第53話 グループで活動
今日はほっぺをツンツンされて目が覚めました。
気のせいか、だんだん力が強くなっていたように思うのですが……。
「おはよう。起こしてくれてありがとう」
クリーンをかけて、広場に急いで行って隅でスライム達を降ろして柔軟をする。
走り込みと素振りを行ってから、延泊手続きして部屋に戻る。
朝食を急いで食べて、防具をつけて再び広場に急いで空いているところで座って休憩する。
"今日は午前中はカレンとサラと薬草採取するよ。周りの警戒をお願いね"
"""はーい"""
今日もうちの子達は安定の可愛いさです。
そうこうしているうちに、カレンとサラが防具を身に着けて広場にやってきた。
「おはよう。薬草を束ねる麻ひもとか持ってる?」
「おはよう。持ってるよ」
「うん。何故か持たされているよ」
父親の心配ぶりがうかがえる荷物のラインナップになっているのかもしれない。
「じゃあ、早速行こうか」
普段1人で歩いていた場所を3人で歩いているのがなんか不思議な気持ちになる。
門を出る時に、サラが兵士さんにもう平気かって心配されていたのがこの街のやさしさな気がして嬉しくなった。
道に沿って少し歩いて、草原の中に入る。
「草原に入る時に、ステルスとサーチし続けてね」
「本気?」
「本気。慣れるとだんだん長く続けることが出来るようになるから。サーチは最初は定期的にするようにしてね」
「はーい先輩」
私のサーチで薬草を探して薬草の場所まで案内する。
「これが薬草ね。って知ってるか」
「うん、父親に連れられて採取したことあるから」
「私は鑑定してあると、サーチでの反応が区別つくようになるけどカレンとサラはどう?」
「そんなのやったことないよ」
「聞いたことないよ」
「そう言うなら薬草鑑定した後に意識してサーチしてみてよ」
薬草を見て鑑定している2人。
「鑑定したら、薬草を意識してサーチしてみて」
半信半疑でサーチを2人が使う。
「ちゃんと出来るって信じてやってね」
改めて一言言っておくと、カレンの顔が驚きに変化した。
「え、わかるよ。反応の違い!」
それを聞いたサラが目を閉じて真剣にサーチを改めてやってる。
「本当だ。私にも反応の違いが分かった」
これが出来なかったら薬草採取じゃ日々の出費を賄えないからね、良かった。
「これ教えてよかったの?ありがたいけど」
「同じ冒険者グループでしょ。いいんだよ」
多分他にも同じことしてる人いるだろうしね。
それからは見える範囲でバラけて薬草を採取して、サーチで探して移動するの連続だった。
3人で30束集めることができた。
1度街にほど近い場所まで戻って、お昼を食べた。
ここから少しの間、私は角ウサギを狩りに行き、カレンとサラは魔法の練習をする。
「ここなら街まで少しだから、サーチで危険を感じたらすぐに逃げてね。あまり派手な魔法を練習しないようにね。バリアの練習するのも大事だよ。私は外では攻撃を跳ね返すバリアを使うし、街中では受け流すバリアを使用するよ。色々出来ると便利だよ」
外で活動するならバリアは必須だよ。
「私は角ウサギは水魔法で水の球を頭部に出して溺死させているよ。そうすると傷つかないから買取価格が上がるしね」
「買取価格が高くなるのはいいね」
「狙った場所に出せるように練習しておくよ」
私が角ウサギを倒すときの方法を伝えて、練習してもらう。
水球が出来るようになれば角ウサギを狩れるようになるしね。
「それじゃ行ってくるね」
手を振って、もう少し森の方に草原を入っていく。
今日は時間がないから狩猟したら即アイテムボックスに入れて移動する事をスライム達にも伝えた。
サーチで見つかった2体をルルとマリンで狩猟してきてもらう。
その間にちょっと離れたところにいる角ウサギ2体をリトと私で狩猟して戻ってくる。
狩猟後にルルとマリンを迎えに行って、別の場所の角ウサギの場所に移動する。
次は3体いたのでスライム達だけで行ってもらう。
その間に私は草むしりして、スライム達のご飯を収納する。
スライム達が戻ってきたので、角ウサギの血抜きをしてもらう。
最近では血抜きが終わるとクリーンを掛けてくれるので、私は収納だけを行っている。
血抜きがすべて終わると、身体強化をかけて走ってカレンとサラが練習している場所に向かった。
近くまで来たら身体強化を解いて、普通に走って戻る。
(良かった。2人とも無事だ)
「お帰りー。早かったね」
「お帰りなさい。狩れましたか?」
「ただいま。7体狩ってきたよ」
驚かれたけど、サーチを使って探しているので効率がいいだけだよ。
「2人もそれぐらい出来るようになるよ。角ウサギは探すのに時間かかるんだから」
納得されたので、その場を片付けて街に向かって歩き出す。
ギルドの買取カウンターで薬草を30束を出して、別扱いとして角ウサギを7体伝えて奥のテーブルに出す。
薬草は1,200ルーで買い取ってもらえて、角ウサギは4,200ルーで買い取ってもらえた。
食堂に向かって、席に座る。
まずは薬草の買い取り金額の1,200ルーを3人で割って、1人400ルーで分けた。
角ウサギはありがたくそのまま私が受け取った。
「カレンとサラは夕食どうする?食堂で食べる?」
「食堂で食べるよ。ニーナは節約してるって言ってたけど、何食べているの?」
「私はここのスープとパンセットを注文しているよ。量が多いから3等分して朝と昼にも食べているよ。最近は食べる量が増えて、昼と夜にちょっと付け足せるようになったけど」
「今日はそれをやってみるよ。いくらなの?」
「50ルー。2人は宿泊所2人部屋だから1人あたり250ルーだから今日の稼ぎで黒が出るよ」
「赤字にならないのは重要だね」
使われていない皿を持っているとのことなので、3人で揃ってスープとパンのセットを注文した。
先程までいた席に戻って何時もの様に食事を分けて収納する私を真似して2人も食事を分ける。
「ニーナが言ってた通り確かに多めだね」
「冒険者の男性が基準だからかもね」
カレンとサラも量に関しては私と同意見みたいだ。
2人ともスープを一口食べた。
無言だけど、まあ美味しくはないけど不味くもなく野菜と肉も多少入っている。
本当に最低限の食事だけど、節約するには仕方がない。
黙々と食べていると、ジョンさんが話しかけてきた。
「ニーナ、食べているところ悪いんだが2人はダーモットを拠点にしているラルフとヘンリーとハリーの3人グループを知らないか?」
2人の顔色が変わった。
「父のグループです」
サラが答えてカレンがうなずいていた。
「やっぱりそうか、似ているしラルフとヘンリーから娘自慢聞いていたから。2人がニーナに助けられた子たちだろう?ラルフ達はどうした?良ければ聞かせてくれないか?」
とりあえずジョンさんに席をすすめて座ってもらう。
「俺は結構ダーモットにも行くから、何度か一緒に飲んだことがあるんだよ。もう少ししたらケイアに拠点を移すって聞いていたから」
今回はサラが私が聞いた、ダンジョンに行って戻ってこない事や、予定日より3日過ぎたらケイアに行って冒険者をやって1カ月は待つこと。
1カ月たっても父親たちがケイアに来なかったら死亡したとして生き抜いて欲しいって言われていた事。
ジョンさんに話しているけど、普通に話しているので周りの先輩冒険者の人達も聞いていた。
「あいつららしいな。ハリーも一緒に行ったのか?」
「一緒だったと思います」
「そうか。ダンジョンに入るならちゃんと準備して入るやつらだから、まずは1カ月待つしかないな。何かあったら声を掛けてくれ。まあ、ニーナが一緒にいるなら大丈夫だとは思うけどな」
私は一人ぼっちだったけどまだ自分で歩いていたけど、カレンとサラは、サラが背負われていたから心配だったんだろうな。
ジョンさんは大人の力が必要な時は声を掛けるように言って戻っていった。
「カレン、サラ大丈夫?」
「うん大丈夫」
「大丈夫だよ。なんかちょっと大丈夫かもって思えてきた」
サラがちょっと元気になったように見えた。
「なんで?」
カレンもわかってないみたいだ、良かった仲間だ。
「本当に絶望的だったらジョンさん、もっと悲壮感が出ると思うんだ。けど、そんなことなかったでしょ。だから本当に何かあって帰るのが遅くなってるだけなんじゃないかなって」
確かに、ジョンさんに話を聞く前にはあった悲壮感みたいなのが話を聞いたら無くなっていたような。
「まあ、1カ月待ってみてから考えよう。ダンジョンに迎えに行くことは無駄死にしちゃうから出来ないし」
「確かに父さん達ならひょっこり現れそうだね」
カレンまで納得している。
「でもそれならなんで2人だけでケイアに移動させたのかな?逆に危なくない?」
子ども2人だけで移動の方が危ないから、ダーモットで冒険者登録して待っている方がいいんじゃないのかな?
「私たちがダーモットで冒険者登録したとするでしょ。そうするとダンジョンに行くじゃない?」
サラが言いにくそうだけど話してくれているので、うなずいた。
「そうすると、多分私達は何回目かのダンジョンで行方不明になるって親たちに言い聞かされていたんだよね」
「ダンジョンで魔獣に負けて死ぬってこと?」
「違う違う。人攫いにあうってこと」
意味わからない言葉が出てきた。
「客観的に見て私もカレンも外見が悪い方ではないのよ。そんな子どもが保護者行方不明で冒険者始めたらあっという間に……ってずーっと言われていたから。その心配が少ないケイアに移動しろって言い聞かされていたんだ」
カレンまでうなずいてサラが言っていることを同意しているだけじゃなくて、周りの大人も同意している。
「そんなにダーモットって治安悪いの?」
「たぶん普通だよ。ケイアの治安がいいんだよ」
私、最初にケイアにたどり着けたから生き抜けたんだね。
ダーモットの方に歩いていたら……考えるのはやめておこう。
「ニーナも外見が悪い方ではないんだから人攫いには気を付けなきゃだめだよ」
この言葉には周りの大人もこちらを見て、同意していたので気を付けますって宣言しました。
ジョンさんと話したりしていたので、時間がかかっちゃったけど食べ終わたので食器を片付けてそれぞれの部屋に戻る。
明日は私の部屋の番号を教えてあるので、カレンとサラの準備が出来次第ノックしてくれる約束になっている。
これで朝食を食べた後に急いで広場に戻らずに済む。
部屋に戻って、防具を含めて手分けしてクリーンをかける。
1日中人と一緒にいるのは、ダンさん達とダーモットに行って以来なのでちょっと気疲れしちゃった。
でも、カレンもサラも気が合いそうな子で良かった。
「明日も午前中は薬草採取、午後は角ウサギになると思うよ。今日と同じくらいに起こしてね」
"""はーい"""
スライム達をモニュモニュしていたら目が閉じてきてしまった。
かろうじて念話でお休みを伝えて眠りに落ちた。
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