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第63話 やっぱり臭い

 顔をペシペシされて目を覚ました。

目を開けると、ローズとアンバーが楽しそうに触手で交互に私の頬を叩いている。

目を開けたことに気が付いたローズとアンバーが逃げ出した。

ご期待に添うように手を伸ばして2体を捕まえてモニュモニュする。

全員を順番に捕まえてモニュモニュしながら身体を起こす。

周りを見ると同じようにスライム達と戯れていた。

「おはよう。そろそろ稼がないとなって思っているんだがニーナはどうだ?」

「ダンさん達よりも余裕ないから稼がなきゃって思ってます」

ものすごく正直に言った。

「じゃあ、俺たちが余裕をもって活動できる範囲でダンジョンに入ってみるか?」

「行きたいです」

どんな魔獣が出るのか聞いてないけど、宝箱を探すのは楽しそう。

出てきた原石とか自分の割り当ての分をお土産にするのもよさそう。

「何か準備とかありますか?」

皆さんはちょっと考えた後に無いなって答えた。

「食料は十分あるし、そんなに深く入るつもりもないからな」

なるほど、食料と普段持っているもので十分だという判断なんだ。

「そういえばどんな魔獣が出るんですか?」

何かまずいことを聞いたのか、ダンさん達が誰が説明するかを押し付けあった。

どうやら圧力に負けたダンさんが説明する係になったみたいだ。

「朝食前だから簡単に説明するな。ここの街が鉱山の街って呼ばれているだろ。ダンジョンじゃなくて。それはここのダンジョンが人気無いんだよ。いや、一部には人気あるんだよ。出てくるのはアンデッドなんだ」

アンデッド、ゾンビとかスケルトンとかか。

「出てくるのがアンデッドだから、この街には神職者の修練所があって冒険者に護衛依頼が出ているんだ。護衛中に見つけた宝箱は冒険者の物になる契約だから護衛報酬は1人100ルーで安いんだけどな。もちろん護衛依頼を受けなくてもダンジョンには入れる。神職者がダンジョンに護衛依頼を出してでも入るのは、光魔法がアンデッドには有効だから特訓しにダンジョンに入るんだよ。ニーナは護衛依頼受けるか、受けずに入るのどっちがいい?」

どうやらどちらにするかを任せてくれるみたいだ。

でも考えるまでもなく答えは一択だ。

「護衛依頼一択です。理由は神職者が使う魔法を観察したいです」

予想していた答えみたいで、ニヤって笑われた。

「だよな。知らない魔法を見たいよな。そしてあわよくば出来るようになりたいよな」

ダンさん達も同じ意見だったので、朝食をさっさと食べてギルトに向かった。

依頼を受けにダンさんが代表してギルドに入っていく。

私たちは4人なので、2人の神職者を護衛する事になるみたい。

もちろんお金がある神職者は自費で多くの護衛を雇ってより安全に特訓をしているそうなんだけどね。

神職者が神殿から補助が出るのが2人分の護衛費しかでないので、普通の人は2人しか雇わないんだって。

護衛はゾンビとかが近づいた時に近寄らせない様に壁になって神職者の人が魔法で倒すのを待つのがお仕事なんだって。

しばらく待っているとダンさんが私よりは年上な人を男女連れて戻ってきた。

「こちらが、今日護衛するダニエルさんとミシェルさん。これから入って、夕方くらいには出てくる予定だ」

時間がもったいないので、そのままダンジョンに向かう。

同じように護衛依頼を受けたんだろうグループも同じ方向に向かって歩いていた。

鉱山のダンジョンは、昨日まで行っていた鉱山とは別の方向の門から出て30分くらい歩いた所にある。

ダンジョンの入り口が山肌に開いているのでその入り口を囲うように壁が出来ているので、壁の門を通ってダンジョンに入れるようになっている。

ダンさんを先頭にロウさん、護衛対象の2人、私とカイさんの順番で黙々と歩いていたら壁が見えてきた。

門を入って直ぐにダンジョンの入り口が見えた。

思ったよりもダンジョンの入り口が大きくて、壁の内側に入ったらすぐに見えた。

そのままの隊列でダンジョンに入り、少しスピードを落として慎重に進み始める。

しばらく一本道で初めて出た分かれ道を右に進んだ。

視界の端に少し地図を大きくしたら、ダンジョンだけのマップになって道が表示されているので迷子になる事はなさそうだ。

少し進んだらサーチに敵対反応があった。

ダンさん達も気が付いて、手で動きを制されたのでその場で止まって様子を見る。

敵対反応が近づいてきて、暗くても無意識に遠見をしたのか敵が視認出来たので鑑定をした。


 ゾンビ

  動く死体

  角ウサギ型

  生前の角ウサギより体力が多い


どうやら角ウサギのゾンビが1体来たみたいだ。

近づいてくるにしたがって、臭い。

中に入った時から思っていたけど、本当に臭い。

次はマスクか何かで臭い対策しないと辛いな。

足止めをダンさんがしている間に、神職者の男の人だからダニエルさんが何かを準備し始めた。

後ろから様子をじっと見る。

ダニエルさんは意識を集中して魔法を発動した。

「ライトヒール」

無事発動したみたいで、角ウサギゾンビは崩れて魔石をドロップした。

この魔石も護衛の冒険者の収入になるみたいで、ダンさんが収納していた。

(ヒールって1種類じゃないの?)

より詳しくサーチ出来るか次はもっと集中して見てみよう。

次のアンデッドが来ないのを確認して、再び通路を進み始めた。

また少し進むと同じ様に角ウサギゾンビが出てきて、今度は神職者の女の人の方が魔法を使おうとした。

「ライトヒール」

男の神職者と同じ魔法を発動したので、先程より細かくサーチで見てみると光の魔力だけを集めて発動しているみたいだった。

今回も先程と同じように角ウサギゾンビは崩れて魔石をドロップした。

(ヒールじゃなくて光属性の魔法が有効ってことなのかな?)

いろいろ気になる事はあるけれど、質問や実験などは依頼を引き受けていない時にするべきなので控える。

神職者の人が交互にゾンビを倒しながら進んで、階段が出てきた。

依頼の段階で行きたい階層も書いてあるそうなので、その階に真っ直ぐ向かっているんだって。

今回の人達は3階を希望なので、3階まではギルドで販売されている地図を見て階段までよそ見せずに進んでいる。

2階に移動して、通路を進んでいるとゾンビが2体で現れた。

先頭のダンさんとロウさんが身構えている間にライトヒールを2回発動させてドロップに変えている。

まだ2階は余裕があるみたいなので、さくさく進んで3階の階段を目指して移動する。

遭遇したゾンビを1階と同じように交互にドロップに変えながら順調に進む。

迷うこともなく、3階に移動する階段にたどり着いた。

3階が希望階なので、その前に階段前にあるセーフゾーンで休憩する事になった。

神職者の人達も持参した食べ物を食べて、私たちも軽く食べて用足し等も交代で済ませる。

休憩を終了して、3階に突入する。

今回の目的階だから、ここで時間が許す限り通路を探索する事になる。

通路を進んでいると、サーチにアンデッドの反応が出た。

そのまま少し進むと目視出来たが人型のアンデッドだった。


 ゾンビ

  動く死体

  人型(素手)

  生前の人より体力が多い


素手って、武器を持っていることもあるのかな。

しかし人のゾンビって見ているだけで何とも言えない気持ちになる。

人型のゾンビも、神職者の人達は交代でドロップに変化させていく。

この階では人型も出るけど、角ウサギ型が3体で来ることもあって、その際には足止めが必要となるのでダンさんとロウさんが大変そうだ。

幸い後方からゾンビが近寄ってくることは今のところないので、私とカイさんは警戒しつつ神職者の魔法をさりげなく観察している状態だ。

ドロップされた魔石を拾っているけれども、宝箱は一度も見つけていない。

護衛依頼だから、勝手をするわけにもいかないので宝箱は自由に入った時に期待しよう。

そのまま時間いっぱいまで、魔力回復のためにの休憩を入れながら3階を歩き回って出会ったゾンビを神職者の人がドロップに変えていった。

ダンジョンから出て、まず最初にみんながしたのはクリーンを全身にかける事だった。

クリーンをかけても臭いが残っている気がしてならない。

街に戻ってのお風呂を楽しみに、来る時と同じ隊列で戻る。

ギルドに戻って、依頼書に完了のサインを貰って、神職者の2人とはお別れしました。

ダンさんが代表して拾っていたドロップの魔石を買取カウンターに出して買い取ってもらう。

そのまま宿に戻って夕食を軽く食べて、そのままお風呂に向かった。

お風呂が苦手なカイさんも、軽くお湯をかぶりたいみたいで一緒にお風呂に向かった。

脱衣所で脱いだものをクリーン掛けて、専用の服を着て浴場の方に行く。

ダンさん達を待ってお湯に入る前にクリーンをかけてお湯にゆっくり入る。

少しの間浸かったカイさんは先に部屋に戻っていると出ていった。

私とダンさんとロウさんは、のんびりボーっとお湯に浸かった。

お風呂から出て、部屋に戻ってみんなのんびりする。

「ニーナ、ダンジョンの報酬人数割りでいいか?」

「その報酬なんですけど、今回の旅の資金に充ててもらえませんか?足りなければその分を支払いますので」

「いや、今回の報酬で十分だから。明日もダンジョン行くだろ?その分は受け取れよ」

「わかりました。ちゃんと私の分の支払い今日の分で足りるんですよね」

「足りるから安心しろ。心配ならケイアに戻ってから収入と支出を考慮して渡すことにするか?」

「それでお願いします」

支払いの心配が少し減ったので、良かった。

「明日も護衛依頼受けるか?」

「正直違う魔法を見たいって思いもあります」

「だよな。チャンスがあったら見たいよな。もう少し上の階を目指している神職者を護衛するか」

「神職者の人は他にどんな魔法を使うんですか?」

「今日の人達はライトヒールだったろ。エリアライトヒールだって聞いたような」

「確かそうだったはずだぞ」

正直に言えば見たい。

「4階を目的にする人ならエリアを使うんじゃないかな」

それから多数のアンデッドが出て来た時の足止め方法を相談した。

明日は交代制で前後を入れ替えて、多数のアンデッドには1人が水を流して、もう1人が凍らせて足止めをする作戦になった。

1回交代で魔力を回復しながらすれば1日足止めが出来るんじゃないかっていう作戦だ。

無理だったらおとなしく氷の壁などを作る事になった。

そうと決まれば今日も早く寝る事になったので、ベッドに皆さんも入る。

おやすみなさいを言い合って、目を閉じたらあっという間に眠ってしまった。



ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。


誤字脱字の報告助かります。


なんとレビューを貰えました。

嬉しかったです。

ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。

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