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第27話 (私じゃないけど)テイム

 今日はベッドになってくれているルルが振動して起こしてくれた。

「いつも起こしてくれてありがとう。おはよう」

自分や毛布、スライム達にクリーンをかけて、スライムテントを解除してもらう。

まだダンさんとロウさんは寝ているので、静かにテントを出る。

テントの側にカイさんが椅子に座って見張りをしてくれている。

小声であいさつして、用足しに行くことも伝えて済ませてくる。

「カイさん、広場の端っこで少し運動してても大丈夫ですかね?」

「あまり音をたてたり、殺気出したりしなければ大丈夫だ。ダメそうなら止めるから」

お礼を言って、カイさんから見える広場の端に移動する。

「練習のために、この前やってたタイミングずらしての体当たりをしてほしいんだけど、タイミングを色々変化してやってくれる?」

"""まかせて"""

地面に丸を書いて中に入る。

"いくよー"

ルルの合図で練習が始まる。

最初はゆっくりだったけど、徐々にタイミングが早くなり体当たりが来るタイミング自体がずらされたりする。

時々当たっちゃったりするけど、止まることなく飛んでくる体当たりをよけ続ける。

うっすらと空が明るくなってきたので、動きを止めてもらって終わりにする。

スライム達を抱えてテントの所に戻れば、カイさんが笑って出迎えてくれた。

椅子を出そうとしたら、マリンが椅子になってくれたのでお礼を言って座る。

「いつもあんな訓練してるのか?」

「走っている時もありますけど、毎朝できるだけやってますよ」

「いい習慣だ」

「見張りの時って何してるんですか?」

「警戒してるのは当たり前だけど、寝ないように色々やっているな。明かりがあれば本読んでるやつも居れば、筋トレしている奴。武器の手入れしている奴が一番多いかな。でも昨日はレオと会話をしようと何とか頑張っていたらニーナが起きてきたな」

カイさんはレオと会話をしようとしていたんだ。

「どうでした?」

カイさんはレオを撫でながら誇らしげに言った。

「マスターって呼ぶ声が聞こえたよ」

「やったじゃないですか!」

まだ寝ているダンさんやロウさんを気遣って小声で話していたけど驚いてしまった。

「交代するときにダンに、ムムの声聞こえたって自慢されたらそりゃやるしかないだろ」

どうやらスライム達は思った以上に可愛がられているみたいだ。

そんな話をしていたらダンさんとロウさんが起きてきた。

「ニーナ、ムムの声が聞こえたよ」

「おはようございます。やりましたね」

ダンさんはムムを抱えて喜んでいる。

「俺が先にシェリの声を聞いたんだからな」

どうやらロウさんが最初に見張りをしている時に聞こえるようになって、ダンさんと交代する時に自慢をして、ダンさんも見張りをしている時に聞こえるようになって、カイさんに交代するときに自慢したって事みたい。

"マスター、ムム達が声嬉しいって言ってる"

「皆さん凄いです。ルルが教えてくれたんですけど、声嬉しいって言っているみたいですよ」

ルルから教えてもらったことを伝えたら、3人とも自分のスライム抱き上げてモニュモニュし始めた。

気持ちはわかるので、私も自分のスライムをモニュモニュした。

モニュモニュタイムの後は、テントを片付けてから朝食を食べた。

「今日は南の街って呼んでるダーモットに入る。昨日の夜にはスライム達に討伐させるって話になっていたと思うんだが、出来れば俺は予定を変更したい」

ダンさんが予定を変更したいみたいだけど、どうしたんだろう。

「まだあまり聞こえないけど言葉を伝えられたことからもう1体スライムをテイムしたい。血抜きだけなら1体でいいんだろうけど、やっぱりかわいいしな」

ちょっと驚いた。スライムを新たにテイムしたいって言いだすとは思っていなかったから。

「それいいな」

ロウさんとカイさんも同意しだした。

「ニーナには悪いんだけど、俺たちにスライムをテイムする時間をくれないか」

「もちろん構いませんよ。だとしたら午前中にテイムして午後はスライム達のバリア特訓ですかね」

「出来ればそうしたいな。ダーモットのダンジョンは最初はスライムが出てくるからそれをスライム達に討伐させればいい特訓になるだろう」

「うちの子たちにも特訓になりますね。合間に私も魔法の練習が出来ますね。私が練習している間、皆さんを付き合わせるのが申し訳なかったんですけど、スライム達の特訓をしている間に私も特訓できるなら嬉しいです」

気になっていた申し訳なさを感じなくて済むので、私としてもとても嬉しい予定変更だった。

その前に懸念を解消しておくためにルルに質問をする。

"ルル、私をルルのバリアに入れることできる?"

"出来るよ"

"他の人がテイムしようとしている時、私にバリアを張ってもらってもいい?"

触手で丸印を作ってくれた。

私のバリアにはじかれてテイムしてしまうなら、別の人のバリアに入って野良スライムとの接触をなくせばテイムしないで済むのではないかと思ったんだ。

予定が決まったら、スライムをサーチして移動しないと。

いつもの通りにサーチで周辺を探していると、ふと視線を感じた。

ロウさんがこちらを見て、ニヤってしてきた。

私もニコって笑って同時に同じ方向を指差した。

どうやらロウさんもサーチを持っているらしい。

それから野良スライムの所に移動して、ダンさん達がスライムをテイム出来るのを見守った。

他の野良スライムをテイムしないようにバリアが一番上手なルルに張ってもらって身を潜めていた。

皆さんのテイム方法を聞いてはいたけど、本当にひたすらスライムをバリアを張った手で叩いていた。

時々体当たりしそうになるけど、その時は叩き落としてた。ドリブルみたい。

なんか見ていて楽しかった。

努力の甲斐があって、2時間ほどドリブルしていたらテイム出来た。

私はルルのバリアのおかげでテイムしないですんだ。

テイムが出来た後、残った野良スライムは今テイムしたばかりの子以外で討伐していた。

野営した休憩所からそんなに離れたわけではないので、休憩所に戻ってスライム達のバリア特訓とお昼を食べてから街へ向けて出発することになった。


 無事に休憩所に戻ってきた。

"ルルのおかげでテイムを増産しなくてすんだよ"

バリアを張り続けてくれたルルに感謝を伝える。

新しくテイムされたダンさんのスライム(青系)はララ、ロウさんのスライム(緑系)はルーク、カイさんのスライム(青系)はフィンって名前を付けられた。

休憩所の端の方で、スライム達によるバリア特訓が始まったのだが、ララ、ルーク、フィンは先輩スライムにバリアを教えてもらってバリアを張るところから練習始めた。

交代で体当たりしているだけなんだけど、なんかかわいらしい。

ただ見ているだけなのも時間がもったいないので、ダーモットのダンジョンに関して教えてもらった。

ダーモットのダンジョンは優しいダンジョンと言われていて、その理由は4階層までは部屋の数字がその部屋の危険度を表していて、低い数字の部屋を余裕で倒せないと次の数字は危険度が上がる事から無理せずチャレンジできるダンジョンで有名。

そのダンジョンの1階はスライムしか出ないので普通の人は1階のボス部屋だけ通って2階に行ってしまう。

なので、スライム特訓にはもってこいの場所だ。

2階は角ウサギ、3階はゴブリン、4階はオークとゴブリンが出るので私の特訓にもなる。

訓練場所を相談した時にダンさん達がここを思い浮かべたのが納得のダンジョン内容だ。

ダーモットの街についても教えてもらった。

ダンジョンがある街なので、冒険者がケイアの街より普段から多い。

その関係でお店も冒険者に関する店が多い。

ギルドの雰囲気は荒く、冒険者はお互いに張り合っている状態だから今回は私もダンさん達とおすすめの宿に同室で宿泊すること。

これは私の身なりや身体の小ささから、余計な絡みや犯罪から守るためだから我慢してほしいと言われた。

同室でも寝る時にベッドの上でスライムテントをすれば安全だし、寝顔も見えないからぜひそうして欲しいと頼まれた。

(私、まだ買えなくて防具つけてないから)

朝市でも中古の防具があったんだけど、身体の小ささから防具が無くて諦めていたんだ。

「ダーモットなら中古の防具も豊富にありますかね?」

「ああ、確かにケイアよりも種類が多いだろうな。今日宿を取ったら行ってみるか」

「胸当てか皮のベストあたりか」

「後は丈夫な皮と紐で腕と足元を強化も出来そうだな」

「腰にナイフ位は……ぎゃくに危ないか」

「何か武器を持っているのはいいと思うぞ」

先輩冒険者のアドバイスを受けながら出来る限りの装備を整えることになるみたいだ。

(お金足りるかな……)



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