第17話 ポーション購入
まだ暗い夜明け前にポヨポヨと感じて目を覚ます。
今日もかわいいスライム達が起こしてくれた。
笑って身体を起こしたら、頭の上でポヨポヨ振動していたルルが転がっていた。
「おはよう。ルル大丈夫?」
"転がるの楽しかった"
楽しかったのなら良かったのかな?
「広場に体力づくりに行こう」
広場に着いたら、昨日までと違っておはようと声をかけてくれる人が居る。
わたしもおはようございますって返して、邪魔にならない端でランニングを始める。
持久力強化をしちゃうと素の体力づくりにはならなそうだからバリアとサーチだけかけて行っている。
街の外に行くときにはこの2つの能力は必ず使うので、使用した状態での体力づくりになるかなって考えだ。
途中休憩入れながら、いつもより長い時間をランニングする。
今日は採取にも行かないため、体力づくりは時間を長くして、日が出てから少ししてから朝市に行ってみようと思っている。
朝食は昨日の夕飯分が残っているのでそれを食べて、お昼はお肉とダンさんから貰ったおやつを食べる予定だ。
まだ食べ歩きするほどの貯蓄は出来ていないから。
「そういえば、昨日お肉等の食べ物貰っていたけどどうだった?」
"草食べている時と同じだった"
"同じ 角ウサギの血の方が魔力豊富"
"かわらない"
残念だけどルル、マリン、リトの全員が味を感じなかったみたいだ。
それよりもその物も消化しているのは確かなんだけど、含まれている魔力が重要なのかもしれない。
日が昇ってからも少し続けていたランニングを止めて、部屋に戻って朝食前にクリーンをかけて食べる。
「これから朝市に行こうと思うんだけど、肩とかに乗っかってて人ごみで落ちたりしない?ポケットに入っていて外って見えるの?」
心配になってスライム達に聞くと落ちない、触手をちょこっと出してそこから見ているって答えが返ってきた。
(ポケットに入っている時にはそうやって見ていたのか)
「大丈夫ならよかった。それじゃ延泊手続きしてから朝市に行こう」
宿泊所を出て延泊の手続きをしてもらおうと思ったら、買い取りカウンターに寄って欲しいとお願いされた。
とりあえず延泊の手続きをして買取カウンターに行くと職員さんが出てきて個室に案内された。
着座を促されたので座ると、まず昨日の騒動のお詫びをされた。
別にギルドが騒動を起こしたわけじゃないんでってことを一生懸命に伝えた。
「昨日のことがあるのに、ニーナさんにお願いがあります。あの後に食堂で話していた血抜きの方法を解体職員に教えていただきたいのです」
ギルドの職員さん達にまで血抜き方法が伝わったみたい。
「もちろん、ギルドからの依頼として少ないですが報酬を用意しています」
渡された依頼書には1000ルーって記載されてた。
「少なくて申し訳ありません。すでに他の冒険者にも伝えられていることからこれくらいしか出せなくて……」
「いやいや、多いと思って驚いていただけですから」
受注処理をその場でしてもらい、解体場に案内された。
早朝にもかかわらず数人の人が待っていた。
「依頼を受けてくれてありがとう。血抜き前の獲物を用意するので実演しながらの説明でも構わないか?」
もちろん了解して、スライムを使った血抜き方法と水魔法を使った血抜き方法を実演しながら教える。
「これはスライムをテイムしようとするやつが増えるな」
「水魔法でも同じ事出来るんですからそれはないんじゃないですか?」
「俺たちのような街での解体なら水魔法でもいいんだ。でも外でやるなら決定的な違いがあるんだよ。」
断定されたので、昨日自分でやってスライム達との違いは……。
「血の臭い」
「そう、血の臭いがスライムではしない。これは外での解体では大きいからな。まあ、風魔法で血の臭いを飛ばすなどの対策は元からやってる事だからテイム出来ないやつも大丈夫だろ」
確かに昨日やっただけでも匂いがきつかったからスライム達がいる時には絶対自分ではやらないと思ったくらいだった。
解体場の人達にスライムをテイムしている人はいないので、水魔法の血抜きを実際にやってもらう。
先にイメージを言葉に伝えながら実演したからか、皆さん無事に血抜きを成功させていた。
依頼書に完了の署名を貰って受付に行って報酬をもらった。
思わぬ収入ににんまりしながら、朝市にむけて出発した。
午前中に街を散策するのは初めてだけど、今日は1件行きたい出店がある。
期限切れが間近なポーションを売っている出店があることを昨日聞いたんだ。
たとえ期限が当日でも私のアイテムボックスに入れておけば問題なく保存できるからお勧めされたんだ。
殆ど同じ場所に出店を出しているらしいので、そこに向かう。
最初に買うものを買っておかないと、お小遣いに出来る金額が分からないから。
広場の北側にだいたい出店しているらしい。
2度目の広場はこの前以上に混んでいて、移動するのも大変で人ごみ対策で受け流すバリアを自分から10cmでまとわす様に張っている。
これで人にぶつからずに、かつ掏り対策にもなる安心バリアだ。
徐々に進んでようやく広場の北側にこれた。
出店をみながら歩いていると、瓶が並んでいるお店が見えた。
私と同じくらいの子どもも数人手伝っている。
お店の前に行って値段を確認すると、
1週間期限があるやつ ギルド価格より半額
3日間期限があつやつ ギルド価格より7割引き
1日間期限があるやつ ギルド価格より9割引き
って記述されている。
今日の取り扱いで1日期限の物は、下級ポーション、ポーション、上級ポーション、ハイポーションと揃っている。
(今日は当たりの日だ)
1日間期限のポーションは、
下級ポーション 10ルー
ポーション 30ルー
上級ポーション 100ルー
ハイポーション 1,000ルー
となっているので大変お買い得だ。
「1日間期限のを、ハイポーション1本と上級ポーションを2本、ポーション10本と下級ポーション10本ください」
「今日で期限が切れるけど、そんなに買って大丈夫?」
逆に心配されてしまった。
「大丈夫です」
笑顔で言い切ると、トレイに頼んだポーションが乗せられて準備された。
一応トレイの上のポーションを鑑定すると、それぞれのポーションで期限が1日間になっているのを確認して、お代の1,600ルーをトレイに乗せた。
確認してもらってトレイに出してもらったポーションをアイテムボックスにしまっていくと、声をかけられた。
「こんなに買ってくださってありがとうございます」
「いえ、逆に買わせてもらって大丈夫でしたか?必要な子はいませんか?」
「大丈夫です。幸いポーションの寄付は多いので、都度必要な子には飲ませることが出来ているので」
ここの孤児院ではポーションを使用できるので健康面では大丈夫なんだそうだ。
全部収納して、お辞儀をして出店を離れる。
これで怪我した時でもまずポーションを使用して治療が出来る。
(でも、自分が動けなくなった時にはどうしよう)
ソロの弱みだ。他の人からのサポートがない。
(ルル達がアイテムボックス使える様にならないかな……。夜にでも聞いてみよう)
お目当てのポーションは購入したので、他の出店を見ながら移動する。
色々なお店があってみているだけで楽しい。
ウィンドウショッピングしていたら、気が付いたら12時の鐘が鳴っていた。
広場にあるベンチで空いているところを探して座る。
自分の隣にスライム達をおいてあげて、一緒にお昼にした。
私は以前貰った食べかけの串焼き。まだ2個もお肉ついているし、食後に少し見て回った後におやつにする予定だからちょうどいい。
スライム達には雑草を取り出してベンチを汚さないように少しづつ渡してあげる。
"串焼きの串、食べる?"
って聞いたら全員触手を挙げて返事をするので、出来るだけ同じ長さに折って渡してあげる。
食べ終わったら今まで行ったことのない、広場の東西の通りを歩いてみる。
まずは東側に向かって歩く。
東側には宿屋もあるんだけど、八百屋などの日常のお店があって北側の通りに似ている。
何事もなく平和に門までついた。
東の門も他の門と同じように兵士さんが立って入場を管理している。
何となく東側の雰囲気も分かったので、来た通りを戻って今度は西側の通りを歩く。
先程と変わらず混んでいる広場を抜けて、西側の通りを歩く。
こちらは他の通りと違ってなんか高級そうなお店が続いている気がする。
心なしか歩いている人も少ない。
西門が見えたけど、西門も他の門と変わりがない。
何となく居心地が悪くて広場まで少し急ぎ足で戻った。
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