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第57話 友達もスライム仲間

 今日は目元を冷やされて起きた。

目元冷やされて起きるの気持ちがいいね。

「おはよう。いつもありがとう」

スライム達をモニュモニュして、抱きしめる。

「みんなが居てくれるから、私は頑張っていられるんだよ。ありがとう」

朝から、スライム達とモニュモニュタイムを堪能して、広場に移動した。

広場の隅にスライム達を置いて、日課の柔軟、走り込み、素振りを行う。

最初の柔軟をしているうちにサラとカレンが広場にやってきた。

「おはよう。今日はやらないかと思ってたよ」

「おはよう。昨日はそのままギルドの宿泊所に泊まったからね。お父さんたちは知らないけど」

「おはよう。私たちもあの後寝なさいって部屋に戻されたの」

サラとカレンも昨日は宿泊所借りていたからそのまま泊ったんだ。

「私朝食まだだけど、2人は食べたの?」

「私たちもまだだよ。いつも通り軽く運動してから食べるよ。今日はここで待ち合わせにしていい?お父さん達もスライム一緒に行くって聞かないの」

「心配なんだろうけど、ニーナが嫌だったら置いていくよ」

サラの方が父親に対する対応が厳しい気がするよ。

「心配するの当り前だから一緒でも大丈夫だよ」

ちょっと心配だけど、やっと合流出来た親が子どもを心配するのは当たり前だからね。

「そうと決まれば、早く運動しないと朝食食べる時間なくなるよ」

カレンの一言で、3人は黙々と運動をこなして、朝食に部屋に戻った。

私は部屋の延泊手続きをしたけど、2人はどうなるかわからないから延泊手続きはしないで部屋に戻った。

部屋で朝食を食べたら、防具を付けて広場に再び向かう。

広場で隅でボーってしていたら、カレンとサラがやってきた。

3人でならんでボーってしていたら、カレンとサラの父親がやってきた。

「待たせちゃったか?」

「お父さん遅い!」

昨日まであんなに心配していたのにカレンはもう元気に文句を言っている。

「おはようございます。昨日は本当にすみませんでした」

改めて昨日の失礼な態度をお詫びした。

「いや、あれは我々が悪かったんだ。こちらこそ済まなかった」

何度も謝るのも関係がこじれるので、そこまでにして3人と保護者で街の外に行く。

「カレン、サラ、今日は薬草採取どうする?」

今日の予定を決めていなかったのでどうするかを聞いた。

「薬草採取は今日はいいかな。明日からお父さん達にも教えてもらってみるから」

「今日はスライム一択だよ」

サラもカレンもスライムのテイムにすぐに行きたいみたいだ。

「わかった。じゃあスライムに行こう。スライムが居るところに連れていくけど、最初は鑑定するんだよ」

「わかってる」

サラも頷いているので、いきなり突撃したりはしないだろう。

「お父さん、私達今日はスライムをテイムしに行くの。危険な時は仕方ないけどそれ以外は見ていてね」

「わかった?」

カレンとサラがそれぞれの父親にくぎを刺している。

「わかったって。危険な時だけ手を出すよ」

「しかしスライムテイムしてどうするんだ?」

「「秘密」」

別に話してもいいんだけど、どうやら2人は考えがあるみたいだから秘密にする分には構わないのでそっとしておいた。

道を少し進んで、草原に入ってサーチでスライムを探す。

あまり数が多いと囲まれちゃうので、少なめの所に案内する。

野良スライムが目視できるところまで来たところで、一度止まって2人に鑑定させる。

私はスライム達にお願いをして、バリアに入れてもらう。

「ニーナ準備出来たよ」

サラとカレンが準備出来たので、スライム達に近づいていく。

スライムの近くになったので私はそこで止まって、カレンとサラは近づいていく。

いや、それぞれの父親もくっついて行っている。

お目当ての子を決めたのか、サラとカレンはスライムを叩きだした。

それを見た父親たちも同じようにスライムを叩きだしたけど、まあいいや。

ここからは、それぞれが持つテイマーの素質次第で時間が決まるんだと予測している。

私はスライムに対しての素質が高いから、スライムをテイムしやすい。

そしてスライムをテイムすることは基本出来るっていう一説もあるくらいテイムしやすい魔獣なんだそうだ。

私は足元の草をむしりながら、4人が野良スライムを叩いているのを見ていた。

(正直暇だけど、今日は一緒に居たいからな)

草をむしっては収納して、足物に草が無くなったら少し移動してまたむしる。

そんなことを繰り返していたら、お昼近くになっていた。

「お昼近いけど、どうする。一度やめて休憩する?」

近づいて行って、サラとカレンに声を掛けた。

「やめない。腕痛いけど止めたらテイム出来ない気がするから」

「私もやめません。ニーナは食べていいですよ」

そんな健気な事を言う友人を見捨てることは出来ないので、片手で食べれるトルティーヤをカレンとサラに渡してあげる。

お礼を言って受け取りはするが、2人の目は叩いているスライムに向かっている。

(まあ、食べているからいいか)

2人の父親にも聞こうかと思ったけど、先に手で制されて自分たちで食料を出して食べていた。

私もトルティーヤを食べて、また足元の草をむしる作業に戻る。

時間停止のアイテムボックスのおかげで、スライム達にいつでも新鮮な草を食べさせてあげられる。

こういう機会に蓄えておかなきゃ。

私が移動した場所が道みたいになってきたときに、ついにテイムに成功した人が出た。

「ニーナやったよ」

サラが白いスライムを掲げながら走ってきた。

「おめでとう。名前は決めたの?」

「うん。叩いている最中からずっと呼んでたんだ。おもち」

「サラ、言ってなかったけど私の白いスライムはルルって言うんだけど最初の名前候補は大福だった……」

サラがおもちを下におろして私とガシって握手をしたよ。

「あの時、大福じゃなくておもちが浮かんでいたら、わたしが付けていたと思う」

「かわいいよね。おもちって響き」

2人でおもちの響きの可愛さを話している間に、先に頼んでいたのでうちの子達はおもちに身体の大きさを変える方法と血抜きの仕方を教えていた。

うちの子達は出来る子です。

おもちの大きさを変える練習にうちの子達が付き合っている間に、カレン父がテイム出来た。

カレン父のすぐ後にサラ父がテイムした。

「カレン、まだ時間あるから焦らないでね」

「ニーナありがとう。頑張る」

昨日話の途中に抜け出してしまったお詫びとして、カレン父とサラ父のスライム達にも大きさと血抜きの仕方は教える事にする。

「ヘンリーさんとラルフさんのスライムを貸してもらえますか?うちの子達に大きさを変えるコツと血抜きの仕方を教えさせますので」

「われわれにも教えていいのかい?」

サラ父のヘンリーさんが心配そうに聞いてきた。

「この2つは3組の冒険者のスライムにも教えていますし、血抜きの方法だけならギルドも他の冒険者も知ってますから大丈夫ですよ。可愛がって色々教えてあげてください」

カレンがテイム出来るまで、サラに小声でうちの子達はバリアやクリーンが出来るがすぐに出来たわけじゃなくて、スライム討伐など特訓していた事を伝えた。

そうこうしているうちに、カレンが叫んだ。

「やったー。私もテイムしたよ」

「おめでとう。カレン名前は決めたの?」

「うん。ネモってつけた。青い花で好きだったから」

「素敵な名前だね」

皆でにこにこしながら、名前をほめた。

すこしだけ時間を貰って、ネモに大きさを変えるコツや血抜きの方法を教えてもらう。

先程サラに伝えたことは、カレンに伝えてもらえるようにお願いしているので、スライム達が教えるのを待って街に帰るつもりだ。

教えるだけならすぐに済むので、それぞれのスライムを回収した。

最初にテイムされたサラのおもちは練習する時間があったから、大分大きさを変える事が出来るようになっていた。

カレンはネモを抱えて、サラはすこし小さくなったおもちを肩に乗せようとしたけどまだ大きかったので、頭に乗せて歩き出した。

街に向かってのんびりみんなで歩く。

歩いている間に、カレンとサラは私が帰ってくるまでの間に父親たちに冒険者のノウハウを学んで、それを私に教えてくれるって。

「ニーナは角ウサギは狩猟出来るんだろ?森はどうだ?」

「森は少し入ってみたんですけど、まだ数回しか入ってないです」

「じゃあ、戻ってきたら森に行くか。最初は慣れている人が一緒のほうがいいだろう」

「私も一緒でいいんですか?」

「うちの子達の友達だし、俺たちのスライムにも教えてくれただろ。そのお礼だと思ってくれ」

「ありがとうございます。帰ってきたときによろしくお願いします」

「おう、それまでに娘たちを森に行けるくらいまで鍛えておくよ」

サラとカレンは気合を入れて任せてって言っている。

皆で笑いながら街に入った。

カレンとサラは今日から父親たちの宿に移動するので、宿泊所は使用しないんだけどスライムの従魔登録にギルドに行くので一緒にギルドに向かっている。

「カレン、サラごめんね。せっかくグループ組んだばかりなのに」

「そんなことないよ。私たちがお父さんとの時間が持てるようにでしょ。でもそれはニーナにはつらいことだよね。気が付かなくてごめん」

「ほんとうにごめん」

首を横に振って否定をする。

「違うよ。サラとカレンがお父さん達と再会できたのは本当に私も嬉しいよ。ちょっと淋しくなっちゃっただけ。ごめんね」

再会の喜びに水を差してしまった気がして、罪悪感があったんだけど、でもどうやらお互いに気にしていたみたいだ。

思わずカレンとサラに抱き着いた。

「なんで鉱山に誘われたかわからないんだけど、向こうで何かお土産探すね」

「楽しみにしてるよ」

「無事に帰ってくればいいよ」

3人でぎゅってして、離れた。

もうギルドだ。

まだ夕食には早いし、従魔登録をしたらそこでしばらくカレンとサラとしばらくお別れだ。

「ねえ、ニーナ。私テイムするの遅かったから、ネモは大きさを変える練習していないでしょ。ニーナのスライム達が居た方が練習が進むと思うから手伝ってくれないかな」

「そうだよ。おもちだってまだ肩に乗れるくらいには小さくなれないし」

カレンとサラの誘いに、私も乗った。

「いいよ。従魔登録したらギルドの広場に行こう。あそこならスライム達が練習していても大丈夫だよ」

ちょっとだけ延びた別れに、急いで従魔登録をして広場に向かう。

"おもちやネモに大きさを変える練習と出来たらバリアも教えられる?"

"大きさを変える練習は出来るけど、バリアは難しいかも"

"バリアは無理ならいいよ"

"バリアってのを伝えるだけ伝えておくね。そうしたら自分たちで練習できるだろうし"

"そうだね。そうしてくれる。じゃあ大きさ変える練習をお願いね"

全員がスライム達を隅におろして、大きさを変える練習を始める。

私たちは、スライムを見守りながら沢山おしゃべりをした。

帰ってきたら、絶対にまた一緒に活動する事や料理なども一緒にしようって話をした。

そんなふうにスライム達の練習を見守っていたら、夕食を食べる時間になった。

「そろそろ夕食だ。ニーナ俺たちにご馳走させてくれないか?」

「そうそう、話を聞いたら道で倒れたサラを背負って街まで連れてきてくれたそうじゃないか。せめてご馳走させてくれないか?」

そう言われてしまうと何も言えないので、遠慮なくご馳走になる事にした。

食堂に移動して、席についてサラとカレンと待っているとテーブルにたくさんの料理を並べられた。

そして、トルティーヤが10本も乗っている皿を渡されて収納するように言われた。

「旅に出るなら食料を自分で持っていると安心感が違うからね」

サラのお父さんに、促されて収納した。

次にカレンのお父さんが自身の収納から、リンゴ5個と梨を5個、ぶどうを5房積まれた。

「うちの子達が好きな果物なんだ。ニーナも食べれるなら果物も持っていけ。果物は食欲がなくなった時に食べられることが多いから」

ありがたく収納させてもらった。

それからは楽しく食事をした。

沢山食べて、そして笑った。

流石に明日を考えると食事を終わりにして眠らなければならない。

「カレン、サラ、そしてヘンリーさんラルフさん。今日一日ありがとうございました。夕食も美味しかったです。そろそろ明日に響くので私は寝ようと思います」

お暇する言葉を言った。

「ニーナ、気を付けてね」

「お土産楽しみにしているよ」

「娘を助けてくれて本当にありがとう。帰ってくるのを俺たちも楽しみにしているよ」

「今日もありがとう。みんなでスライムに色々教えて話しかけるよ」

皆さんから返事を貰って、去りがたいけどお礼とお休みなさいを言って席を立つ。

もう一度手を振って、宿泊所に入り部屋を目指す。

明日からしばらく友達と離れる淋しさと、でも心の準備をする時間が持てる事の安堵とまだまだ感情は不安定だ。

部屋に入って防具を外して手分けしてクリーンをかける。

基礎魔法とはいえ毎日使用していると手際よく発動できるようになるね。

ベッドに入って、スライム達を抱きしめる。

「明日は鉱山の街に向かって出発だよ。いつも通りに起こしてね」

"""はーい。お休みなさい"""

「うん、お休みなさい」

今日一日、カレンとサラと一緒に居られて楽しかったけど、カレンとサラを見守る父親たちを見て会えない家族を思い出して淋しかったことも事実だ。

鉱山から帰ってくるまでに少しは平気に振舞えるようになるといいな。

家族に会いたい淋しさを感じながら眠りについた。




ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。

誤字報告もありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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