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第23話 遠出の準備

 今朝もポヨポヨペシペシで目が覚める。

「いつも起こしてくれてありがとう。今日は広場で手伝ってほしい特訓があるんだけどいいかな?」

"""もちろん"""

この2日間は時間がないから、日課はスムーズにこなさなきゃまずい。

まだ夜が明けてない広場だけど、相変わらず数人の人が身体を動かしている。

人が居ない端に行くのはいつものことなんだけど、地面に足で少し大きめに丸を描く。

「私はこの中でよけるから、順番に体当たりをしてきてもらってもいい?もちろん怪我をしないように受け流しバリアを張るからぶつかってもお互いに大丈夫だよ」

"""わかった"""

丸の中に入って、スライム達も円の外にそれぞれ配置について、ルルの"行くよー"でスタートした。

最初はよけられなくて、ポコポコ当たってしまう。

でも、バリアのおかげで双方に怪我はない。

ルル達も最初よりもゆっくりとした順番で体当たりをしてくれるようになったおかげで、徐々によけられるようになってきた。

ゆっくりのタイミングで何とかよけられるようになったら、少しだけ体当たりしてくるタイミングが早くなった。

そうすると、またよけられなくて当たってしまう。

そんなことを繰り返し行っていたら、夜が明けたので朝の特訓を終わりにする。

朝食を食べて、延泊手続きをした後にそのまま2階の売店に行く。

お店なんてここしか知らないから、雨除けマントと毛布を探しに来た。

「すみません。雨除けマントと毛布ってありますか?」

「あるけど、ちょっと待て。一番小さいサイズを出してくる」

1人の職員さんが別の場所に取りに行ったので、お皿とかを見ておく。

「待たせた。これを羽織ってみてくれ」

渡されたフード付きマントを羽織ってみるが、少し大きいみたいだけど引きずったりしていないから許容範囲かな。

「これが雨除けマントで一番小さいんだが、どうする」

「これにします。いくらですか?」

「このマントは1,000ルー、毛布は500ルーだ」

「両方いただきます。あと、この30ルーの皿を12個お願いします」

「全部で1,860ルーだ」

アイテムボックスから2,000ルー出してお釣りをもらう。

購入したものをすべて収納してから、食堂に向かう。

「すみません。スープとパンのセットを12食お願いしたいのですが、大丈夫ですか?」

「かまわないが、どうせ他の容器に移すんだろ?最初っからそっちに入れるから容器を出しな」

「ありがとうございます。この皿にお願いします」

600ルーとクリーンをかけたお皿を出す。

「次々出すから収納しちゃいな。しかしこんなに多いんじゃ遠出でもするのか?」

「はい。2日後にダンさん達に南の街のダンジョンに連れて行ってもらえることになったんです」

「ダン達なら安心だな。ちゃんと話を聞いて行動しろよ」

「はい」

次々よそってくれるスープをどんどん収納して、最後にパンを出してくれた。

パンは今のうちに3等分にして収納していく。こうすれば食べる時に時間短縮になるから。

「すみません。薄い生地に野菜と肉がまかれている奴って何て名前ですか?」

「トルティーヤのことか?」

「たぶん。あれいくらですか?」

「1個100ルーだよ」

「6本ください。できれば半分で切ってくれると嬉しいです」

600ルーを出して図々しく半分にすることをお願いする。

「おう、ちょっとまってな」

笑いながら了承してくれたので、出されるのを待って収納した。

一応最低限の食料は手に入れたし、立って食べられるものも12食分用意した。

お礼を言って食堂から離れる。

これで一応準備は終わったはずだから、角ウサギを狩猟しに行く。

この2日間で少しでも稼いでおかないと、ダンジョンが稼ぎになるかわからないから。

人にぶつからないように気を付けながら走って街を出る。


 草原まできたので最初に群生地に薬草を採取しに行く。

つい最近まで毎日薬草採取をしていたはずなのに、ずいぶん久しぶりに感じる。

手早く採取して、今日は14束が出来た。

群生地を少し出たところで少し早めのお昼にするためにスライム達を降ろす。

「急いでお昼食べるからあまり食べる時間ないけど大丈夫かな?」

"この後角ウサギの血抜きで食事になるから大丈夫"

「良かった。一応狩猟出来なかった時のために食べておいてね」

机と椅子を出してお昼を食べる。

今日の目標は6体以上の狩猟だ。準備にお金を使ったし移動中は少なくとも稼ぎが無いからその分を稼ぎたい。

急ぎ片付けて群生地に来るまでに見つけていた角ウサギの所に移動する。

ここは3体のグループみたいだ。

大きさは1体微妙に小さめなのが居るけど仕方がない。

狙いを定めて≪水球≫を発動する。

目視出来ているので、外れることなく水球が発動して角ウサギの息を止める。

スライム達に血抜きを頼み、サーチで次の角ウサギを探す。

出来れば近くに野良スライムがいるとうちの子たちに討伐に行かせてあげられるんだけど。

ちょっと角ウサギが多いけど、近くに野良スライムもいる場所があるので収納してから移動する。

先に野良スライムがいる場所に近づく。

もう少し先って場所で、スライム達を降ろす。

"角ウサギを狩猟したら戻ってくるから、スライム討伐が終わったらここら辺で待っていてね"

"""はーい"""

スライム達が討伐に行くのを見送って、自分も角ウサギの場所に移動する。

角ウサギが見える場所まできた。

どうやら、3体グループと2体グループが偶然近くに居るみたいだ。

5体同時に魔法をかけるのは難しいので、3体の方に魔法をかけてそのあとすぐに2体の方に魔法をかけるつもりで行こう。

逃げられたら逃げられたで仕方がない。

狙いを付けた3体を良く見て水球を発動する。

すぐに2体の方を見て水球を発動しようとしたが、3体の方の暴れる音に気が付いたのか逃げに入っていた。

よりによってこちらの方向に向かって走ってくる。

私がいることに気が付いたのではなく、ただ逃げた方向がこちらだったみたいだ。

走っている角ウサギに水球は難しいので、角ウサギの進行方向に穴を掘る。

何とか1体穴に落ちた。

もう1体は別方向に向きを変えて逃げてしまった。

穴に急ぐと何とか出ようとしていたので、今度こそ水球を発動した。

穴のうさぎはそのままにして、動きが止まった3体の角ウサギの方に行って収納する。

収納しておけばスライム達が後から血抜きをしても問題ないからだ。

3体収納後に穴に戻ると、動きが止まっていたのでこちらも収納する。

穴をこのままにすると危険なので、土魔法で穴をふさいでおく。

一応今日の目標はクリアできた。

サーチで危険を避けながら先程スライム達と別れたところに行くと既にスライム達が待っていた。

"お待たせ。怪我はない?"

"誰も怪我してない。マスターは?"

"大丈夫だよ"

先程狩猟した角ウサギを4体出して、スライム達に血抜きをしてもらう。

血抜きをしてもらっている間に実験したいことがある。

サーチで魔力を感じるようにすると、大気中にも魔力は薄いとはいえ漂っているのが分かる。

では呼吸でこの魔力を取り込むことで魔力の回復を早められないかと思ったんだ。

(魔力回復速度アップは物語の定番の一つだしね)

呼吸と一緒に魔力を吸って、体内に吸収するイメージでゆっくりと呼吸を続ける。

しばらく続けていると心なしか魔力の回復が速い気がする。

一応鑑定するが、まだスキルとしては生えていない。

(魔力回復は早いみたいだから、意識しなくても吸収できるように練習しよう)

スライム達が血抜きが終わった事を教えてくれたので、角ウサギをクリーンして収納してスライム達を抱き上げる。

"今日はもう帰ろう。特訓できなくてごめんね"

"特訓した"

"した"

マリンとリトの返事に驚いていると、ルルが説明してくれた。

"スライム討伐終わってマスター待っている間に特訓してた"

(うちの子たちいい子過ぎでしょ)

"よし、帰ろう"

街に向かって元気に帰路に就いた。


 ギルドの買取カウンターで角ウサギを7体と告げると、以前と同じように後ろの机に案内された。

大きい机に角ウサギを出していくと、前回と同じように次から次へと査定が始まる。

出し終わったらカウンターの前付近で待つことにする。

(今日はなにもトラブル起きないといいな)

つい周りを見渡してしまう。

呼ばれたのでカウンター前に移動する。

「査定が終わりました。今回も1体600ルーで買い取らせていただきますので、4,200ルーです。ご確認ください」

お金を確認して、アイテムボックスに入れる。

何となくお金を受け取ったらお辞儀して、すぐにその場を離れてしまった。

"少し早めに戻ってこれたから、広場で朝の特訓してもいいかな?"

"""いいよ"""

"ありがとう"

この時間に広場に来るのは、最初の時以来だったけどここはいつも誰かしら身体を動かしている人が居る。

今朝と同じように人のいない場所に移動して、地面に丸を書く。

今朝やったばかりだから、スライム達も説明なしで位置についてくれる。

"いくよ"

ルルの言葉で特訓が開始された。

朝の時と同じ様に、最初はゆっくりのタイミングでそれぞれに体当たりしてきてくれる。

最初のかなりゆっくりのタイミングは当たらずによけることが出来た。

"ちょっと早くするよ"

ルルがタイミングを少し早くすることを宣言して、実際にタイミングが早くなる。

(なんか特訓の仕方がスムーズになってるんですけど……)

徐々にタイミングが早くなって、時々当たったりするとそのタイミングがしばらく続いて、当たらなくなったらまたタイミングが早くなって……。

体力づくりも兼ねて持続力強化をしていなかったから、疲れが足に出てもつれてしまった。

「はぁはぁ、今日はここまでね。協力ありがとう」

スライム達はまだまだ元気にポヨポヨ跳ねている。

少しの間、座って休憩して呼吸を整えてから広場を後にして食堂で夕食を食べる。

もちろん3等分にする節約は続けている。

(単純に食べきれないだけなんだけどね)

食べ終わったら、先程の特訓が効いたのか眠くなったので宿泊所にすぐに戻る。

いつものようにクリーンをかけて、布団に入る。

「明日の朝も同じように起こしてね」

"""はーい。お休みなさい"""

スライム達におやすみなさいを言われたら、目を開けていられなくなってしまった。

「お休みなさい」

目を閉じたらそのまま寝てしまった。



ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。

これからもよろしくお願いします。

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