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第1話 いきなり買い物?


 広いホールみたいなところに大勢いる。

なぜかわからないが、ここに自分がいることに違和感を感じなかった。

知り合いがいた人も居るらしく話している人たちもいる。

(どうやら自分の知り合いはいなさそうだ)

そんなことを考えていたら、ツアーコンダクターみたいに旗を持っている人が現れた。

「それでは移動します。ついてきてください」

旗を掲げながら移動を始めた。

周りも戸惑いながらも移動を開始した。


 お土産屋さんみたいな所に着いた。

「これから買い物をしてもらいます。皆様はラッキーです。おひとり1,000ポイント与えられます」

嬉しそうなどよめきが上がった。

「買い物方法をご説明させていただきます。欲しい商品に付いている商品カードをお取りください。カードがない商品は売り切れです。手に取ったカードが不要な際には、もとのカード入れか所々にある不要カード入れにお入れください。レジにてポイントが足りない場合は、不要なカードを指定していただきポイント内に収めていただきます。制限時間は1時間です。時間が来た段階でカードの取得が出来なくなります。また、使いきれなかったポイントは消滅いたします。最後になりましたが、商品に関して説明は一切いたしません。質問がある場合は声をおかけください。ではスタートです」

駆け出した人たちが居る。ほとんどの人は戸惑った後につられたようにお土産屋さんに入っていった。

もちろん私も入っていく。

店内には、剣などの武器や鞄、何かの小物まである。

(まずは鞄よね)

店内を見回して、鞄売り場に行く。

たくさん鞄が並んでいる。

大きさは5種類。いや、あの巨人用ですかって位のデカすぎるのも入れれば6種類だ。

大きさごとに3種類のポイントのカードがある。

鞄は大きい方がいい。でも、巨人用のポイントを見ると一番高いのが800ポイントもする。

安いので400ポイント。

次の大きさのサイズを見ると、特大サイズと書いてあって安いので100、高くて400ポイントだ。

(ポイントの差も意味があるんだろう。他にも買い物すること考えると、400ポイントが限度だろう。巨人用の安いのか、特大サイズの高いものか……)

悩んで特大サイズの400ポイントのカードにすることにした。

鞄のカードを持って、店内を見渡す。

レジ?カウンターの上にいつの間にか砂時計があった。

砂は既に半分近く落ちている。

ホールに居た他の人も悩みながらカードを取っているのが見える。

(あ、あの人剣の1番高いカード取ったって周りに自慢してる。何ポイントだったんだろう?)

他の人の買い物は置いといて、見つけた棚に向かう。

辞書?本?コーナーだ。

(知識は必要だよね)

ポケットサイズから百科事典までそろっている。

(他にも買い物をすることを考えると下から2番目くらいでいいか。制限時間を考えると、長く考えるよりとりあえず必要と思うものを揃えていった方がいいだろう)

下から2番目の安さの辞書のカードを手に取った。

次は辞書に移動するまでの間に目星をつけていた棚に移動する。

そこには何とも言えない光る球が置かれている。

その輝きが何を意味するのか分からなかったが、どうしても気になってしまった。

オパール色、黒、赤、水色、薄緑、茶色、白の球があり、オパール色以外の色は5段階の大きさの球がさらに並べてあった。

一番下のポイントでもそんなに安いものではない。

でも、長々とすべての商品をみて選ぶだけの時間は恐らくない。

(黒はなんとなくやめておこう)

たくさんカードが入っているオパール色のカードは確定。

水色と白は真中の大きさのカードを取って、赤と薄緑と茶色のカードは一番小さいカードを取った。

次に移動したのは、わかりやすい道具セットが置かれている棚に移動した。

掃除道具、調理道具、裁縫道具、トンカチなどを含む道具などのセットが置かれている。

道具は3段階で分かれているようだ。

それぞれ、基本セットと専門的な道具も含むセットと豊富な道具セットの3種類ある。

ポイントを計算するとまだ余裕があったので、豊富セットの掃除道具、調理道具、裁縫道具を選んだ。

(掃除、調理、裁縫が出来れば、身の回りを快適にすごせる)

道具の隣にマントが置かれていた。

(マントがあれば毛布代わりにもカッパ代わりにもなるよね)

少し悩んで下から2番目のポイントのマントのカードを選んだ。

あと、何に使うかわからないけど隣にあった長い棒も真中サイズを選んでおいた。

砂時計が残り4分の1程になっている。

(急がなきゃ)

残りのポイントを確認して、後回しにしたコーナーへ向かう。

その途中で目に入ってしまった、かわいい置物。

(後悔するよりはカードを持っていこう)

カードを衝動的に取った後に武器コーナーへ急ぐ。

剣と槍と弓のどれか一番安いカードが1枚なら大丈夫だ。

一瞬悩んだ後、剣のカードを手に取った。


 砂時計を見ると、まだ砂が残っている。

レジに向かい並びながら横のコーナーを見ていた。

緑と赤と青のノートが目に入った。

(ポイントを残すよりは使い切ろう)

なんとなく赤のノートのカードを手を伸ばして取った。

レジで精算を終え、同じように清算が終わった人たちとホールで待っていた。

少ししたら砂時計の砂が落ち切り、タイムアップを告げられた。

売り場から棚から商品が消え、驚きの声が上がった。

「まだ清算がお済みでない方は清算してください」

まだ未精算だった人たちがレジに急いで並びはじめた。

他の人の清算が終わるまでの間に、自分が手に入れたカードを見直してみる。


 ・鞄(特大サイズ400ポイント)

 ・辞書(普通辞書サイズ 30ポイント)

 ・水色に光る球(5段階の下から3番目のサイズ 100ポイント)

 ・白く光る球(5段階の下から3番目のサイズ 100ポイント)

 ・赤、茶色、薄緑の光る球(5段階の1番小さいサイズ 各30ポイント )

 ・オパール色に光る小さい球(20ポイント)

 ・豊富な掃除道具(50ポイント)

 ・豊富な調理道具(50ポイント)

 ・豊富な裁縫セット(50ポイント)

 ・マント(5段階の2番目に安いやつ 30ポイント)

 ・長い棒(5段階の3番目のサイズ(5m)50ポイント)

 ・丸に点々がついているガラスのような置物(15ポイント)

 ・剣 (一番安いやつ10ポイント)

 ・何か書かれている赤いノート(5ポイント)


(うん、自分でも何を意味するのか分からないのによくポイントを使い切ったな)

今更ながら、この買い物が何を意味しているのかが気になってきた。

逆に今までなぜ気にしなかったのかがわからない。

少し考え込んでしまっていたようで、まだだった人たちの清算も無事に終わったようだ。

「これより、みなさまがお買い物をされた能力を付与して転移していただきます」

どよめきが起きた。

「年齢は10才から16才まで、場所は比較的安全な場所にランダムに転移します。最低年齢が10才なのは、ギルド登録できる最少年齢だからです。そして、このグループは本当に幸運です。ご安心ください。新しい体は転移先になじむように色彩や顔だちを整えております。さらに、丈夫な服と3日分の生活費相当の金額を贈らせていただきます」

ツアーコンダクターは自慢げに説明している。

「転移するからと言って使命などはありません。ただの偶然からみなさまが選ばれただけですので。そうそう、転移する世界は、街の外は危険です。まずは街まで移動してから考えることをお勧めします」

ほのかに笑みを浮かべながら、理解しきれないことを話しているツアーコンダクターの顔を見ていた。

周りは聞いてないなどの声をあげる人もいるが、私は動けなかった。

先ほどまでこの状況に疑問を抱かなかったことから、人をその様な状況にすることが出来る人(能力)だとわかってしまった。

そう理解してしまうと恐怖?なのか体が動かない。

逆らえるはずがない。

逆らったところで状況が良くなるとは思えなかった。

「転移をしましたら、手に持っている手紙を確認ください。買い物で得た能力がどのようなものかが確認できるようにしてあります。ではみなさま、良い旅を!」

手を振るツアーコンダクターを見た瞬間、意識が闇に飲み込まれていった。




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