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第58話 魔法の謎

 今朝は自然と目が覚めた。

身体を起こすとスライム達が近寄ってきてくれたのでモニュモニュして楽しむ。

今日は移動なので、朝食を食べてから職員さんに部屋のカギを返して広場に行く予定だ。

朝食を食べて、防具をつけた後に部屋の中を確認する。

基本すぐに収納するから忘れ物は無いはずだけど、心配になっちゃうので確認は必須だ。

忘れ物が無いことを確認して、カギを返して広場に移動する。

今日は次の街まで身体強化で走り切るんだろうから、運動はしないで柔軟を念入りにするだけにする。

ダンさん達ならスライム達の事を殆ど話しているから、スライム達も自由にできるだろうし旅が楽しみになってきた。

柔軟をして、スライム達の隣に座ってダンさん達が来るのを待っているとほどなくダンさん達が迎えに来てくれた。

「おはようございます。よろしくお願いします」

「おはよう。昨日は眠れたか?」

「はい」

この前慰めてもらってから、ダンさん達は頭を撫でてくれることが多くなった。

「じゃあ北の門から出発するか。次の街まで身体強化をかけて夕方までに走っちまうからな」

「休憩は野営地ですか?」

「多分そうなると思いますよ」

今日の予定を聞いてから北の門へ歩いていく。

北の門から出るのは初めてだし、北側の街の外に行くのも初めてだ。

「北の街ってダンジョンがありましたよね?どんな特徴のダンジョンなんですか?」

「北のダンジョンは塔の形をしたダンジョンだよ。上に登っていく形になるな」

「1フロアごとの敵を倒して宝箱を持ち帰るタイプだな」

ダンさんの説明にロウさんが説明を追加してくれる。

「街はダーモットと同じような感じだ。悪いけどまた同じ部屋になる」

私はダンさん達なら平気なので、そう伝えた。

そんな風に次の街のダンジョンに関して話を聞いていたら、北の門まで着いたので並んで街を出る。

そこからは少し道を歩いて、人がばらけたら草原の方に少し入って身体強化をして走り出す。

身体強化をしてからは早かった。

ダーモットへ行く時の経験があるから、身体強化と持続力強化をしているし魔力の回復はルルに任せている。

ルルが時々魔力を譲渡してくれているので強化が切れることなく走ることが出来ている。

そのためお昼に野営地に着いた時でも、疲労はほどんどなかった。

野営地の空いている場所に各自椅子を出して座ってお昼にする。

ダンさん達も、野営地すぐ横の草むらで食事をさせるためにスライム達を降ろす。

自分でお昼を出そうとしたら、ロウさんに薄いパンを開いて具が挟まっている物を渡されたのでありがたく頂いた。

「今回は宿泊費も食費も出しますからね。ちゃんと請求してくださいよ」

「わかったよ。最後に清算するから」

約束を取り付けて安心した。

「そうだ。私鉱山に行く理由聞いていないんですけど?」

「俺たちがスライムを連れていたからこの前の任務で話してきたやつが居たんだ。なんでも鉱山には茶色っぽいのと赤っぽいのも居るって」

びっくりして、ポカーンてなってしまった。

「面白いからニーナを連れて鉱山に行こうと思っていたらカレンとサラが居たからな。いつ誘おうか悩んでいたんだよ」

「そしたらカレンとサラの父親が戻ってきたからな。目の前で再会を見続けるのも今のニーナには酷だろうし、カレンとサラが父親に甘える時間にもなるだろうから今回誘ったって訳だ」

ダンさん達にはついこの前に混乱した状態を慰めてもらっているからバレバレだった。

悔しいから隣りにいるカイさんに頭を向けると、当たり前のように優しく撫でてくれた。

3人の優しい笑いが起きるけど、取り敢えず良しとする。

「皆さんもテイムする予定ですか?」

「もちろん」

全員に頷かれたけど、5体揃ったらかわいいだろうな。

「新しい子楽しみです。鉱山の街って何かお土産になりそうなものありますか?お土産約束したんです」

「土産物で考えたことないからわからないな。街に行ったら一緒に探すから一人で出歩くなよ」

以前は過保護と思っていたけど、カレンとサラの話を聞いてダーモットと同じような感じだとしたら一人で歩かせないのは当たり前なんだなと思えるようになった。

あくまで休憩なので、おしゃべりも程々にして用足しを済ませて街を目指して再び走る。

午後もずっと走っているけど、ルルのおかげで魔力の消費が無いから本当に疲れずに走れている。

"みんなで戦う方法は有効かもしれないよ。魔力譲渡のおかげで疲れないよ"

"わーい"

""周りの確認は私たちもしているからね""

"そうだね。私もサーチしているけどマリンとリトも周りを気にしてくれると助かる"

走りながらスライム達と会話をするだけの余裕がある。

前回とは大違いだ。

ダーモットの時と同じように、ダンさんを先頭に、その後を私とロウさんが走ってカイさんが最後を走ってくれている。

前回と違って余裕がある事が分かるのか、スピードを変えることなく走っている。

途中で小休憩を挟んだけど、北の街コデールに夕方になる前にたどり着いた。

街に入り、今日の宿を4人一部屋でとる。

夕食を街の食事処でみんなで食べて、部屋に戻る。

明日も走るのでみんな早く寝るためだ。

「ニーナ、ダーモットの時より余裕があるな。なんかやってるか」

聞かれたので、ニって笑った。

「聞きましたね。実はルルが瞑想と魔力譲渡できるようになりました」

小声だけど自分でもわかる満面の笑みで答えた。

3人からぎょっとした顔をして、条件反射かカイさんが私の頭をつかんだ。

「ダンさん達以外に話してないですよ。頭離してください」

「ついな」

カイさんがついでとばかりに頭を撫でて手を離した。

「ここまで聞いたら聞くしかないな。ニーナ、ルルが瞑想と魔力譲渡を覚えたのはいいけど……まさか走っている最中にルルから魔力譲渡で魔力を回復していたのか?」

はいって頷くと、ダンさん達は天を仰いだ。

「それはすべてのスライムが出来るのか?」

「わからないです。うちの子達は色で役割分担している感じがするので、色は属性なのか?って感じですけど」

"マスター、マリンとリトも瞑想できるようになりましたよ"

"え、いつの間に"

「どうやら瞑想はマリンとリトも出来ているみたいなので魔力譲渡も練習すると出来るようになるかもしれません。魔法って何なんでしょうか」

黙ってしまったダンさんに変わってロウさんが話してくれた。

「一応、魔法は本人に適性があるものが使えるって言われている。これは世界を統一した国家が大昔にあってその時代から言われたことみたいなんだって。魔法は属性に分かれていて適正属性があるって考え方が広まって多くの人が魔法を使えるようになったみたいだよ」

カイさんが続きを引き継いでくれた。

「それ以前は貴族とか神職者が魔法を使っていたみたいだけど、感覚で使っているから系統だってないし、教え方も感覚的だったみたいだよ」

「今でも魔法に適性などなく、使用者がきちんとイメージできるものが魔法として発動しているのではないかって説があるけど、かなり少数派なんだってさ」

以前言ってた、魔法について講義したがる人から聞いた話なんだろう。

「でも、私は色々な属性が使えるけどそれは変な事なんですか?」

不安になったことを聞いた。

「いや、冒険者なら結構色々な属性を使う奴いるよ。大丈夫。普通の人は適正属性はこれだって思うとそれ系統しか練習しないからな。冒険者は他の冒険者の魔法を見る機会もあるからな。便利そうな魔法なら適正が無くてもとりあえず練習してみるからな。そうなると諦めないで練習した奴は出来るようになることがある」

「長く冒険者やっている奴ほど、色々な属性の魔法を使えるぞ。一番多いのは水魔法か?」

「水を使う奴は多いな。火は強いんだけど素材がダメになるからダンジョン以外は使用することが少ないな。土を街仕事の土木作業に使う奴多いよな」

「まあ、俺たちは学者じゃないから適正や系統ってのがあるんですね。でも練習したら出来ました。位の考えでいいんじゃないか」

カイさんのまとめに全員で同意して魔法についての勉強は終わりにした。

「話は戻すけど、スライムが瞑想してマスターに魔力譲渡するって戦う人間にとっては画期的じゃないか……」

「秘密にするよりかえってケイアの古参達に広めてしまった方がよさそうだな」

「ニーナ、俺たちのスライム達にも教えられるか聞いてもらえるか」

"ねえ、瞑想と魔力譲渡ってダンさん達のスライム達に教えることできる?"

"多分出来るよ。魔力譲渡は練習が必要だと思うけど"

"それでいいから教えてあげてもらってもいい。その後でルル、マリン、リトがそれぞれ使用できる魔法を3体で教えあって。全員で同じ魔法を使える方が、危険が無いでしょ。万が一誰かが行動不能になってもカバーできるように同じことが出来るようになることを目指そう"

"""はーい"""

"色々お願いしてごめんね。ダンさん達のスライムに瞑想と魔力譲渡を教えてあげてください"

うちの子達が床に降りて、ダンさん達も自分たちのスライムを床に降ろした。

スライム達はくっついて、モニュモニュしている。

これで伝わるんだから、スライム凄い。

「ルルに瞑想と魔力譲渡を教える事をお願いしました。ルルもどちらも結構練習していたので、練習させてあげてください」

「ありがとう。これで出来るようになったら、俺たちから古参連中でスライムテイムした奴らに広めていくけどいいか?」

「はい。お願いします。ケイアに戻ってからなら私からもその2つをマリーさん達に教えても大丈夫ですか?」

「あぁ、あいつらなら大丈夫だとおもうからいいぞ」

「いや、戻ってから1週間は待ってください。その間に古参テイム組に伝えてしまうので。それからなら目立たないでしょう」

なんか尻拭いさせてしまっている様で、申し訳なくて小さくなっていた。

「ニーナ気にする必要はないぞ。少しでも魔力を回復してくれる手段が増えるのは生命を救うことにつながるんだから」

頭を強めに撫でる手に、少し気分も回復する。

「そろそろ寝ろ。あと2日走らなきゃならないんだから」

「わかりました。お休みなさい」

「自分のベッドだけクリーン掛けろよ。お休み」

話しはここでおしまいにされて、寝る事を促されたので挨拶をしてベッドに向かう。

以前、全部のベッドにクリーンをかけていたので止められてしまった。

おとなしく自分が使用するベッドだけに防具を外して手分けしてクリーンをかける。

ベッドに入って、スライム達にお休みを伝えて目を閉じるとあっという間に眠ってしまった。






ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。

誤字報告もありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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