第19話 特訓って大変
いつもより激しいポヨポヨペシペシで目が覚めた。
「おはよう。起こしてくれてありがとう」
スライム達の興奮は収まってなかったみたい。
まあ、興奮しているスライム達もかわいいからいいんだけど。
広場に行って、ランニングを始める。
さすがに広場に入ってからは、おとなしくしてくれて助かったので撫でておいた。
ランニングを終わらせて、無言の圧力を感じながら早めに朝食を食べる。
街を出てから、サーチで角ウサギを積極的に探す。
(今日はとりあえず2体か3体狩れればいいか)
街から少し離れたところで草原に入ると、近くに角ウサギの反応があった。
"角ウサギ1体の反応があるから狩猟するね"
一応スライム達に念話で伝えて、慎重に移動する。
角ウサギが視認出来た位置で止まり、水球を発動して動きが止まるのを待つ。
後は鑑定して狩猟出来たのを確認して血抜きを行う。
あと1体狩猟してスライム討伐をすれば特訓の時間がかなり確保できる。
血抜きが終わった角ウサギを収納して、次を探してサーチしながら移動する。
少し移動したら1体の角ウサギを見つけたので、そちらに移動する。
その角ウサギの少し手前に野良スライムもいるので、みんなには先にスライム討伐をしてもらってから角ウサギの討伐に予定を変更した。
野良スライムから離れた場所でみんなを降ろして、スライム討伐に行ってもらう。
"終わったら戻ってきてね"
"""はーい"""
私はその間に今日の特訓の方法をどうするのかを考えようと思っている。
買い物で貰ったスキル以外に生えたスキルは、地図と遠見と木登りの3つだ。
練習しやすくて、今後役に立ちそうなものを考えていた時に浮かんだ能力があった。
スキルとして生えなくても技術力が上がれば今後役に立つ能力だと思うので、特訓に時間が取れる今日に行おうと思う。
その能力は投擲。
この前氷の矢を投げた時に外してしまっていた。
攻撃を外すと反撃にあいやすくなるので、一撃で当たるようになるのは重要なことだと思う。
どうやって練習すれば取得しやすいかを考えていたら、スライム達が戻ってきた。
スライム達を抱き上げて、角ウサギの場所に向かう。
先程と少し移動しているが、そんなに移動していないので良かった。
角ウサギが見える位置で止まって水球で狩猟する。
スライム達もノリノリで血抜きを終わらせている。
クリーンをして収納して、後は時間の許す限りの特訓の時間だ。
幸いここは地面がそこまで凸凹してないし、サーチでも危険ではなさそうなのでこのまま修行するのにはよさそうだ。
「みんなが頑張ってくれたから、特訓の時間がたくさん出来たよ。まずはお昼まで特訓ね」
スライム達も気合を表すためにポンポン跳ねたり、触手で握りこぶし作ったり反応が楽しい。
「お昼には一度声をかけるね。その時は少し休憩しようね」
"""はーい"""
返事の後、スライム達は私から少し離れたところに移動した。
スライム達はスライム達で特訓することがあるみたいだ。
私も特訓の準備をしていく。
まずは、足元に投げやすいような石を土魔法でたくさん作って収納する。
そして、1mほど先に土魔法で的を作る。
後はひたすら手の平に石を出して投げるの繰り返し。
実践では利き手で投げられるとは限らないので、左右関係なく投げて練習している。
だんだん的の狙ったところにあたるようになったら、次は2mほど先に的を作る。
1m先の的を壊した際に散らばっている作った石を拾って、投擲位置に戻って投げる。
2mになると、なかなか狙ったところにあたらない。
作った石が無くなったら拾いに行ってを繰り返していたら2mなら狙ったところにあたるようになった。
3mの的を作った時に、投げる用の石をさっき作ったのと同じくらいの量を作って収納した。
石を取りに来る回数を減らすための対策だ。
それからは、持続力強化はしているが身体強化はしないでひたすら投げる。
さすがに腕が上がらなくなってきた。
太陽も上の辺りまで来ているから、そろそろお昼にいい時間だ。
休憩前に散らかした石を拾っておく。
投擲の練習をしていたところから少し離れて地面がむき出しになっている場所に移動する。
みんなを呼ぶ前にちょっと土魔法で作っておくものがあるので、それに土が必要だったので。
作ったのは直径1mほどの石のタライ。
先日、雨だった日に濡れながら楽しそうにしていたので水を張って小さなプールを用意したら楽しんでくれるんじゃないかと思っていたんだ。
石タライに水を10cm程の深さになるまで出した後にみんなを呼ぶ。
"みんなお昼にするから休憩しよう"
石タライの近くに机と椅子を出してお昼の準備をする。
草の動く音がして、みんなが戻ってきた。
「おかえり」
"""ただいま"""
「みんなお腹空いている?」
"今日はマリンもリトも食べなくても大丈夫よ"
代表してルルが答えてくれる。
「食べなくて大丈夫なら、みんなにプレゼントあるの」
みんなを一度に抱き上げて石タライの中に入れてあげる。
「水遊び好きでしょ?どうぞ私がお昼休憩の間遊んで」
水に触れて嬉しそうな感情が伝わってくる
"""ありがとう"""
「じゃあ私はお昼食べるね。仲良く水遊びしてね」
みんなを撫でてから、お昼を食べるために椅子に座る。
食べ始める前に石タライを覆うように球体のバリアを張る。
内側からの水の塊を外に出ないイメージで張った。
遊びが激しくなって、水をかぶるのを避けたい。
石タライの中で仲良く水遊びをしているスライム達を見ながらお昼を食べる。
食べ終わっても遊んでいるので、手だけ入れて水をかけてあげたら触手で真似して水をかけ始めた。
慌てて手を抜いて、水がかかるのを回避する。
バリアを張っていなかったら水がなくなっている勢いで、水かけ遊びをしている。
ふと思い出して、みんなの水かけを止めた。
「みんな見ててね」
両手を水の中に入れて、手を組んで水を飛ばす。水手砲だ。
スライム達はとても驚いてくれた。
"マスターもう一回やって"
リクエストに応えて何度も水手砲をやった。
最初にマリンがどうやったのかピューって水を飛ばせた。
そしたらルルとリトがマリンにくっついて何かをやっている。
その後にはルルとリトも水をピューって飛ばせるようになった。
「みんな上手だね。私は休憩を終わりにするね。この石タライはそのままにしておくから遊んでいてもいいし。特訓に戻ってもいいからね」
"マスター、もっと大きいタライにもっとお水欲しい。ダメ"
珍しいルルからのお願い。これは叶えなければ。
「たぶんできると思うよ。ちょっと待っててね」
直径1mだと小さかったみたいなので、直径3mほどのタライをイメージする。
ちょっと疲れたけど、無事にできた。
小さいタライからスライム達を出して、大きいタライの中に入れる。
「今から水を入れるからね」
大きいタライに20cmの深さになるように水を出すのはさすがに疲れた。
でも、みんなが凄く嬉しそうだからまあいいや。
小さいほうの石タライに水が入ったままクリーンをかけたら、中の水まで綺麗になったのでそのまま収納しておく。
この大きさならギルドの広場で遊ばせてあげることが出来るし。
「じゃあ、私は向こうにいるからね」
水遊びするスライム達に声をかけて投擲特訓に戻る。
投擲場所に戻って、3mの的に向かって左右を変えながら投げる。
ようやく狙ったところに当たるようになってきた。
一応、自分に鑑定をかけてスキルが生えているか確認するが生えていない。
(どんだけ投擲の才能がなかったんだろう)
へこみながら石を拾ってきて、今度は4mのところに的を作る。
また的に向かって投げ続ける。
また腕が痛くなるまで投げたところで、狙ったところにスムーズに当たるようになってきた。
期待して鑑定すると、狙った通り投擲のスキルが生えていた。
(やった。報われたよ)
石は必要な時に収納から出せれば投擲しやすいので、作った分は回収できるだけ回収して収納しておいた。
まとを崩して投擲訓練の片づけをした後に、石タライのところに戻ってスライム達を確認しに向かった。
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