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第11話 先輩冒険者のアドバイス

 頭にポヨポヨとした感触を感じて目を覚ます。

"マスターおはよう"

昨夜言ったとおりにルルが起こしてくれたみたいだ。

「ルルおはよう。起こしてくれてありがとう」

ちゃんと日の出前に起こしてくれたルルに感謝を伝えた。

運動前に食事をするとお腹痛くなるので、水を飲んで広場で運動したら一度部屋に戻ってくる事にした。

 まだ暗いのにも関わらず、広場には数人運動している人が居た。

昨日と同じように人が居ない端っこに行って、まずは魔力の流れを早める。

流れを早めたまま柔軟し、何時ものように街なか向けのバリアをしながらランニングを始める。

走りながらも他の人を観察する。

しばらくしてから魔力をサーチすれば他の人との違いがわかるかもしれないことに気がついた。

休憩もかねて魔力をサーチして周りを見ると、中には速いスピードで魔力が流れている人がいる。

流れが早い人は人外のスピードを出したり跳んだりしている人達だ。

(身体強化に流れを早くすることは間違いではないのかもしれない)

何か自分とは違うところがあるのでは無いか、より注意して魔力をサーチする。

「おう、熱心だな」

そこにはルルをテイムした晩に話をした冒険者が居た。

「おはようございます。そういえば名乗ってませんでしたね。すみません。ニーナです。こちらは従魔のルルです」

ルルも触手を振って挨拶している。

「そういや名乗ってなかったな。ジョンソンだ。皆からジョンって呼ばれてる。ニーナもジョンで頼む」

ジョンさんも名乗りを返してくれた。

「随分熱心に見ていたが何かわかったか?」

「あそこの人たちが凄かったので何が自分とは違うのか観察してたんですが、まだ何が違うのかわからないんです」

正直に先輩冒険者であるジョンさんに話をした。

あわよくばアドバイスを貰えたらラッキーだと下心があるけど。

ジョンさんは私をじっと観察した。

「ああ、流れを早くする事にはたどり着いているんだな。それなら先輩からのアドバイスだ。ただ自分の魔力の流れを早くするのは持久力や回復力を上げることになる。なら、スピードや跳躍力など筋力には何の魔力が有効なんだろうな」

思った以上のアドバイスを貰えてびっくりしていると、ジョンさんは笑いながら教えてくれた。

「この街の冒険者は後輩を面倒見ようという空気があるんだよ。だからかアドバイスが必要そうな後輩が居たとき、その後輩が各自の手助けしてやってもいいかなって基準を超えてたらアドバイスしてやるんだよ。その話を聞くやつばかりじゃないけどな。ニーナは身体強化をしたいんだろ?俺の基準が自分の魔力の流れを早めることが出来ているって事だったからな。ニーナは出来ていたからアドバイスってかヒントだな」

ヒントって言っているけど殆ど答えをもらったようなものだった。

「どうしても分からなかったら今度聞きにきな。すぐに答えを教えるのはアレだけど、悩んで考えても分からなかったら遠慮せずに聞きに来いよ」

ジョンさんの言葉は、先輩として後輩に対する優しさが溢れていた。

「ありがとうございます。ちゃんと自分で考えてどうしても分からなかったら質問させてください」

ちゃんと頭を下げながらお礼を伝える。

ジョンさんは照れているのか頑張れよって言いながら去っていった。

夜明けを迎えたので、一度部屋に戻って朝食を食べる。

延泊の楽を覚えたので、宿泊所の入り口にいる職員さんに延泊の手続きを300ルー渡してお願いする。

カギをアイテムボックスにしまって、薬草採取に出発した。


 危険察知と魔力感知のサーチと反射バリア、ステルスと魔力の流れを早くしながら採取場所まで歩いていく。

今日は訓練も行うつもりなので、その前に疲れるわけにはいかないので歩きだ。

だいたいいつもの辺りに着いたので、サーチ内容を危険・魔力・薬草に切り替える。

訓練時間を作るために採取は急いで行うが、魔力の流れを早くしているからかいつもより疲労が少ない気がする。

群生地に行く前にすでに14束集めることが出来た。

群生地は採取に適した大きさに成長していたので、そこだけで12束になったので合計26束集めることが出来た。

また、4日後あたりに採取しに来ることにしていつもお昼を食べる場所に移動する。

素早くお昼を食べて、ルルにはいつものようにご飯を食べてもらう。

今日の訓練は身体強化を完成までもってくだ。

ジョンさんのヒントから、流れを早くするのは間違っていない。

でもそこにもう1要素付け加えないといけないみたいだ。

筋力を動かすのに使いそうな魔力ってなんだろう。

あくまでイメージだから運動した時に起きることを考えてみよう。

運動すると、熱くなって汗をかく。

汗は熱くなってでるんだから、熱くなるが最初の現象になるかな。

(熱くなる魔力は火の魔力かな)

イメージの整理をすると、火の魔力を身体強化をイメージしつつ、自分の魔力も早く流すってことかな。

今も早く流している魔力を同時に運動時の体の熱さをイメージしながら火の魔力を意識して早く流してみる。

魔力を早く流すのをずっと行ってきたからか、火の魔力を早く流すことはすんなりと行えた。

(これで上手くいったのかな?)

流すだけでは少し体温が上がったかな?って位の変化しかないので成功したかどうかが分からない。

とりあえず垂直方向に向かって飛んでみた。

軽く飛んだだけなのに、確実に普段以上高いところまで飛べた。

今度はダッシュしてみるとやはりスピードが速くなっている。

「ルル、身体強化出来たよ」

嬉しくなって、ルルに声に出して報告する。

ジョンさんのアドバイスが無かったらきっともっと難航していた。

次にジョンさんにあったら報告とお礼を言わなきゃ。

訓練はこれまでで、後は木を切り倒して板にする作業とスライム討伐をしなきゃ。

ルルに声をかけて、木を切り倒しに森の方に近づく。

森に近ければ近いほど危険が増すから、その手前にある程々の木を切り倒したい。

慎重にステルスとサーチを行いながら、なんとか手頃な大きさの木を見つけた。

いつものようにナイフに氷の刃を付けて根元の方に切りつける。

細いとはいえ木なので、何度か切りつけるつもりだったが一度で切れてしまった。

幸い自分と反対側に倒れたので、助かったけど思った以上に氷の刃が切れるので今後は注意しないと。

森の近くで作業するのは危険なので、木を収納して先程訓練していた辺りまで引き返す。

無事に戻ってこれて、ようやく一息つけた。

"枝を落とすからルル食べる?"

枝をルルに食べるか聞いて、木を取り出して枝を落とす。

幹だけになったのを30cmくらいの大きさに輪切りにしていく。

30個ほどの輪切りが出来たので、乾燥させるために基礎魔法での洗濯物干しが役立ちそうなので試してみる。

乾燥した輪切りをイメージして魔法を使うと、輪切りから湯気が出てきた。

湯気が出なくなったら無事に乾燥した輪切りが出来た。

今使うのは1番太い部分なので、それ以外は収納して保管しておく。

(いつか野営するときの薪にすることが出来るし)

さて、ここからが本番だ。

皮は今回はそのままでいいとして、1cmの幅で縦に切っていきたい。

今回は水魔法だと乾燥した木がまた濡れてしまうので、風魔法を使用して切ろうと思う。

「丸太をよく見て、1cm間隔に線を描くように切れているイメージを作る≪薄切り≫」

既存の魔法の言葉は知らないので、イメージしやすい言葉を使用したけど自分でもちょっとと思う言葉になってしまった。

(いつかお肉を薄切りにするときに役に立つよ)

自分のネーミングセンスのなさに泣きそうになったけど、ちゃんと丸太が薄切りになっていた。

木の板なので、1cmの薄さでも十分強度がある。

作業はここまでにして、スライム討伐もしないと。

今日は2体くらいでいるスライムを討伐しようと思う。

少しづつでもステップアップしないと冬貯金は何とかなっても、その先も毎回同じようにその場しのぎになってしまう。

だって、服だってほしいし、もっと美味しい物も食べたいし、せっかくなんだから他の街も見てみたい。

その為には最低限角ウサギ狩猟やゴブリン討伐、出来ればそれより強い魔獣も倒せるようにならないと。

「ルル、作業終わりにしてスライム討伐に行くよ」

ルルを呼ぶと、どうやっているのかスススって感じに移動してきて肩に飛び乗った。

まあいい、今日は2体以上のスライムを目指して移動する。

バリアのおかげでもっと数が多くても何とかなりそうだけど、慢心して怪我をしたら命取りになる。

(行動は常に、いのちだいじに)

有名な言葉を座右の銘としながらスライム目指して進んでいく。


 スライムが複数いる場所に着いた。

残念ながら2体だけの場所がなかったので、一番少ない6体の場所にきた。

"マスター ルルも討伐する"

"じゃあ、ルルは左の方にいるスライムをお願いね。バリア自分でできる?"

"バリア出来る"

念話での打ち合わせを終えて、肩からルルが降りる。

"それぞれのタイミングで討伐開始ね"

身体強化と反射バリアとステルス、ナイフに氷の刃を付けているのを確認して、一呼吸おいて右側のスライムに突撃する。

自分が思った以上に早く飛び込めてしまったが、強化のおかげか身体はよろけたりせずに目標にしたスライムに向かって刃を振り下ろす。

スライムが浸み込むのを最後まで確認せずに、前方にいたスライムに切りかかる。

二体目のスライムを切った後に、別のスライムが体当たりをしてきたが反射バリアによって跳ね返し近くにあった木にぶつかっていた。

跳ね返したスライムは後にして、より右奥にいたスライムに標的を移す。

右奥のスライムも体当たりをしてきたが、バリアにあたる前に氷の刃を振るって空中で切ることが出来た。

振り返って跳ね返したスライムを切るつもりで接近したら、何か様子が変だ。

サーチでも敵対反応が消えている。

"マスター、ルル終わった"

その時、ルルの方は終わった事を教えてくれた。

ちょっと冷静になって、鑑定することを思いついた。


 スライム(青系)

 テイム待機状態になっている


(鑑定さん、こんな事までわかるなんて助かります)

まさか待機状態になっているとは思ってもいなかった。

「ルル、このスライム従魔に出来そうなんだけどテイムした方がいいかな?」

従魔としてルルの意見を参考にしようと思って質問した。

"仲間嬉しい より安全"

ルルも仲間にすることに賛成みたいなので、テイムすることにした。

スライム(青系)の前にバリアはそのままでしゃがんだ。

「仲間になる?」

"マスター"

ルルよりも幾分幼い声が聞こえた。無事にテイムできたみたいだ。

「あなたの名前はマリン。よろしくね」

"マリン 名前 よろしく"

最初の頃のルルと同じような話し方に微笑ましく感じながら、スライムが浸み込んだあたりを確認する。

残念だけど、スライム核はなかったみたいだ。

「ルル、新しい仲間のマリンだよ。よろしくね。それと、ルルが倒したスライムはスライム核残した?」

ルルが倒した方にはスライム核があったか聞く。

"何も残らなかったよ"

私に返事をしてからマリンの方に行って挨拶しているみたい。

サーチでもこの付近には手ごろなスライムはいないみたいなので、今日は街に戻ることにした。

「ルル、マリン帰るよ」

2体に声をかけると、ルルが左肩、マリンが右肩に小さくなって乗ってきた。

「マリン、小さくなれるの?」

"ルル 教えてくれた"

どうやら先程挨拶しているかと思ったら、色々教えていたらしい。

"ルルが色々教える"

「ルル、マリンに色々教えてくれてありがとう。」

2体を肩に乗せながら急いで道に向かう。

道に出たらマリンに街中での注意点をルルと一緒に教えながら歩く。

門に並んで順番が来るのを待つ。

「お帰りなさい。肩に乗っているのが増えているけど従魔が増えましたか?」

「はい。今日テイムしたスライムです。鑑定が必要ですか?」

「念のためお願いします。あちらに鑑定が出来るものがいますので、移動をお願いします」

今日の人は鑑定できないみたいだ。移動して、鑑定してもらい主が自分であることを確認してもらった。

無事にマリンを連れて街に入れたので、真っ直ぐにギルドに向かう。

従魔の登録をしてもらわないと、何かあったらと不安だからだ。

ギルドで無事にマリンを登録して、薬草を15束600ルーで買い取ってもらえた。


 2階の食堂に行き、いつものスープとパンを注文する。

いつものように食事を分けて、収納した後に食べ始める。

今日は遅くなっちゃったから早く食べて寝なきゃ。

明日も夜明け前に起きて体力作りをしてから薬草採取して、ついに角ウサギ狩猟にチャレンジしてみるつもりだ。

ダンさん達もジョンさんもいないので、早々に宿泊所に戻ることにした。

いつものようにベッドと自分たちにクリーンをかけて布団に入る。

「ルル明日も今日と同じくらいに起こしてくれる?」

"わかった。起こすね。"

"マリン 一緒"

「マリンもルルと一緒に起こしてね。お休みなさい」

""お休みなさい""

ルルとマリンに起こすのを頼んで、早々に目を閉じた。

(ルル、もう挨拶をマリンに教えてくれているんだ)

挨拶をかわせる相手が増えたことに、胸が温かくなって眠りについた。



ブックマーク、評価、いいねをありがとうございます。

大変励みになります。

これからもよろしくお願いします。

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