていると、見られていることに気が付いたのか手を包み込んだり顔の方に移動してきたりした。

身体を起こして、マリン含めてモニュモニュして遊んだ。

「おはよう」

「おはようございます」

起きていた3人と挨拶を交わして、笑いあう。

準備をしながら、スライム通信を実験するにしてもスライム同士がくっついていないと上手くいかない点と、どうやってスライムを連れていくかを話し合った。

ちょっと思うところがあったので、3人に私に預ける予定のスライム達を渡してもらった。

"ルル、この子達にも伝えてほしいんだけど出来るだけ細くなれる?"

"出来るよ。伝えるね"

ルルは他の子にくっついて、メダルをしまった後に細く紐の様になってくれた。

4本の紐の様になった子達を私は4つ網にしてしまう。

そして首に巻いてそれぞれがくっついて1本のつなぎ目が無い四つ網状態の紐が出来た。

「これだったらみんなが接しているから通信出来るんじゃないでしょうか?」

"ルル。全員に通信。似合いますか?って"

ルルに伝言を頼んだ直後にそれぞれに念話が言ったみたいで、笑っていた。

「似合ってるよ。ちゃんと念話も飛んできたしそれでいくか」

大丈夫そうで良かった。

ルルの願いで一度首から外れてもらうと、スライム全員が集まってモニュモニュしている。

何しているかわからなかったけど、各自預けるスライムを出し合った時に意味が分かった。

スライム達が自分から細くなって四つ網になっていた。

「凄い。毎回四つ網にするの大変だなって思ってたのに」

これにはダンさん達も大喜びで、スライム達をほめていた。

「通信するときには、各自マスターの名前と伝言のみを伝えるようにな。例えばダンが伝える時には、ダンから右に敵ありって感じでな」

ロウさんがスライム達に伝達のルールを伝えている。

「俺たちは誰に伝言を頼むのかをちゃんと自分のスライムに伝える事」

私達にもルールが伝えられた。

これで上手くいくならいいし、だめなら修正していくので後で良し悪しを報告することになった。

朝食を食べて、ギルドに行って護衛依頼を受ける。

今日も5階を希望する人を探してくる予定だ。

ギルドの入り口で待ちながら、ダンさんが依頼を受けて出てくるのを待つ。

"ダンから、依頼受けた今から行く"

ルルがダンさんからの伝言を伝えてくれた。

ロウさん達も受け取ったみたいで、お互いに顔を見合わせてニヤってしてしまった。

笑っていたらダンさんが護衛者を連れてきたので、真面目モードに戻って挨拶した。

今日の護衛対象は男性2人で5階を希望している方たちだった。

隊列はほぼ昨日と同じで、ダンさんカイさんが先頭で護衛対象、最後に私とロウさんとなっている。

問題なくダンジョンまで着いて、中に入って行く。

やっぱりダンジョン5階を希望するだけあって、4階までさくさくゾンビがドロップに変えられていた。

5階に移動する前に階段前で休憩を取るのも昨日と同じで、軽食と用足しを済ませて移動する。

5階からは本番で、今までよりも慎重に歩みを進める。

しばらく歩くと、カイさんからスライム通信が飛んできた。

"カイから前方に敵6。少し進んで止まる"

歩みを止める前に前方の敵を見つけたカイさんからだった。

通信通りにもう少し進んだところで歩みを止めて、足止め準備をする。

きっちり2メートル位で水をかけて、1メートル位で凍らせて足止めを行う。

神職者の人はしっかり1回でドロップに変えてくれた。

次は私とロウさんが先頭で足止めをする係だ。

昨日経験したからか過剰な緊張をせずに歩くことが出来る。

分かれ道が出てきても、実験だからスライム通信でどちらに進むかを話し合って決めている。

最初は伝言が重なっちゃったりした時もあったけど、何度かやっていると慣れてきてそんな事もなくなった。

今までも何となくのサインで言葉にしない連携は取っていたけど、明確に伝わるのはやっぱり大きい。

もちろん咄嗟の時の静止などは、伝言じゃなくて手で静止した方が速いだろうけどそれ以外の物は伝言の方がより明確に伝わるからいいみたい。

楽しいのか、実験だからか、休憩そろそろ入れるか?とか水出し係と凍らせ係を交代とかをスライム通信を使ってやり取りする回数が多い。

私はもっぱら返事をするだけだけど、楽しいのは凄くわかる。

休憩中まで無言で居たら護衛対象が居づらくなっちゃうから、普通に声に出して話していたけどね。

時間いっぱいまで5階をゾンビをドロップに変えながら歩き回った。

ダンジョンを出て、クリーンをして臭いを消す。

街のギルドまで無事に戻って、依頼書に完了のサインを貰って神職者の2人とはお別れしました。

宿まで戻って軽く食べるんだけど、食事が運ばれてくる前にスライム通信で頑張っていた子たちをそれぞれのマスターのもとに返す。

帰ってきたスライム達を労うように優しくモニュモニュして、それぞれ小さくなってもらって好きなところに張りつかせる。

別に落ちる事も無いので問題ない。

食事を終えて、お風呂に入ってのんびりする。

明日は護衛依頼は受けずに自分達だけでダンジョンに入って魔法の練習をする予定だ。

神職者と同じ魔法が使えなくても、ヒール系で倒せるし、物理的に動けなくなるまで壊せば倒せることもできるそうなのでダンさん達に気楽に練習すればいいって言われている。

お風呂を出て部屋で少しのんびりする。

小声でも聞こえるように、スライムも含めて全員で集まる。

「スライム通信だが、使える」

ロウさんとカイさんも同意見みたいで頷いている。

もちろん私も同意見なので頷く。

「もちろん今までのジェスチャーが早い場合もあるだろう。でも視界が悪くなるなんてのは多い。その時でもスライム通信なら可能だからな」

「俺たちは両方を使用して今後やっていこうと思うけど、ニーナいいか?」

何故か許可を取ってきたけど、皆で実験した方法だからいいのに。

「私に聞かなくていいですよ」

笑いながら答えると、困ったような顔をさせてしまった。

「でもニーナの発案だろ?だからニーナの許可か必要だと思うんだよ」

「いや、最初はロウさんですよ。ロウさんがスライムを使って言葉を伝えてくれたからもしかしてって思ったんですから」

あって顔をしてダンさんとカイさんがロウさんをすごい勢いで見た。

「いやいや、確かにやったけど……」

「ほら、ロウさんが最初ですよ。逆に私もサラとカレンとで使いたいんですけどいいですか?」

今度はロウさんがタジタジになっている。

「ニーナたちなら問題ないよ。いっそケイアに帰ったら魔力譲渡の件と一緒に広めてしまったほうがいいか?」

「いやまて、魔力譲渡はいいがスライム通信は本当に信頼出来る奴らだけにしよう。きっと他にも思いつくやつは出てくるはずだ。いずれ知る奴は知るって技術になるさ」

「あー、魔力譲渡も含めて信頼出来る奴に話して使うやつが増えてから広めたほうがいいか」

スライムに助けてもらう魔力譲渡とスライム通信をどうやって広めるかの討論になってしまった。

スライム通信は私よりロウさんのやらかしだよね。

私は新しい技術をどうやって広めたほうがいいかはわからないので、大人しく話を聞いている。

「信頼している人に伝えた後にギルドに知識を売りますか?」

3人がこっちを見た。

「血抜きの方法の時にギルドに解体する人たちに教えて欲しいって言われて教えたんです。その時は食堂で話した後だったから周知の技術って扱いになったみたいで依頼料がそんなに出せないって謝られましたよ。だけど逆に考えると知られてない技術ならギルドは知識を買ってくれるんじゃないですかね。ただし、ギルドが信用出来るならって手段ですけどね」

ギルドに知識を売る事に関しても含めて、ケイアに帰って信頼出来る先輩達の意見を聞いてから決める事になった。

私より多い経験を積んでいるダンさん達にも当然知らない事はあるので、下手な手を打つより知ってそうな先輩に相談する事にしたんだ。

「ニーナ、さっきカレンとサラの名前出しただろ?帰って会っても大丈夫そうか?」

心配そうな3人の顔が見える。

カレンとサラが父親に甘えていたところを思い出す。

家族に会えない淋しさは感じるけど、あの時の混乱は感じない。

「大丈夫そうです。家族に会えない淋しさはあります。でも抱きついたら抱き返してくれる人達が甘やかしてくれたので」

笑顔で言うと3人は照れくさそうに笑い返してくれた。

「皆さんのお陰で友人を失わなくてすみました。ありがとうございました」

改めてお礼を言う。

「気にすんな。俺たちは新しいスライム情報があったからニーナを誘っただけだ」

照れているのか素直にお礼を受け取ってもらえない。

「私が感謝しているだけです。別に受け取ってくれなくてもいいですよ」

照れ隠しか隣にいたロウさんとカイさんが頭を撫でてくれた。

「まあ、明日は俺たちだけでダンジョンに入ってみるぞ。ライトヒールをまず試そう。ライトヒールが使えるならエリアライトヒールも使えるようになるだろうから人気のない1階のゾンビを狙っていこう」

話しを明日の予定に変えられたけど、まあいいや。

「明日ダンジョンで、明後日からケイアに向けて走ろうと思うけど一日休み欲しいやつ居るか?」

カレンとサラの話をしたら会いたくなったので、私は休みは要らないので手を上げなかった。

ロウさんとカイさんも別に要らないみたいなので、明後日から移動することになった。

「じゃあ、もう寝るか。明日はダンジョンだからな」

お休みの挨拶をしてベッドに向かう。

脱衣所でもクリーンはかけているけれど、念のために手分けしてクリーンをかける。

まだローズとアンバーはクリーン出来ないみたいでクリーンを使うルルのそばにくっついている。

ベッドに入ってスライム達を順番にモニュモニュしていたら、だんだん瞼が落ちてきた。

"お休み"

"""""お休みなさい"""""

スライム達の返事を聞いて、眠りに落ちていった。



ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。

誤字報告もありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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