第37話 ケイア到着
だいたいいつもの夜明け前の時間に目が覚めた。
"おはよう。今日も守ってくれてありがとうね"
静かに念話でスライム達に挨拶とお礼を伝えて、クリーンをかけて外に出る。
テントの外に出たら3番目の見張り番だったカイさんが静かに挨拶をしてくれたので、挨拶を返して用足しに行くことを伝えて、草原に入って用足しを済ませてきた。
戻ってカイさんの側に、スライムに椅子になってもらって他の人が起きるまでおとなしく待つことにした。
焚火はまだ燃えているので、周りをサーチしながらものんびり火が燃えているのを見た。
コップを出して水をのんびり飲んでいたら、周りの野営している人達も少しずつ動きだした気配がし始めた。
私達のテントからも気配がし始めて少ししてから二人が出てきた。
朝食前にテントを片付けてしまう。
スライムが椅子になってくれているので、かなりゆったり座っている。
夕食にも使用した大きいテーブルを出してくれて、朝食にも色々出してくれた。
朝食には小さ目なクレープ生地に野菜と肉が巻かれている物と果物が巻かれている物の2つを頂いた。
食べやすくて朝食に丁度いい感じだった。
そろそろ日が昇り切るので、完全に焚火を消して使用した範囲を綺麗にして交代で用足しを済ませて出発する。
昨日と同じように身体強化は無しで、持続力強化と瞑想とバリアとサーチで走り続ける。
走るだけなのももったいないので、走っている最中にあえて他の事を色々考えて並列思考みたいな物がスキル生えないか試している。
現在は走りながら持続力強化と瞑想、バリアとサーチ、地図をしているけど、これは普段から行っているので、あえてこの状況で難しいことを考えて思考に負荷をかけていく作戦です。
将来の戦闘スタイルを考えていくつもりなんだが、一応ソロでそのまま行く予定で考えていく。
私自身の戦闘スタイルは、基本遠距離で攻撃を当てて数や体力を減らせるだけ減らして近接も剣で行えるって感じだけど、1人だと相手が数が多いときにどうしてもグループよりも弱い。
私が一振りで数体倒せるような攻撃力を持ったり、何発魔法を放っても魔力が無くならないような無尽蔵な魔力量ならいいんだが、そんなのは無理。
そこで考えたのが、光魔法の魔力譲渡をルルが覚えたら、ルルが瞑想で自身の魔力を回復して私に魔力を譲渡すること。
戦っている最中に瞑想するのはさすがに無理っぽいから、ルル経由で魔力を戦っている最中でも回復出来たら有利になると思うんだよな。
ルルが魔力回復と回復、マリンがバリアと攻撃、リトがバリアと攻撃を担えるようになると死角が無くなるんだよな。
それが可能なら肩から魔法を放ってもらったり、回復してもらったらなんとか一人でも長く戦えるんじゃないかって考えたんだ。
そんなこと辺りまで考えながら走っていたら町の近くになったので、注意して走るように指示が出た。
身体強化をしているわけではないので、スピードを落とす必要はないけど人が居るかもしれないから注意はして走る必要がある。
町を通り過ぎて、休憩所まで休みなしで走り続ける。
その間にもソロを続けるうえでスライム達に助けてもらうスタイルが可能かどうかを検討し続けた。
休憩所が見えてきたので、少しスピードを落としていく。
休憩所に既に休憩しているグループが居たので、近づきすぎないように場所を選んで休憩の準備をした。
お昼は簡単に食べられるトルティーヤを一本渡された。
半分で十分なくらいの大きさなんだけど、身体を作るためだと思って頑張って食べた。
さすがにデザートを食べるだけの余裕はなかった。
スライム達も横に生えている草を食べてもらって食事兼休憩してもらった。
「ケイアにもうすぐ着くな。ついたらニーナは宿はどうする?俺たちと同じ宿に泊まるか?個室で1泊朝食付800ルーだけど」
「誘っていただいてありがとうございます。もう少し安定して稼げるようになったら移る事を考えてみますね。しばらくはギルドの宿泊所でお金を貯めようと思います」
「わかった。背伸びして生活するのは破綻する原因になるからな」
「でも、収入が安定したら紹介してくださいね」
「おう、その時は紹介するよ」
ダンさん達が定宿にするくらいなら安全に泊まれるだろうから、その時には紹介してもらおう。
交代で用足しを済ませて出発する。
体感では3時間もかからずにケイアの街に着くだろう。
それまでの間、先程まで続けていた戦闘スタイルに関して実現するにはどうすればいいか、足りないものは何かを考えていく。
ついその考えだけに傾きそうになるのを気を付けながら走り続ける。
少し走ったら見覚えがある景色になってきた。
普段狩りをする草原の辺りまでに戻ってきたみたいだ。
なんかここまで来たら、戻ってきたなって安心感が湧いてきた。
朝から走っているから疲れてもおかしくないのに気持ちが軽くなっているのか、走る足取りも軽くなっている気がする。
街を守る外壁が見えてきた。
入場する列に並んで、待っているだけなのに何故か少しドキドキする。
だんだん順番が近づいてきた。
「お、おかえり」
兵士さんは覚えてくれていたみたいで声を掛けてくれた。
「ただいま」
なんか嬉しい。
カイさんが今日は打ち上げって言って、いつものギルドの食堂で一緒に夕食を食べることを提案してくれた。
夕飯にはまだ早いけど、宿の確保などもあるのでそれらが終わったら食堂で待ち合わせになった。
一度解散して、私はギルドに向かってなんとなく走っていく。
ギルドについてカウンターで宿泊所の手続きをして、カギを受け取る。
一度宿泊所に入って部屋に入る。
部屋とベッドと自分にクリーンをかけて、ずっと身に着けていた防具をすべて外す。
念のため防具にクリーンをかけて収納しておく。
ベルトとナイフは念のためにそのままつけておく。
ベッドの上に寝っ転がって、見慣れた部屋でのんびりする。
スライム達もベッドの上を転がって遊んでいた。
ぼんやりしすぎて寝そうになったので、早いかもしれないけど食堂で待つことにした。
食堂で座っていたら、見知った人たちがお帰りって声を掛けてくれるだけじゃなくて、ジュースくれたり食堂で売ってるちょっとしたお菓子をくれたりする。
全部食べられないのをわかっているのか、収納しやすいのを選んでくれているし食堂で購入したものだけを持ってきてくれているので気を使われている事を凄く感じる。
そのうちダンさん達がやって来て、状況を見て笑ってた。
それからは、私も買いに行こうとするのを止められている間にテーブルの上に食べ物が並んで打ち上げが始まってしまった。
1つのテーブルにスライムが合計9体もいるから目立って、ダンさん達は知り合いからテイムしたことを聞かれたりしていた。
でも、打ち上げだからっていうと謝罪と後で的な事を言いながらそっとしておいてくれる。
ダーモットのギルドを少しだけ見た後では、このケイアのギルドの雰囲気がとても貴重なものに感じる。
なんか嬉しくて、ずーっと笑っていた気がする。
でも2日間走ってきた疲労はやっぱりあって、あくびが出てしまったのを見つかってお開きになってしまった。
でも、また何処かに行こうなって声に感じていた淋しさが無くなって、元気にはいって言うことが出来た。
休むのを促す言葉に素直に従って、ダンさん達や色々くれた皆にお休みなさいって声を掛けて宿泊所に戻った。
自身とスライム達と2日ぶりに脱ぐことが出来た靴にクリーンをかけて、ベッドに横になる。
眠気に負けずにルルと魔力譲渡の練習を行う。
走っている最中は、邪魔しちゃいけないから魔力譲渡じゃなくて瞑想の練習を皆でしていたんだって。
今日もルルから流れてくる魔力はなかったけど、練習すればきっと出来るようになる。
練習をもっとしたいけど、持続力強化をしても肉体疲労はやっぱりあるんだな。
どうしても眠くなってきたのでルルに今日はこれまでって伝え、スライム達にお休みを言った直後に眠ってしまった。
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