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第16話 怒声

昨日、予約投稿を間違えて投稿してしまいました。

『第15話 順調な狩猟』をまだお読みでない方は、同日の話の続きですので申し訳ないのですが合わせてお読みください。


 入場待ちの列に並ぼうとしたら、ダンさん達が並んでいた。

「ダンさん、カイさん、ロウさんお久しぶりです」

列に並ぶ前に声をかけた。

「おう、ニーナ。ちゃんと食べてるか?」

相変わらずダンさんはちゃんと食べているかの確認をしてくる。

「食べてますよ。頂いたお肉もまだ残っていますし」

ちゃんとお肉残っていることを伝えたのに、3人とも苦い顔をした。

「ニーナ今帰りだよな。今日は夕飯一緒にどうだ?」

ロウさんが誘ってくれたので、是非と言ってご一緒させてもらうことにした。

私は今から入場の列に並ぶので、ギルドの食堂で待ち合わせすることになった。

「また後で」

手を振って列の最後尾に並びに行く。

後でって響きがなんだか嬉しくて、ここでも笑顔で走って移動してしまった。


 何事もなく街に入り、ギルドまで急ぐ。

ギルドで買い取りカウンターの職員さんに角ウサギの数を言うと、初めて奥の大きな机に出すように言われた。

「角ウサギとは言え6体ではカウンターには乗りませんから」

机の上に今日狩猟した6体の角ウサギを次々と出していく。

出した先から職員さんの査定が入っていく。

出した後はカウンターの付近に戻って、査定が終わるのを待つ。

「ニーナさん、お待たせしました」

呼ばれたので、カウンターに向かった。

「お待たせいたしました。6体とも傷なし血抜きも出来ていますので1体600ルーで3,600ルーでよろしいでしょうか?」

問題ないのでうなずいてお金を用意してもらう。

出されたお金を受け取っていると、後ろからいきなり怒鳴られた。

「俺たちのはもっと低い金額だったのに、なんでそんなチビのは高いんだよ!」

びっくりしたけどお金をなくすと大変だから、急いでアイテムボックスにしまった。

「何しまってんだよ!お前だよチビ」

どうしていいかわからなくて、固まっていると職員さんが声を出してくれた。

「先程も皮が傷つきすぎ、血抜きもされていない状態だったので査定が低くなったとご説明しましたよね」

私に説明してくれた時より幾分低い声で説明していた。

「それは聞いたよ。でもそんなチビがおかしいだろうよ」

だんだんヒートアップしているみたいで、正直怖い。

(どうしたらいいんだろう)

だんだん泣きたくなってくるけど、怖くて動くこともできない。

「なんだい、あんちゃん。なに熱くなってるんだよ」

食堂で見かけたことがある人が声を荒げていた男に声をかけてくれた。

「ニーナ大丈夫か?」

ダンさん達も気が付いたのか隣に来てくれた。

「急に、なんか……」

言葉にならずに詰まってしまったら、職員さんが代わりに説明してくれた。

「ニーナは悪くないよ。待ってな」

ダンさんが男の方に行ってしまったけど、ロウさんとカイさんがそばにいてくれた。

何か話しているようだけど、ロウさんとカイさんに大丈夫となだめられていて私のところまでは聞こえてこない。

少し落ち着いたころを見計らわれたのか、食堂に誘導されてロウさんとカイさんに挟まれる形で席に座っていた。

「災難だったな」

「職員に聞いた分じゃニーナに非はねぇよ、今ダンが話聞いてっから」

2人になだめられながら気が付いたらジュースの入ったコップを持って飲んでいた。

美味しいジュースでちょっと落ち着いてきた。

顔を上げると、ロウさんとカイさんだけじゃなくて食堂や広場で顔を見るくらいの人達だけど見知った顔の人達が心配そうにこちらを見ていた。

(大丈夫。ここの人達は優しい)

落ち着いてきたので、やっとスライム達の心配そうな声にも気づけた。

"心配かけてごめんね。もう大丈夫だよ"

プルンとそれぞれ揺れて返事を返してくれる。

こわばった顔がやっとほぐれたのか、周りの人達もほっとしたような顔をしている。

ロウさんとカイさんにお礼を言って、ジュースを飲む。

食堂も普段のざわめきを取り戻して、ゆっくりジュースを飲んでいると階段がざわざわし始めた。

ダンさんが最初に上がってきてこちらに来てくれて大丈夫か聞いてくれたので、笑顔で返事とお礼を言えた。

その後に声をかけてくれた人と怒鳴っていた人が上がってきて、様子を見てこちらに近づいてきた。

また何か言われるのか怖くて固まってしまったけど、ロウさんが背中を撫でてくれて何とか顔を上げて迎えることが出来た。

「あー、俺はケネス。ちゃんと会話はしたことなかったな。よろしく。あ、自己紹介は後でな。まだこいつらに名前知られたくないだろ」

ケネスさんは気遣いの人だった。

さっき怒鳴っていた人がケネスさんの後ろにいたのを一歩前に出て頭を下げた。

「さっきは済まなかった。色々上手くいかなくてあたっちまった。すまん」

そのお仲間の人も頭を下げている。

どうしたらいいかわからなくて、そばにいるダンさん達を見上げると、うなずいてくれた。

「謝罪を受け入れます」

それしか言えなかったけど、十分だったみたいだ。

「おら、頭上げろ。上手くいかないからって他にあたるなよ。ほら行け」

ケネスさんがまとめてくれて、もう一度謝られた後その人達は階段を下りて行った。

「怖かったろ。許してやってくれてありがとうな」

ケネスさんからお礼を言われてしまった。

「色々ありがとうございます。改めましてニーナです」

ようやく自己紹介出来た。

「ケネス、あいつらどうすんだ?」

私と一緒に居てくれたから下での話に参加していないカイさんが聞いてくれた。

「育った村で終えたくなくて街に出てきたばかりなんだと。でも上手くいかなくていらだっていたらしい。だからといって他にあたるのは間違いだからな。出身の村を聞いたら古参にその村出身が居るからそいつに説教と教育を任せるように話を着けてきたよ」

説明を待っていたのか、食堂で見かけたことがある人が近寄ってきた。

「話に入らせてもらうよ。俺はポール。さっきの問題児の説教係だ。見知らぬ人間に囲まれるのは余計に怯えさせるとあいつらを帰らせた後に来させてもらった。出身の村の奴らが済まないことをした」

ポールさんにも謝られてしまった。

「ポールさんは悪くありません。頭を上げてください。私はニーナです。よろしくお願いします」

ポールさんは笑って頭を上げてくれた。

「ポールなら大丈夫だ。ニーナ、ポールならしっかり説教してくれるから大丈夫だぞ」

ロウさんが頭をなでながら太鼓判を押してくれた。

「馬鹿な奴らが居たけど、飯だ飯。ニーナ好きなだけ食べろよ」

そう言うとダンさんは手に持っていたお皿を机の上に並べ始めた。

どれだけ注文したのか、何度も取りに行って皿でいっぱいになってしまった。

「ニーナが角ウサギを狩れるくらいに成長した祝いだ。一杯食え」

頭を撫でられながらお祝いと言われてしまった。

「それとこの前より増えているスライムの祝いも兼ねるか」

ダンさんよく見ている。

「ダンさんは白いスライムのルルには会ってますよね。あの後にテイムした青系のがマリンで緑系がリトです」

みんなにスライム達を紹介すると、名前のところで触手を手の様に挙げているスライム達がかわいい。

「よくしつけられているよ。さっきの時によくスライム達こらえたな」

スライム達にご褒美なのか串肉の肉を外して一個ずつ渡すようにお皿をくれた。

お礼を言って私からスライム達に感謝を伝えながらお肉を渡してあげた。

ロウさんがケネスさんとポールさんを一緒の夕食に誘って席につかせていた。

「ケネスさん、ポールさん本当にありがとうございました」

改めてお礼を伝えると、手を振って気にするなと返された。

「そういえば職員がニーナの角ウサギの品質が最高峰って言っていたけど何かコツがあるのか?秘密なら答えなくていいぞ」

ダンさんが気を使いながら聞いてきた。

「傷つけないように倒して、血抜きを出来るだけ行っているだけですよ」

やっていることを素直に答えたんだけど、納得いっていないみたいだ。

「みなさんの血抜きってどんなことやるんですか?」

逆に聞いてみた。

お互いを見ていたダンさん達は代表してケネスさんが話すことにしたみたいだ。

「一般的に、首のあたりを切って逆さや傾斜をつけて出てこなくなるまで待つくらいだな」

やっぱり想像した血抜きの仕方だった。

「ああ、やっぱり私とやり方が違いますね」

「ニーナ、もし問題ないならその血抜きの方法を教えてくれないか?」

ダンさんが申し訳ないように聞いてきた。

「別にいいですよ」

そしていつの間にか周りの人も聞いていたけど、、スライムを使った血抜きの方法と水魔法を使用した方法を説明した。

「ニーナ、それ教えてしまって良かったのか?」

ポールさんが頭を抱えながら聞いてきた。

「お役に立ちませんか?」

周りの人達も、首振ったり役立つと声を出したり思いのほか大きな反論にあって驚いてしまった。

「スライムの方法は確かにテイムできないと真似できないけど、水魔法の方は真似できるだろ。そうなると肉を買取してくれる獲物に関しては真似すれば買い取り金額が上がる可能性が高いだろ。有益すぎる情報だからみんな驚いているんだよ」

ダンさんがみんなの反応の理由を教えてくれた。

「出来るなら真似してください。お肉美味しくなるし」

本音を言ったら、食堂にいるみんなが笑ってくれた。

それからは和やかに楽しく食べることが出来た。

スライム達も私に許可を取ってから食べ物を渡されたりしていた。

私があくびが出てしまった段階で、お開きになったけど楽しかったので席を立つのをためらってしまった。

「またこうやって食べような」

この時間を惜しんでいるのが伝わったのか、ダンさんが優しく新しい約束をくれる。

本当に優しい人だ。

ダンさん達にお休みなさいを伝えると、お休みが返ってきた。

それだけじゃなく、食堂に居た人達もお休みを言ってくれて血抜き真似するよって声をかけてくれた。

手を振って答えて宿泊所に戻る。

今日はこの世界に来てから初めて大勢で食べて、色んなものを食べた日になった。

怖いこともあったけど、周りの人たちのおかげで何とか大丈夫になった。

本当にこのギルドで活動している人達には優しい人が多い。

部屋に入り、ベッドや自分たちにクリーンをかけてベッドに入る。

「ルル、マリン、リト、動かないでくれて、そして慰めてくれてありがとう」

スライム達に改めてお礼を伝える。

"攻撃ダメって言ってた。我慢した"

ルルがマリンとリトを抑えてくれていたみたい。

「本当にありがとう。明日はいつも通りに起きて体力づくりした後お休みにしようね」

それぞれポヨポヨ返事を見ていたら寝落ちしてしまっていたみたい。

"""お休みなさい"""

スライム達の挨拶が聞こえた気がした。



ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。

これからもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おおーん!スライム達がかわいいー!そしてかしこいー! [一言] もめ事はいやね
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