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第26話 スライムテント

 今回は走りながら瞑想を起動して魔力を回復しながら走っているから持久力強化も上手く働いているみたい。

これくらいのスピードの身体強化と持続力強化なら今の私の回復量でも釣り合いがとれるみたいで疲れはてることなく走り続けることが出来そう。

お昼の時に聞いたけど、街と街の間は鍛えている人間が1日で走り切れる距離にだいたいあるらしい。

勿論例外もあるけど。

私たちが今朝出てきたケイアの街は、南の街と北の街の両方に鍛えた人間が1日で走り切れる位置にあるから作られた街なんだそうだ。

街と街の間に町があるのは、もちろん宿場町なのは勿論だけど、近い方の街に救援を求めやすいって理由もあるんだって。

体感で1時間半から2時間走ったところで、また町が近づいたので一度スピードを落とす。

ここも午前中に通り過ぎた町と同じように木で作られた壁に守られている。

この町の近くでスピードを落とすのは、道の横の草原を走っているとはいえ人が多い可能性のある町付近では事故を起こさないためにスピードを落とすのがマナーなんだそうだ。

もちろん緊急の時にはそんなことしてられないので、より草原に入って走り抜けるらしい。

町から離れたので、またスピードを上げる。

今回は身体強化、持続力強化、瞑想が上手くいっているのか、先程走った時の様な疲労感は増えていない。

魔力は回復しているからまだ走れるけど、精神的に疲れてきたころに休憩所の広場が見えてきた。

徐々にスピードを落として、休憩所に入った。

「まだ走れるんだろうけど、今日はここで野営な」

ダンさんの言葉でカイさんとロウさんも野営のための準備を始める。

私は何をしていいかわからないので、ダンさんに何をすればいいのか聞いた。

「動けるならテント立てるの手伝ってやってくれ」

急いでテントを立てるのを手伝いに行くと、いわゆるモノポールテントで広げた布の端をペグを打って真中にポールを立てたら完成だった。

テントの周りに溝を掘るのは必須だと土魔法で実演してもらいながら教えてもらった。

「焚火はしますか?」

薪になりそうな木なら持っているから聞いたら、大人数の時や食事を作る時なら火を起こすけど少人数の時には火は逆に夜間目立ってしまうので野営する人数が少ない休憩所では行わないんだそうだ。

「ニーナは野営初めてだろ、寝方の説明をしておくな」

 ・通常の野営なら見張りを必ず立てる事

 ・今回はニーナを除いた3人で見張りをするから遠慮せずに寝る事

 ・普通の冒険者はテントの中に敷物を敷いて、その上で毛布などで寝る事

 ・野営地だと他にも野営する人も多いから安心感があるが、逆に他人に対しても警戒しなくてはならない事

「ニーナとスライム達、ちょっとこっち来い」

説明されながらダンさんにテントの中に誘導された。

「さっきの椅子になったルルを見て思ったんだがな。ルル、ニーナが寝られるくらいの大きさになれないか?」

ルルがダンさんの言葉でベッドより小さいくらいの大きさに変化した。

「ニーナはルルの上に寝転がって毛布をかぶる」

言われるがままにルルに寝転がって毛布をかぶる。

「そんでマリンがルルとニーナを覆うようにする。空気穴を忘れるなよ」

マリンが大きくなって私とルルを覆うように変化した。

「リトがマリンの上で見張りをする」

リトがダンさんによってマリンの上に乗せられた。

(鏡餅の中にいるみたいだ)

「あー、これだと中が丸見えだから、色を濃くして見えないようにすることは出来るか?」

マリンが色を変えて外が見えなくなった。

「おー立派なスライムテントだな。これならソロで野営しなくちゃいけない時にもニーナ眠れるぞ」

どうやら完成みたいなので、マリンにドア?を開けてもらってルルから降りて私も客観的にスライムテントを見る。

(うん、青い饅頭です)

「これ、討伐されません?」

「うーん、今回はいらないだろうけど、1人の時は看板でも立てるか?従魔の中で休んでいますって」

「まあ、1人で野営することになった際に考えます」

「そうだな」

快適に寝る方法が出来たけど、違う意味で悩みが生まれてしまいました。


 野営の準備がすっかり終わって、皆で座ってのんびりした時間を迎えた。

今はリトが椅子になってくれている。

今夜この休憩所を野営地にする人は他に居ないらしく、報酬とする為のスライム達の能力を話し始めるには都合がいい。

「スライムの話をするのに、他に人もいないからちょうどいいですね」

一応声は小さめにして話し始めた。

 ・大きさを変えられる

 ・バリアが張れる事から基礎魔法もきっと出来るようになる

 ・ルルは光魔法、マリンは水魔法、リトは風魔法が使えるようになった

 ・アイテムボックスが昨日使えるようになった

話していくと、どんどん3人が自分のスライムを抱えてスライムに顔を埋め込み始めた。

「どうしました?報酬に値しませんか?」

「あー、ニーナ逆だ。ペラペラよそで話さないようにな」

ロウさんが埋め込みながらうめいた。

「ってことはニーナ。俺のムムもバリア張れたり魔法やアイテムボックスも出来るようになるかもしれないのか?」

ダンさんが復活したとたんムムが出来るかを聞いてきた。

「ちょっと待っててください」

"ルル、ムムってルル達と同じような事出来る?"

"バリアは出来るかも。魔法はきっとまだ出来ない。アイテムボックスはもしかしたら出来るかも"

「ルルに聞いたら、バリアは出来るだろうって。アイテムボックスはもしかしたら。魔法はまだ無理だそうです」

「俺のレオも見てくれ」

「俺のシェリも頼む」

カイさんのスライムがレオで、ロウさんのスライムがシェリなのね。

"ルル、レオとシェリはどうなのかな?"

"ムムと一緒"

「ムムと同じだそうですよ」

おーって声が上がる。

スライム達の可能性が広がるのは嬉しいですよね。

「アイテムボックスはもしかしたら、なのはなぜなんだ?」

「それ、私も出来た理由とか聞いていないんで聞いてみますね」

"ルル、どうやってアイテムボックス出来るようになったの?"

"最初は出来なかったの。でも収納しようと頑張っている時に思い出したの。マスターに会う前に、時どき草をどこかにしまって後で出して食べた事。思い出したら収納できるようになった"

"それはどんなスライムも出来るのかな?"

"マリンとリトもルルが話して悩んでやっと思い出せてアイテムボックス出来るようになった。だから思い出せない子はアイテムボックス出来ないんだと思う"

"そうなんだ。教えてくれてありがとう"

沢山話してくれたルルを撫でてお礼を言う。

「ルルの話ですけど、テイムする前は意識がはっきりしていなかったそうです。でもその意識がはっきりしない時代に草をどこかにしまって後で食べるってことがあったそうです。それを思い出せる子はアイテムボックスが使えるんじゃないかって……」

「もし、ニーナとスライム達がよければ俺たちのスライムにバリアやアイテムボックスを教えてやってくれないか?もちろん出来なくても文句はないから」

その申し出にルルとマリンがダンさん達の方に寄っていった。

ダンさん達は自分のスライム達を地面に置いて、スライム達がくっついてモニュモニュしている。

「実はうちの子たち結構スライム討伐をしているんです。本人たちがやりたがるんで。私は知らないんですけど、もしレベルがあるのだとしたらスライム討伐でうちの子たちはレベル上げを行っているんじゃないでしょうか?」

「あー個体のレベルな。あるって言われているな」

「でも鑑定では見えないですよね」

「鑑定は昔は色々見えたんだって言われているな。それがもとで非道なことがたくさん行われた結果、神の怒りに触れて今みたいに異種族は色々見えるけど、同種族には名前と年齢くらいしか見えなくなったんだと」

初めて聞く話だった。

「非道?」

「伝わっているのは一部だろうけど……」

 ・アイテムボックスの時間停止や容量がでかい子どもを誘拐して洗脳して鞄代わりにする

 ・鑑定持ちも誘拐して、誘拐相手を探すために利用される

 ・戦うスキル持ちを無理やり軍属にする

「まあ、目を着けられたら人格壊されて道具扱いされていたのは間違いなかったらしい」

ひどい話だ。

「でも、ギルド登録前に門で兵士さんに鑑定されたとき犯罪の有無を調べてましたよ」

「あれは、せめてもの神の慈悲で鑑定とは別の魔道具か何からしいぞ」

魔道具、作り方簡単なら作ってみたい。

「そんな歴史があるんですね」

「俺たちも受け売りだ。前、そんなことを話し続ける奴がいて覚えちまった」

"マスター、ムム達バリア覚えた。アイテムボックスは思い出してみるって"

"ありがとう"

「ムム達がバリアを覚えたみたいですよ。アイテムボックスはすぐには無理そうですね」

スライム達を見てみると、交代で体当たりをしてバリア特訓を始めていた。

ムム達のバリアは体当たりで壊れちゃうけど、ルルとマリンのバリアは壊れてない。

私はリトから降りて、リトにみんなとバリア特訓してきていいことを伝えて向かわせた。

改めて椅子を出して座ると、ダンさん達が感動したように声を出していた。

「俺のレオがバリア使ってるよ」

「俺のシェリもだよ」

「ああ、俺のムムが一番上手にバリアを張ってる」

親バカみたいな会話を始めている……私も自慢したい。

でも、さすがにバリア張りたての子たちに張り合ってうちの子を自慢するのは申し訳ないから我慢。

「明日はすぐに街に入るんですか?特に何もないなら、スライム探してスライム達にスライム討伐させませんか?」

一応提案してみる。

自称おじさんたちが、こちらを一斉に見るのはびっくりする。

「「「それいいね!」」」

あれよあれよと、明日は夜明けとともに動き出してスライム討伐特訓が行われることが決定した。

「ニーナってスライムと念話での交信がすごいよな。なんかコツとかある?」

「最初っからルルが単語で伝えてくれていたので、テイマーと従魔のつながりを意識してこちらの意思を伝えるのを練習していたらルルもどんどんお話が上手になってきましたよ。今ではマリンも結構話せますし、リトはもうちょっとかなって感じです」

ダンさん達はそれも特訓するわって喜んでいる。

かわいがっている子の話が理解できるとなれば頑張るしかないよね。

薄暗くなってきたので、そろそろ夕飯を食べることになった。

今日はゆったりとした夕食なので、いつものスープを出して三等分して収納してからパンを出して食べる。

でも今日はずーっと走ってきたからお腹空いていたので串焼きの肉も1塊食べてしまった。

食事が終わる事には、ずーと特訓していたムムのバリアが体当たりに耐えることが出来てた。

ダンさんは大喜びで、ムムを撫でまくってた。

食べたら眠くなったので、ダンさん達に声をかけてスライム達を呼んで用足しをした。

おやすみなさいを伝えた後、テントに入って隅っこでできるだけ小さくスライムテントを展開してもらって中に入った。

"""何かあったら起こすから安心してね"""

"今日は色々ありがとう。明日も起こしてね。お休みなさい"

"""お休みなさい"""

初めての野営だけど、スライム達に守られて且つ親切な人たちが見張りをしてくれている状態だから怖くなんてなかった。



ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。

これからもよろしくお願いします。

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